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その4


 「そんなに急がないでぇ〜、 手ぇ痛いしっ!」

 「急がないと次の授業始まっちゃうよー!」



 自信満々の美月に手を引かれ、阿久津の待つ教室についた途端にチャイムが鳴った。



 「チッ、……次の休み時間までお預けだな」

 「ナニよその悪そうな口調は? てか美月何企んでるの、顔が怖いよ〜!」



 教室に着き席に座ると阿久津が不思議そうに顔を覗き込んで来た! ちょっともう! 好きって気持ちに気付いちゃったらまともに顔なんか見られないよ〜!


 それを横目にニヤリと笑って美月は一番後ろの自分の席に向かって行った。う〜っ、次の休み時間が怖いんですけど?






 ※





 トイレから戻って来た伊瀬宮の様子がおかしい。ついでに言うと松嶋と目が合った時のドヤ顔も不気味だ。

 授業が始まり俺は周りのヤツに聞かれない位の小声で伊瀬宮に話しかけた。



 「……なぁ伊瀬宮」

 「なっ、ナニ? わっ……私っ、眠いからちょっと寝るし!」



 そう言って向こうを向いて寝る体勢をとってしまった。あんまり寝てないしな、顔も赤いし涙目みたいだったから体調もあまり良くないのかな? それとも松嶋に何かされたとか? もしそうだったらせめて俺が味方になってあげないと……。




 ※





 そうこうしてるとあっという間に授業が終わってしまった。ヤベっ、何も聞いてなかった! 寝ている伊瀬宮の為にノート位取っておけば良かった。


 すると後ろの席から松嶋がやって来て伊瀬宮の頭を軽く叩いて肩を揺すっていた。



 「おーいイセマリっ、いい加減起きろし!」

 「ん、んーっ? あっ! もう授業終わってる!」



 爆睡してたんだな、やっぱり家事全般こなして四時起きは辛いもんな。

 すると今度は松嶋が『はいコレ』と言って俺にノートを渡して言った。



 「イセマリも書いたんだからさー、阿久津も『イセマリの良いトコ10個』書いてみなよ! 人の良い所なんてちゃんと向き合ってないとそうそう書けるもんじゃないんだからね! ちなみに私は秒で書けちゃうしー♪」



 謎のマウントを取って来た! そーだよな、伊瀬宮ばっかり書かせて俺が書かないのはおかしいよな。



 「俺だって余裕だし! 伊達に一年ちょっと隣の席やってないっつの!」

 「じゃあ昼休みにそのノート持って中庭集合ね! どっちがイセマリの事分かってるか勝負よ! 負けた方が放課後ポテト奢りって事でどう?」

 「オッケー! Lサイズだからなー!!」



 松嶋は伊瀬宮に後ろから抱きつきながら一言話して自分の席に戻って行った。伊瀬宮は何かを言われて耳まで赤くなってそっぽを向いてしまった。トイレから戻ってから変だぞ? 一体何があったんだ?





 ※





 次の授業が始まった。松嶋から受け取ったノートを開くとイカだかタコだかの謎の生き物のイラストを挟んで大きな字で『イセマリの良いトコロ10個♡』と書かれていた。



 俺は目を閉じてこの一年ちょっとの間に伊瀬宮と過ごした日々を思い返した。


 

 その1 飯やお菓子を美味そうに食べるトコ


 その2 食べる時はいつも手を合わせて『いただきます』と言うトコ


 その3 自分が悪いと思ったらすぐに謝れるトコ


 その4 朝登校して来た時に陽キャ、ぼっちの奴分け隔てなく挨拶をするトコ


 その5 元気が無さそうにしてる奴を見るとほっとけないトコ


 その6 友達同志が喧嘩してると間に入って両方の意見を聞いて仲直りさせるトコ


 その7 俺のつまらない話をちゃんと聞いてくれてツッコミを入れてくれるトコ


 その8 俺が真面目な話をする時にはちゃんと目を見て真剣に聞いてくれるトコ


 その9 弟の面倒を見て慣れない家事を一生懸命にやるトコ


 その10 笑った顔が可愛……







 ちょっっ! 待て待て待てっ!! 俺今何書こうとしてるんだ? 伊瀬宮だぞ? ギャルだぞ? おかしいだろ?




 ……いや、俺何言ってんだ。 


 散々俺の顔しか見てくれないとか言ってたクセにギャルとか気にして俺、バカじゃないのか?

 伊瀬宮はいつだって俺の中身を見て真剣に向き合ってくれてたじゃないか!




 その10 俺の中身をちゃんと見て真剣に向き合ってくれるトコ ……が好きだ!


 その11 笑った顔が好きだ!


 その12 怒った顔も好きだ!


 その13 何が食ってるトコも大好きだ!!


 結論 中身も全部ひっくるめて大好きだ!!!




 ……俺、今までまるで気付いて無かったけど、伊瀬宮の事こんなにも好きだったのか……。


 てかどーする? こんなノート見せたら告ってんのと同じじゃん! それにアイツ、俺の事全然男として見てないよな? 食べ物くれるイケメンとしか思ってないだろ? しかも次に告って来た子とデートしてみろとか言ってたし……、詰んだな、コレ。




 だけど、駄目でもこの気持ちは……ちゃんと伝えないと!!!

 



 


 



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