表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
2章・サンライト訪問

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/697

第52話 挑まれた戦い

まずは俺が先陣を切る。

水平割りを出したが、エリミアは結界でガードしてきた。

だが、まあ正直予想範囲内だ。

そこで、一度バックして距離を取り、次の技を出す。


アクスカッター…を出そうとしたら、突如閃きが走った。


そして、俺は新たな技を繰り出した。

「斧技 [ラスタードヨーヨー]」

行動内容としてはシンプルで、斧を何度も投げつける…というもの。

だが、これはアクスカッターの数倍の威力がある。

そして、これには追加の効果もある。

それは、結界やバリアを破壊出来るということだ。


「ああっ…!」

俺の斧が結界を破壊すると、メニィが声を上げた。

かくいうエリミアも、若干だが驚いていた。


その隙に、投げた斧がエリミア目掛けて飛ぶ。

エリミアは素早く体をひるがえして回避した。


「斧で結界を割るなんて…すごいパワーね。いや、それとも何か、特別な力があるのかしら…?まあ、何でもいいわ」


エリミアは魔導書を手に出した。

「まずはお前から行きましょうか。[ルミーナ]」

天井に太陽のように眩しい光の球が現れ、そこからスポットライトのような光が伸びてきた。

危険を察知して斧を構えたその直後、強烈な力で押された。

必死に押さえたが、それでもずりずりと後退させられた。


「姜芽さん!大丈夫ですか!?」


「心配ない…それより、あいつを!」


「はい…!」

セルクは、魔導書を見開いて唱えた。

「[プラズマ]!」

虚空から二本の稲妻が現れ、エリミアに襲いかかる。

しかしエリミアは、稲妻の直撃を受けても平然としていた。

「なっ…!」


「それなら、私が!」

メニィがヒートの魔法を放ったが、やはりさして効いていないようだった。

エリミアは、嘲笑うように言った。

「浅はかね…私に、そんな弱い魔法が通じるわけないでしょう?」


「っ…!」

そして、エリミアは手を軽く払った。

「うざったいから、先に片付けるわね。光法 [煌く五斗星]」

メニィ達の周りに5つの小さな光が現れ、それが次々に破裂した。

それで、メニィとセルクは倒れてしまった。


「…!」


「やりやがったな…!」

樹が、エリミアに飛びかかる。

「奥義 [大海の咆哮]」

棍を振るいつつ大波を呼び寄せるという、なかなか派手な技を繰り出したが、やはり致命傷には至っていないようだ。


「ふーん…探求者にしてはやるじゃない。でも、残念だったわね!」

エリミアは波を結界で防ぎ、棍を杖で押さえ、

「光法 [千なる光]」

杖を振るい、白い斬撃を巻き起こした。

それにより、樹は血を噴き出しながら墜落した。


「樹様…!」

キョウラはすぐに樹に駆け寄り、治癒魔法を唱える。

しかし、それでも樹はキツそうだった。

「バカみたいな魔力だ…こりゃ、ちょっと無理があるかもな…」


…と、その様子を見てる俺にも攻撃が飛んできた。

エリミアは、何やら光る白い弾を複数発飛ばしてきた。

何となくわかる…今のは、魔弾だ。

魔力を固めた、遠距離攻撃。

中級相当の攻撃魔法だがその威力は高く、属性を含める事もできる。


それらを斧で防ぎ切った後、俺は自然にこう唱えた。

「[フレイムラッド]」

俺の周りに複数の火の魔弾が浮き上がった。

手を伸ばすと、それらは一斉に飛んでいく。

エリミアは結界を張ったが、それは容易く貫通した。


「っ…お前が魔弾を使えたなんて。いや…まさか、今の私の魔弾を受けて閃いた…?だとしたら、お前は脅威ね。やっぱり、優先して始末しないと」

そうして、エリミアは一際大きな魔弾を生成したかと思ったら、すぐに撃ち出してきた。

一目でわかる…あれを食らったら、さすがにヤバい。

だが、防げる見込みは薄い。

どうすれば…



と思ったその時、なんとキョウラが俺の前に飛び出してきた。

「…!?」

キョウラは光の結界を張って魔弾を防ぎ、そのまま弾き飛ばした。


「キョウラ…あなた…!」

キョウラは、エリミアを見た。

「お母様…どうか、答えてください!なぜ、こんな事を…!」


「私には、私の目的がある。そのためよ」


「目的…!?」


「そう。端的に言えば、サディを潰して、レギエル姉妹と共にこの国を支配していくのが私の目的」


「なぜ…レギエル姉妹に肩入れするのです。私の知るお母様は、そんな方ではなかったのに…!」


「キョウラ…あなたにはわからないのよ。この国は、何もかも間違ってる。このままでは、いずれ国は滅び去る。そうなる前に、一度全て潰して、更地にしなければならない。

でも、この国の奴らは誰もそれに気づかなかった。だから、私が行動を起こした。ただ、それだけのこと」


「…」

キョウラは、言葉を失っていた。

「さあ、そこをどきなさい。その男を、始末するんだから!」

キョウラは動くつもりはなかったようだが、俺の方から飛び出した。

このままでは、キョウラも危ないからだ。


そうして、俺はエリミアに斬りかかる。

弾かれるのを承知で何度も斬りつけ、最後に「フレイムポール」を出したが、やはり効きが悪い。

「ふふ…少しはやるかと思ったけど、やっぱりそんなものなのね」

エリミアが手をさっとこちらへ伸ばした次の瞬間、俺は胸と背中に鋭い痛みを覚えたと同時にふっ飛ばされた。

床に叩きつけられ、これまでにないほどの痛みと出血に襲われる。

杖で刺され、貫通したらしい。


「姜芽様!」

すぐにキョウラが駆け寄ってきて、回復してくれたが…それでも、すぐには立てない。

それだけの激痛であった。



そんな俺達の様子を見届け、苺はぽつりと呟くように言った。

「エリミア…」


「ずいぶん切ない顔してるわね?でも、これは仕方ないことなのよ。この国の為にはね」


「…本気で言ってる?」


「ええもちろん。じゃなきゃ、ここまでの事するわけないでしょ?」


苺…もといサディは、身を震わせた。

「なら、私からあなたに出来る事は一つ」


「何?」


「かつての友として、役目を果たす…!」

苺は一度左手を右肩にやり、その上で上げた。

「奥義 [裁光神眼・星火燎原]」

エリミアを中心に、目玉のような形の白い光が現れる。

そして、それは目を開けていられないほどの光を放ち…

文字通り「裁き」を下した。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ