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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
3章・アルバンの血戦

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第84話 アルバン城突入作戦

馬車に戻ると、樹が出迎えてくれた。

「おお来たな…って、あれ?」

彼は、俺の変化にすぐに気づいたようだ。

「姜芽…なんか、雰囲気変わったな」


「そうか?」


「ああ…まるで上位種族みたいな…って、え?まさか…!?」


「そのまさかだ。俺は『守人』に昇格した」


「…は?え…?」

樹が困惑している所に、康介と秀典が説明した。

「本当だぜ。武器屋にたまたま、防人の昇格に使うアイテムがあってな。姜芽は守人に昇格したんだ」


「何なら、新しい技も習得してたぜ!いやー、すごいよな!こんな所で昇格の機会が巡ってくるなんて!」


「え…え?ええぇぇぇえ!!?」

驚くのは無理はない。が、こんなに驚かれるとは思わなかった。


「守人って…え?なんだ、姜芽…本当に、本当に本当か?」


「だから、本当だって。…まあ詳しい事は中で、みんなのいる所で説明する」






そうして俺は、リビングにて皆を集めて説明をした。

素直に祝ってくれる者もいたが、信じられないという者も何人かいた。

まあ、それはそうだろう…というか、それが普通の反応であるような気がする。

普通は、こんな形で昇格するなどと思うものではないし、こんな事がそうそうある訳もない。

だが、現にこうして起こったのだ。これ以上議論するのは無意味だろう。



ところで、リビングには皆を集めた…と思ったのだが、よく見ると吏廻流とメリムがいない。

行方が気になったが、じきに帰って来る気がしたので探しに行こうとは思わなかった。

実際それは的中し、数十分後には2人は帰ってきた。

2人は俺が昇格したことにすぐに気づいたらしく、祝いの言葉をかけてくれた。

そして、同時にこれからの俺達の行き先の案内もしてくれた。


「町で色々と調査してみたのだけど、どうもこの国の王妃が怪しいわ。でも、私達が正規の方法で会うのは難しい。こっそり城に侵入して、王妃を見つけて問い詰めましょう」


「今は、アルバン城の兵士は大半がまともに仕事をしていないそうです。上手く隙を突けば、城内へ突入するのはそう難しくないはずです」


城への突入…か。

なんかいかにもゲームっぽい行動である。


「そうか。それで、どうやって突入する?」



そうして、彼女らによる王城突入作戦の計画をじっくり聞いた。

正直上手く行くかわからなかったが、やってみなければわからない。

計画は夜に実行するという事で、夜まで待つことになった。






そして夜の10時をまわった頃、俺達の計画は動き出した。

まずは門まで行き、扉の兵士の様子を確認する。

一応の確認、ということであったが、入り口前にいる2人の兵士は明らかに痩せていて戦いなど出来そうに無かった。


俺は、吏廻流の方を向いて言った。

「どう見ても戦いなんか出来なさそうだが…本当にやる気か?」


「ええ。それにこのままだと、彼らは遅かれ早かれ死ぬだけ…これは、仕方ないことよ」

言葉での返事はせず、行動で返す。

吏廻流から受け取ったボールを、兵士達目掛けて投げ込む。

そして数秒後、破裂音と共に緑色の煙が飛び出す。

それが晴れた時には、壁に寄りかかって眠っている兵士達の姿があった。

「そう言えば、結局あれが何なのか聞いてなかったな。吏廻流、今のは…?」


「睡眠玉、吸った相手を眠らせる煙を焚く煙玉よ。一度眠らせれば、当分目覚めないわ」


「そうか。よし、行こう」


そうして俺達は飛び出し、城内へ突入した。




「…よし、それじゃ作戦開始だな」

少なくとも途中までは隠密行動をせねばならないため、俺は吏廻流、秀典、輝を連れた4人で突っ込んでいる。

最も、今頃は別動隊の連中も裏口や抜け穴から突入しているとは思うが。


「えーと、輝達は玉座を目指せばいいんだっけか」


「そうだな。玉座は2階の奥にあるらしい、見つからないように行こう」

泥棒のように忍び足で、だが鹿のように急ぎ足で、俺達は2階へ向かう。


玉座の間の扉はすぐに見つかった。

だが、案の定兵士が貼り付いていた。

「いるな…」

秀典がやきもきしているようだったので、吏廻流が釘を刺した。

「わかってるわね?手出しは禁物よ」


「はいよ…だが、なるべく早くしてほしいな…」

と、割と近いどこかからドーンという音がした。


「…何だ?」

兵士がそれに反応して扉を離れた隙に、ササッと玉座の間へ突っ込む。

玉座から扉へ向かって赤いカーペットが敷かれているのが、何だかいかにもな感じである。


「これが玉座か…」

初めて見るこの世界の城の玉座の間。

俺は、少しばかり感動した。


吏廻流は何かの魔法を唱えて言った。

「やっぱり、この部屋に隠し通路がある。恐らくは…」

と、ここで別動隊が部屋に入ってきた。

人員は樹、苺、柳助、メリムだ。

「姜芽!」


「来たか。そっちの仕事は終わったか?」


「ああ…バッチリな」

樹達には3階の窓から突入してもらい、王と王妃の部屋を見てきてもらうことになっていた。

「どうだった?」


「もぬけの殻だったよ。今の時間に王も王妃もいないのはおかしいな…やっぱり、何かあるんだ」


「あれ?王様は確か、病気で休んでるって話だったが。部屋にいなかったのか?」

秀典がわざとらしく言った。

おそらく、もうおおよそ気づいているだろう。


王が病に侵されている、というのは嘘であり、実際はどこかに監禁されている。そしてその黒幕は、王妃デモリアである。

王妃はいつもかなり遅い時間までどこかで何かをしているらしい事から、おそらくは隠された部屋で何か良からぬ事をしている。そして、きっとそこに王も捕らわれている…というのが、吏廻流達の考えであった。

樹達に王の部屋を見に行かせたのは、その裏を取るためでもあった。

俺は正直半信半疑だったが…さすがにこの時間に寝室にいないのはおかしい。


「まあ、全てはこの先にあるさ。吏廻流さん、隠し通路は見つかったか?」


「ええ。…ここよ」

吏廻流は玉座の後ろの壁を押す。

すると壁の一部が動き、隠された通路が現れた。



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