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その1


 「ごめん。……悪いけど俺、君とは付き合う気ないから」



 そう告げると目の前に居る女の子は目と頬を真っ赤にして走り去って行った。

 断られるのも辛いだろうけど断るのだって結構しんどい。

 連休前日とは言え朝一いきなりの告白なんて、失敗したその後の事なんてまるで考えて無いんじゃないのか? そのせいで俺のテンションは朝からダダ下がりだ。



 「……はぁ〜っ」



 溜め息をついて重い足取りで教室に入り席に向かうと、後ろから俺とは真逆のテンションで声を掛けて来た奴がいた。



 「おっはよーっ、あっくつぅ〜!!」



 隣の席の白ギャル、伊瀬宮麻里いせみやまりだ。


 「なぁ〜に暗い顔してんのよ! てか、さっき阿久津あくつが廊下でフッた子、隣のクラスの赤星香織あかほしかおりじゃん! ウチの学校でTOP5に入る位の美少女泣かして、アンタどんだけ理想高いんだっつのっ!」


 そう言って俺の腕を肘でグリグリしてきた、痛いって!


 「顔が良いとか関係ねーよ! ……TOP5? あぁ、だから『私が告白するんだから断るハズ無いでしょ?』みたいな態度だったんだな」

 

 「そーゆー阿久津こそ学年イチのイケメンとか言われてんじゃん! 阿久津が言ったら嫌味にしか聞こえないよ、てか今年入って告られたの何人目? 全部断ってんじゃん、私が知ってるだけでも三人は居るんだけど? しかもみんな可愛いかったのにー?」



 俺の名前は阿久津真佐也あくつまさや、高校二年に進級したばかりだ。

 記憶が曖昧だけど多分小学校三年位からモテ始めて、今日まででどれくらい告られただろう? 覚えて無い位だから流石に自分でも顔面が良い事は自覚している。


 

 「あっっ! もしかして……、前から噂になってはいたんだけどさー、阿久津ってやっぱり女の子じゃなくておっ、男の方が好き……」


 「バカ違うっ! 違うって! 俺はそっちの気は無いし今までだって何人かは付き合った事あるんだって!」


 伊瀬宮の言葉を遮る様に慌てて被せた俺が余程面白かったのだろう、伊瀬宮は腹を抱えて笑い出した。


 「あぁー可笑しい! じゃあさーなんで断ってばっかなんよ? 今まで付き合った子より赤星さんの方が絶対可愛かったんじゃないの?」


 不思議そうな顔で俺を見て伊瀬宮が聞いて来た。


 「……みんなさ『俺の何処が好きなの?』って聞くと『顔』って言うんだよ」

 「そりゃそーでしょ!」


 「俺はさ、顔じゃ無くて俺の中身を好きになってくれる人と付き合いたい訳よ」

 「……んな事言ったって最初は見た目から入るっしょ? それは仕方なくね?」


 「まぁそー言われたら返す言葉が無いんだけど……。俺だって昔はそう思って試しに付き合ってみたりしたんだけどさ……」

 「上手くいかなかったんだぁ! ……へぇ意外だなぁ、私は阿久津の事、どっちかってゆーと顔より性格の方が良いと思ってるんだけどなー」


 伊瀬宮! さらっとお前良い事言うなぁ! 


 「顔が良いってのもいい事ばかりじゃないんだぜ、まぁお前には分かんないかも知れないけど」

 「……っ! さっきの言葉撤回っ、阿久津やっぱ性格悪いわ!」


 「んー、……例えばだよ? 俺がお婆さんの手を引いて横断歩道を渡ったとすんじゃん?」

 「んで?」


 「それ見て伊瀬宮どー思うよ?」

 「別に、……そんなん普通に私もするしなんも思わんけど?」


 「それじゃめっちゃ強面の兄さんが婆さんの手を引いてたらどーよ?」

 「『めっちゃいーひとやん!』 てなるよねー!」



 俺は伊瀬宮の肩を叩いて続けた


 


 「それなんだよ! 悪そうな奴は普通の事しただけで印象爆上がりじゃん? なのにイケメンの俺が普通の事したって……」

 「だから自分で言うなしっ!」


 「それでその強面が失敗したりお茶目な事してテヘッとか笑ったらどーよ?」

 「んー、ギャップ萌え〜♡」


 「イケメンの俺が失敗したらどーよ?」

 「……っ! ダ、ダサいっっ!! イメージ崩れるわぁー」


 「……だろ? そーゆー事だよ! 俺だって女の子とデートなんて慣れてないから緊張で失敗したり恥ずかしい思いするんだよ! 結局それが度重なって『阿久津くんってなんか思ってたのと違う』とか言われてさー」

 「それでフラれたんだ、ウケる!」



 今度は伊瀬宮が俺の肩を叩いてうんうんと頷いた。



 「そー考えたらイケメンも不憫なもんなんだね。でもだからって勇気出して告って来た子を片っ端から振りまくるのもどーかと思うよ?」

 「……そーなんだけどさ、『じゃあ友達から』とか言って付き合いだして幻滅される位だったら初めっから断った方がいいかなって」


 「でもそんなんじゃいつまで経っても彼女出来ないじゃん! ……て事はこの先まだまだ告って来る子が後を絶たないって事だよ、それでもいーの?」


 

 ニヤニヤしながら伊瀬宮が聞いて来た。それを見て俺は机に両肘をつき頭を掻きむしって叫んだ。



 

 「あぁ〜っもうっっ! こんな顔に生まれて来なければよかったぁ〜っっ!!」


 


 伊瀬宮は周りを見回して爆笑しながら、



 「……阿久津、アンタ今っ、クラスの男子全員を敵に回したけどいーの? マジウケるんですけど!!」

 

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