表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
8章・エルメルの戦火

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

596/693

第563話 息を奪う山

 そこからの道のりは、まさに想像を絶するものだった。


木々が見えなくなってまもなく、現れる異形は岩石などでできた硬い体の物質系がメインになった。

そのため、純粋な剣士であるルファリアたちで対処しきるのは難しくなり、俺やナイア、柳助が参戦して戦う場面が増えた。


異形自体も地味に強く、耐久はもちろんだが攻撃力もある。

大岩を飛ばす攻撃などは、速度こそ遅めなものの当たるとかなり手痛い。


タックルを繰り出してくるものもいたが、これもまたまともに食らうと深刻なダメージを受ける。

タイミングが把握できてからは、ガードやカウンターのチャンスにもなったが、それでもミスれば真面目に危ない。


 さらに、これは異形とは関係ないのだが、進むほどに息が苦しくなってきた。

それは俺だけではなく、共に前線で戦っていた柳助やナイア、ラスタ内にいた樹や煌汰も同様に息を切らしていた。


高山では空気が薄くなる・・・という話を聞いたことがあるが、それは本当なんだなとしみじみ思った。



 やがて、ソティアが頭痛とめまいを訴えたのを皮切りに、他のメンバーにも続々と体調不良を訴える者が現れた。


煌汰やメニィは吐き気がする・・・と言った後本当に吐いていたし、キッドやはなは頭痛がするから寝ると言って部屋に戻っていった。

たぶん、みんな「高山病」ってやつにかかってるんだろう。


 そんな状況を受けて、輝は「この辺で一旦止まる」と言い出した。

先を急ぎたいであろうリュミエールたちは、怒るかと思いきや、むしろ輝に感謝していた。


「ありがとうね。正直、私たちも具合悪いの」


リュミエールは、他のムーランたちを先導してラスタに戻ってきた。

なんと、彼女たちはみんな体調を崩しているらしい。


 マーディアの三姉妹については、高山病になったっぽいのはソティアだけで、レイヴェリアとルファリアは平気そうだった。

同じ高位の異形でも、そこは個人差があるのだろうか。


かくいう俺も、まだ体調を崩してはいない。息苦しさを感じてはいるが。




 夜、ラスタの光景は異様なものとなっていた。

メンバーのおよそ半数が体調を崩し、さらに彼らの看病をする者が現れたため、夕食の時間にリビングに来たのは、わずか10人ほどだった。


「ずいぶんガラガラだな・・・」


猶がぼやくように言った。


「しょうがないよ。みんな具合悪いか、その世話に当たってるんだから」


キッドが、ポテトサラダをつまみながら言った。


 今晩の食事は、ハンバーグにキャベツとトマト、それとポテトサラダだ。

体調不良の面々には、別途でうどんを作ってもらうことになっている。

そんなことができるだけの食材を確保できたのも、あおいのおかげだ。


ちなみに、今日の料理は本来煌汰とメニィ、樹がやる予定だったのだが、この3人は軒並み高山病になってしまったため、代わりに亜李華とレナス、美羽が担当した。


「しかしまあ、柳助とかもなっちまうとはな」


 龍神がそう言った。

彼は、最初の七人のメンバーこと「チーム・ブレイブ」の中では数少ない、高山病になっておらず、誰かの看病にも回っていない男だ。

それを言うと、俺もなのだが。


「だな。輝も頭痛いって言ってたし、キョウラも吐き気がするって言ってたからな・・・今まともなの、ここにいる奴らとみんなの看病に回ってる連中だけだな」


「皆さん、早く回復してくれるといいですね・・・」


亜李華が心配げな顔で言ったが、レナスは首を横に振った。


「高山病は、治るタイミングにも個人差がある。早く治る者は、明日にでも治っているだろうが、遅い者はどれくらいかかるかわからん」


「そんな・・・!」


「まあ、仕方ないか。けど、輝が治ってくれないとまずいね。うちら、こっから1ミリも進めないじゃん」


 美羽が苦笑いした。

ラスタの操縦は基本的に輝しかできないので、彼がダウンするとどうにもならない。


「あんまり急いで登っても、具合悪くなるやつが増えるだけよ。それにこの先は、もっと寒くなるだろうしね」


あおいの言う通りだと思った。

ここから先さらに標高が高くなれば、その分高山病のリスクも上がるだろうし、気温も下がるだろう。


 すでに、外では雪が降り始めている。

昼間でも、森林限界を超えたあたりから寒くなってきたなとは思っていたが、このあたりでは普通に積雪が見られる。


俺は火属性なのもあって、寒いのは苦手だ。

そんな中で外に出て戦うなど、もってのほかである。


「ってことは、どの道しばらくはここに留まるしかないってことか。まあ・・・ここは快適だからいいんだけど」


 ラスタの中は、常に気温が一定に保たれている。

エルメルに来てから、その恩恵を感じる場面は少なかったが、今は多いに恩恵を感じる。


「とりあえずは適当に時間を潰して、輝とみんなの回復を待とう。今の俺たちにできるのは、それくらいだ」


俺はそう言って、夕食を片付けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ