エンカウント(3)
キーンコーンカーンコーン
弁当を丁度食べ終えたところで、予鈴の鐘が響く。
「と、そろそろ戻らなきゃ」
「戻りましょうか~」
「ん、そだな。飯、ありがとな」
「いいわよ、別に」
「良かったらまたお昼をご一緒しましょうね~」
「ああ。そのうちな」
校内に戻るべく、二人を先頭に来た時と同じ窓のところへいくが、何故か二人はそこで立ち止まってしまう。
「どした? 遅刻するぞ?」
「どうしたじゃないわよ! とっとと先いきなさい! 先に!」
「は?」
「あ~もうっ! いいから行く!」
そう言って芦兎は無理やり俺を窓へ押し込む。
「おい、あぶねっ」
「とっととしなさい、遅刻しちゃうでしょうがっ!」
「うわっ!」
ガラガラガタンッ! 窓から転がり落ちた俺は、机やら椅子やらの密集地帯に転倒した。
「っと」
「っほい~」
「いってーな!」
「とろとろしてるのが悪いんでしょーがっ!」
「そもそもお前らが先にいけばよかった話だろ!?」
「……」
俺の言葉に二人はこちらをジト目で見てくる。俺は間違ったことは言っていないはずだが。
「……はぁ、なんていうか、鈍感ねぇ。悪気が無いところが逆にムカつくわ」
「あはは。もう少し、私たちが女の子ってことを考えてくださいね~」
「はぁ?」
全く訳がわからない。
「って、そんなことより授業遅れるわっ! 急ぐわよ、美華!」
「そうね~。それじゃあ綾乃君、また会いましょうね~」
「って、おい待てよ!」
「アンタも早くしないと遅れるわよ!」
それだけ行って二人は走り出っていってしまった。仕方が無いので、俺も教室に向って走り出す。全く、なんだったんだか……。とりあえず、まだ腕がいてぇ。