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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
間章・地底からのコンタクト

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第623話 白き鉱石と紫の亡者

 警戒しながら進んでいくこと数分、壁にきらりと光るものを発見した。

もしかしてと思い近づいてみると、白っぽい色をした鉱石だった。


これが何なのかは、マクシスが答えてくれた。

「こいつは・・・エルメル石英だな」


「エルメル石英?」


「この国で多く取れる石英の一種でな、魔力を使った加工がしやすいって有名な鉱物だ。この坑道でも取れたんだな」


 マクシス曰く、この鉱物は普通の石英と異なり、普通に加熱して加工するのが難しい代わりに、魔力を使って加熱しての加工が容易であるという性質があるらしい。


流通量や国内状況の問題で、現在はほとんど見かけなくなったが、かつてはこの鉱物を加工して作った武器がよく使われていた。

それくらい、この国ではメジャーかつ利用価値のある鉱物だったのだという。


「石英ってことは、黒曜石の武器みたいにもできるの?」


 美羽が尋ねると、マクシスは頷いた。


「まあ、俺は詳しいことは知らないんだが・・・加工の際に着色もできるらしいし、黒曜石のような見た目にすることもできるだろう」


「そうなんだ。・・・黒曜石か。いろいろと思い出深い石だな」

美羽は、昔を思い返すような表情をした。


「何か思いがあるのか?」


「ええ。私は昔、地底世界で暮らしてたんだけど・・・そこで何かと黒曜石を使ってたのよ」


「ほう・・・ん?地底ということは、あんたは魔人なのか?」


「元、だね。私は訳あって、魔人から騎士になったから」


「種族を変えたってことか?そんなことが・・・」


 マクシスは言葉を切り、刀を構えた。

その視線の先・・・通路の奥には、再び紫色のゾンビの姿があった。


「[聖印斬り]」


「[白光打ち]」


刀を振るい、光の斬撃を繰り出す。白い光をまとったハンマーを叩きつける。

そんな技を繰り出すマクシスとアムラの姿は、正直祈祷師とは思えない。


 思わず、「あんたら、祈祷師なんだよな?」と聞かずにはいられなかった。

すると、予想外の答えが返ってきた。


「半分正解ってとこだね。私たちは、祈祷師と修道士の混血なのよ」


「そういうことか。・・・ん?私“たち”?」


気になる部分があったので聞いたところ、地味に衝撃的な事実が判明した。


「あ、言ってなかったっけ?私とマクシスは、腹違いの兄妹なの」


それを聞いて、みんなの間に衝撃が走った。


「俺たちの父親は祈祷師だが、母は修道士だった。俺の母はもう死んでいるが、アムラの母は生きている・・・もっとも、サンライトで暮らしているがな」


 祈祷師と修道士が結ばれることがある、というのが割と驚きだった。

種族柄、対立関係にある者同士が結ばれる・・・許されぬ恋ってやつだろうか。


なんて言ってる分にはなんかロマンチックだが、実際そんなことがあっていいのか?

その疑問には、メニィが答えてくれた。


「実は、対立関係にある種族の者同士が結ばれる・・・という事例は昔からあるんです。もちろん、社会的にはいい顔をされないですが・・・不思議なことに、不幸な結末を迎えることはほとんどありません」


「腹違いの兄妹が生まれる・・・ってことはあるのか?」


「はい、それも十分ありえることです。・・・残念ながら、本人たちは幸せになれても、周りからすれば、そうとは限らないですから」


 その言葉から、何となく察した。

いくら本人たちが良くても、周囲からすれば敵対種族の相手と結ばれた・・・つまりは、裏切り者のように見えるのだろう。


そうなれば、迫害を受けるのはもはや必然。その結果として、命を落とす者がちらほらいる・・・そんなところなのだろう。


「ところで、なんでメニィはそんなこと知ってるんだ?」


「私だって、一応は魔法種族・・・祈祷師と修道士の近縁種ですからね」


 そう言えば、メニィの種族である魔法使いは、『(ことわり)の魔法を専門的に扱う』魔法種族なんだった。


ちなみに、理魔法とは光と闇「以外」の属性の魔法のことを指す。そして、魔法には術も含まれる。

つまるところ、俺が扱う火の術も厳密には理に属する魔法である。


もっとも俺の場合は、マクシスたちと同様に光も使える。なお、メニィ自身は火と地の魔法を扱うので、完全な理魔法使いと言える。


「・・・この鉱石、取っておきましょう。魔力を使うと加工しやすくなるのはありがたいです」


 メニィはそう言って、壁に埋まっていた白い鉱石を取った。

同時に魔法を唱え、付近に他にも埋まっている鉱石があることを突き止めた。


「この近くに、少なくとも20個近い鉱石が埋まっているようです。しかも、どれも手で簡単に取れそうなところにあります」


「そりゃいいね、全部取っていこう!」


 アムラはハンマーを使うこともあり、鉱石の採取は割と得意だという。

対するマクシスは、刀使いなのでそこまで得意ではない・・・かと思いきや、わりかし力があるようで、埋まっている鉱石を力任せに取り出すのが得意だと言っていた。


その言葉に嘘偽りはなく、彼は壁から顔を覗かせている鉱石を掴んでは、強引に引っこ抜いていった。

もちろん、一方でアムラは岩盤を叩き割って鉱石を取り出してもいた。


 このあたりの岩盤は魔法にかなり強いようで、魔法だよりのメニィや非力な沙妃ではとても壊せない。

よって、基本的にはアムラたちに鉱石を掘ってもらうことになった。


申し訳ないなと言ったら、気にすることはないと言われた。なんでも、彼らはこうして鉱石を掘っている作業が楽しいらしい。


・・・この2人、盗賊やら暗殺組織やらではなくて炭鉱夫になったほうがよかったんじゃないか?と思わずにはいられなかった。

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