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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
3章・アルバンの血戦

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第68話 吸血鬼狩りジャック

「吸血鬼狩りの団長…なんでそんな人が村長をやってるんだ?」


「まあ色々あって…な。この村は、古くから我々が拠点としている場所でもあるんだ」


「へえ…こういう組織って、もっと人気がない所に拠点を作るイメージがあったんだが」


「ここもかなりの田舎だ。それに村の住人も少ない。我が団は人数が少ないからな、村に溶け込むほうが何かと都合がいい」


「そんなもんか」


「ああ。我らはこの国で唯一の吸血鬼狩りだ、そう簡単にやられる訳にはいかない」


「あれ、そうだったっけ?」

団長…亮は、紗妃を見た。

「お前は…そうか、我らの仲間か」


「仲間、ってことはひょっとして…」


「うむ、私は殺人者だ。まあ、厳密には少し違うが」


「どういうことだ?殺人者にも亜種が存在するのか?」

ラギルが首を捻ると、樹が言った。

「殺人者は亜種…ってか近縁種が結構いる、って聞いたことあるぜ」


「そうだ。そして私は、その中の『無情者』という種族なんだ」


「無情者…ねえ」

無情者は恥や後悔、良心を感じない殺人者よ、と紗妃が素早く説明してくれた。

「戦闘力は殺人者の中でも高い方なんだけど、自他の将来や安全に無関心なのが難点ね」


「自分自身の将来にも無関心なのか…それで普通に生活していけるのか?」


「生きてはいける。ただ、私は普通の仕事はどうにも出来なくてな、もっぱら暗殺稼業をしている」


「そうなの?私も元々暗殺者だったのよね…今は盗賊だけど」


「そうか…まあ、今はこんな状況だ、盗賊になる者も珍しくない。生きてさえいけるなら、何も言うまい。

それで?今すぐに向こうへ行けるな?」


「ああ…」


「なら、ちょっと待ってくれ。団員を何人か連れて行く」

そう言って、亮は席を立った。




数十分後、亮は4人のメンバーを連れてきた。

青目の白い長髪の男、櫻巳(さくらみ)明司(みんじ)

緑目の赤い短髪の男、木埜里(きのり)(じん)

黒目に黒の長髪の女、琴摩未菜(ことま)未菜(みな)

そして、茶髪の長髪に水色と青の目をした女、什也(じゅうや)青空(そら)

それぞれの紹介を終えると、亮は「今回はこのメンバーで出撃する」と言った。

「こいつらもみんな殺人者なのか?」


「ああ。明司は無情者だが、それ以外は全員殺人者だ」


「そうか。…」

俺は、何となく青空が気になった。

オッドアイ…って言うんだっけか。左右で色が違う瞳の持ち主は、なかなか見ない。

すると、青空はそれに気づいたようで、俺に声をかけてきた。

「どうかした?」


「いや、ただあんたの瞳が気になってな」


「そう。…まあ、そうだよね。でも、これは人間に生まれた時からのものだから」


「え、あんた元人間か?」


「うん。私は転生して殺人者になったからね。何なら、うちのチームはみんな転生だよ?」


「あ、そうなのか?」


「そうだな、おれたちはみんな転生だ…亮も含めてな」

明司がそう言った直後、何やら外が騒がしくなった。


「なんだ?騒がしいな…」


「あー、たぶんお客さんが来たのね」

紗妃はそう言ったかと思うと、にやりと笑って続けた。

「お相手してあげましょう、ジャックの皆さん?」


「…そうだな。姜芽さんよ、申し訳ないが臨時の仕事が入ったようだ。あなた達に協力するのは、それが終わってからでいいか?」


「もちろんだ。というか、俺達も協力させてもらうぜ」


「それはありがたい。だが、奴らは普通のやり方では倒せない。だからこれを使うといい」

亮は、謎の透明な液体が入った瓶を渡してした。

「これは聖水というものだ。これを頭からかぶれば、あなたにも奴らを倒す事が出来る。残りのお二人も、使ってくれ」

俺は一思いに瓶の蓋を開け、中の液体を頭からかぶった。

全身が濡れた…と思ったら、瞬時に乾いた。

確かに、普通の水ではなさそうだ。


「紗妃は私達の同族だから、聖水は必要ないな」


「ええ」


「よし…ではみんな、行くぞ!」






家を出ると、何人かの人達が待ち伏せするかのようにいた。

そして、亮達の姿を見ると口々に助けを求めた。

彼らの言葉をまとめると、村の外にアンデッドの群れが現れたので倒してほしい、ということだった。

それを聞いた亮は、もちろんだ、そのつもりだと了承した。


こうして村の人達が助けを求めにくるという事は、彼らは信頼されているのだろう。

なんだか、辺境の小さな自警団という感じがする…例えが少しわかりにくいかもしれないが。


そうして、いよいよ村の外へ繰り出した。

すると、すぐに"それ"が目についた。

「あ、あれか…」

明らかに目の焦点が合っておらず、ゆっくりとふらつきながら歩く人型のモノ。

それは全身の肌が変色して、腐ったようになっている。

見るからに「ゾンビ」である。


亮はあたりを見回し、短剣を取り出して言った。

「ざっと15と言ったところか。姜芽さんたちは、奴らとの戦闘経験はあるか?」


「俺と紗妃は昨日、一回だけ。あとは…」

目線を移すと、ラギルと樹は頷いた。

「あるみたいだ」


「そうか。なら、お二人に説明しよう。あれはゾンビ、最も基本的なアンデッドの一種だ。動きは遅いが、生きた異人や異形よりも耐久が高い。だから、頭…というか首から上を狙って一撃討伐するといい」


「遠距離から一撃…」

俺ははっと閃き、素早く振り向いて一体のゾンビの頭めがけて斧を投げた。

斧は見事ゾンビの額に命中し、ゾンビは静かに倒れた。

その斧を回収して、俺は亮に言った。

「こんな感じか?」


「…ほう、気が早いな。その通りだ。それと、できるだけ遠距離で仕留めるようにすると安全だ。奴らは近づくと噛みついたり引っ掻いたりしてくるが、それ以外の攻撃は基本できないからな」


「なるほど。あ、一つ聞いていいか?」

俺は、これまた人間界でのイメージが強い事を言った。

「奴らに、火は効くか?」


「奴らは動きが鈍い、低級のゾンビだ。奴らになら、弱い火魔法でも十分な効果がある」


「よっしゃ、なら楽勝だ!」

そうして俺は両手に火を灯す。

すると、青空達が反応した。

「あ、あんた火使いだったのね。なら助かるわ」


「これはおれ達の仕事が減りそうだな。…まあ、たまにはいいか」


他のメンバーも武器を出した。

では、アンデッド狩りと行こうか。


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