表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

その5


 〜昼休み〜



 「ちゃんと書いて来た? 今更書けませんでしたとか言ったらシェイクも追加で奢らせるからね!」



 自信満々の笑みを浮かべる松嶋の袖を掴み、後ろで下を向いたままの伊瀬宮。……俺、なんかしちゃった?

 自分の気持ちに気付いてしまったんだから結果はどうなっても良いからちゃんと伝えないと。



 ……あぁでもフラれたらその後ずっと隣の席なのは気まずくて嫌だなぁ。今まで酷い断り方した女の子達に今更ながら土下座して謝りたい気分だ。



 「あぁ書いてきたよ! もう十個じゃ足りない位だから大変だったぜ!」



 すると松嶋はニヤリと笑って袖を掴んで下を向いたままの伊瀬宮の手を引き、俺の前に立ち伊瀬宮を俺に押し付けた。



 「はいっ、この子阿久津にあげる♡」

 「キャッ! みっ、美月っ??」



 松嶋に押されて伊瀬宮が俺の胸に飛び込んで来たので咄嗟に抱きしめてしまった。ヤベーッ!! 心臓が破裂する勢いで激しく動いている。



 「大体ねぇ、好きでもない人のいいトコなんて十個も書ける訳ないっつの!! 書けた時点で阿久津はイセマリの事大好きじゃん♪」


 「……っっ!! 松嶋っ、お前最初っから俺をハメるつもりだったんだな?」



 俺の胸に顔を埋めたままだった伊瀬宮は目に涙を浮かべて俺を見上げた。




 「阿久津……、私の事……、 好きなの?」



 

 ううっ、その角度からの涙目は反則だろ? 思わず俺は伊瀬宮の事を抱きしめてしまった。



 「好きだっ! てか、俺、あのノートを書いてる内にずっと伊瀬宮の事が好きだった事に気づいたんだ!」



 「……私も……なの」



 伊瀬宮は俺の胸に顔を埋めたまま小声で言った。



 「私も、あのノートを書いた時、ずっと阿久津の事が好きだったんだって気付いちゃって、そしたら恥ずかしくなってまともに顔見られなくなっちゃったの」



 ヤベっ、俺も嬉しさと恥ずかしさでどーにかなりそうだ! 気づけば松嶋の姿は無いし、完全にアイツの術中にハマっていた。


 でも、この気持ちを気付かせてくれたんだから松嶋には感謝しないとだな! シェイクにナゲットも追加で奢ってやらないと。


 それから俺達は暫く何も言わずに抱き合っていた。




 ※





 「ねぇ、阿久津が私のいいトコ書いたノート見せてよ♡」


 どれくらい時間が経ったんだろう。大分落ち着いたのか伊瀬宮が少し顔を赤らめて嫌がる俺の手からノートを奪い取った。


 「ちょっ、マジで恥ずかしいからソレっ!!」



 ノートを開いて目を通した伊瀬宮の顔は更に赤くなっていた。


 「ちょっと阿久津っ、もうっ、私の事好き過ぎじゃね?」

 「……っっ!!」


 「でも、ありがと♡ 私の事もちゃんと見てくれてたんだって分かってすっごく嬉しい!!」


 そう言って伊瀬宮はカバンからもう一つのノートを取り出し俺に差し出した。



 「……コレって、さっき見た『俺の良いトコ10個』じゃん?」

 「次のページ開いて見れば分かるよ」



 ページをめくるとそこにはネコだかライオンだかのイラストと共に『阿久津の良いトコロ10個♪』と書かれていて……、



 その1 私の見た目や格好など気にせず普通に接してくれるトコ


 その2 他の子が気付かない位しか髪を切ってなくてもちゃんと気付いてくれるトコ


 その3 些細な変化にも気付いてくれるトコ(メイクやネイルなど)


 その4 一年の夏、私がクラスで孤立しそうになった時、私の味方になってくれて仲を取り持ってくれたトコ


 その5 体育祭の時、リレーで私が遅くて足を引っ張っても『大丈夫』って励ましてくれたトコ その後ちゃんとみんなを追い越して一位になったトコ


 その6 文化祭の時、私が他校の男子に絡まれてた時助けてくれたトコ


 その7 クリスマスにデッカい靴下の中にお菓子をいっぱい詰めたプレゼントをくれた事


 その8 お返しにあげた手袋を春までずっと使ってくれたトコ


 その9 バレンタインで失敗した手作りチョコマフィンを眉間にシワを寄せながらも美味しいって食べてくれたトコ


 その10 疲れた顔をしてたらすぐに気付いてくれてちゃんと気遣ってくれるトコ……がスキ


 その11 顔も好きだけど、やっぱり阿久津はいつでも私に優しくしてくれた! 大好き!!






 「……伊瀬宮、お前……そんなに俺の事」



 「えへへっ、『その4』くらいから自分の気持ちに気付いちゃって、気が付いたらスキって書いてて……慌てて食べ物くれるトコに書き直したんだ!」


 「でもさ、松嶋の言う通りよく考えたら好きじゃなきゃ十個も書けないよな?」

 「うん、阿久津のいートコ思い出したら次々に出てくるんだもん。自分でもビックリしたよ♡」

 

 伊瀬宮は赤くなったままの顔で最高の笑顔を見せてくれた。思わず俺は伊瀬宮の手を取り、



 「あの……さ、伊瀬宮」

 「ん……何?」




 「改めて言うけど……、好きだ! 俺と付き合ってくれないか?」





 伊瀬宮は俺の手を強く握り返し、目に涙を浮かべながら笑った。


 「嬉しい!! あ、……でも、阿久津モテるし……、私、こー見えてすっごいヤキモチ焼きだから阿久津の彼女でいる自信ないかも……」

 

 「だっ、大丈夫だって! 俺、見た目とか関係なく中身で伊瀬宮の事好きになったんだから他の子に目移りなんかしないよ!」


 

 すると伊瀬宮はぷぅーっと頬を膨らませ俺の手を振り払った。



 「……なんかその言い方、私の見た目は好きじゃないみたいじゃん! どーせ私なんてギャルだし阿久津の好みじゃ無いもんねー」


 「ちっ、違うっ!! 伊瀬宮は充分可愛いって! 可愛いって思ってなかったらこんなにお前の事かまったりしないだろっ?」 



 慌てる俺を見て伊瀬宮はイタズラっ子の目をして言った。



 「それじゃ、……付き合ってあげるからお願い聞いてくれる?」

 「なんだその上から目線は? ……あーもう付き合ってくれるならなんでも聞くよっ! どーせ食べ物くれとかそーゆーのだろ?」



 すると伊瀬宮は俺に抱きついて……、



 「違うし! 付き合ったら毎日私の好きなトコ10個言って♡」

 


 

 終わり


見つけてくれて、最後まで読んで頂きありがとうございました!

この先も仕事の合間を縫ってちょこちょこ書いていくので宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ