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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
2章・サンライト訪問

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第49話 魔法使いの戦い

苺達はまっすぐ敵の中へと突っ込んでいく。

当たり前のように飛んでくる砲撃は、華麗なまでにうまく回避する。

そうして見事敵陣までたどり着いた苺達は、なかなか派手に暴れてくれた。

苺はもちろん、残りの3人も近距離で向こうの魔法を上手く回避し、結構舞っている。


そして、遠距離に砲撃を撃ってきていた奴がやられたのを見届け、俺はみんなに言った。

「よし、全員突っ込むぞ!」


みんなで一斉に駆け出す。

奴らは完全に苺達に気を取られており、こちらを見ている者は誰もいない。

今がチャンスだ。

苺の魔法のおかげで砂に足を取られず、平地と同じように走れた。


しばらくは何もなかった。

しかし、ある時向こうの何人かがこちらを見て、火の玉を飛ばしてくるようになった。

「気づかれたか!」


「一旦分散しよう!」

俺達はみんなバラバラになり、その上で突っ込む。

火の玉は連射してくる訳でもなく、一定の間隔で飛ばしてくるので、避けるのは難しくない。

ちなみにタッドや輝は火の玉を躱しつつ弓を射って攻撃し、ラギルやナイアは武器で火の玉を受け流していた。

俺も時折、斧を横に持って火の玉を受け流す。


そうしてあと一歩という所まで近づいた時、突然何人かの足元から鋭い岩が飛び出してきた。

それを見るや否や、柳助がハンマーを振るって叫んだ。

「[ゼルクラッシュ]!」

すると、岩は瞬時に粉砕された。

次は複数の岩を宙に浮かべて飛ばしてきたが、これも柳助が手を翳すと空中で静止し、地面に落ちた。


俺は斧を振り上げ、最寄りの敵に向かって走る。

そいつは、魔導書を取り出して唱えた。

「[アイシクル]」

足元から小さな氷が現れたかと思ったら、俺の身長ほどもある氷柱が現れた。

見事突き上げられ、空中に飛ばされたが、逆にそれを利用して勢いをつけ、相手を叩き割った。

それは文字通り、真っ二つにしてやった。


周りを見てみると、なかなかすごいことになっていた。

魔法使い達が繰り出す氷や光、岩などの魔法は、みんな可能な限り躱していた。

全てを完璧に躱し切るのは難しいようだが、被弾してもそこまでのダメージは受けていなさそうだった。

ただ、タッドやミロウは少々キツそうだった。

苺のおかげで耐性をつけているとはいえ、そもそもの魔法耐性が低いから仕方ないが。

って、何でそんな事わかるんだ、俺は。


「…皆さん!大丈夫ですか!?」

メニィが、相手の魔法使いを赤い火で焼き払いながら言ってきた。

それに対して俺は、

「大丈夫だ、こっちはな…!」

と、相手の胸元に突き刺した斧を引き抜きながら返した。


「ああ、おかげさまでな…!」

煌汰は、二人の敵を相手取りながら返す。

なんとも器用なことに、前の敵が出す地の魔法を躱しつつ、後方の敵が使ってくる氷の魔法を盾で受け止めている。

前後にいる敵をまともに相手するなんて、そんな無茶振りしなくてもいいだろうに。


「煌汰さん!?…[ヒート]!」

メニィが後方の敵に火を浴びせてふっ飛ばしてくれたおかげで、煌汰は前の敵と一対一の状況になった。


と、その直後メニィの背後から鋭い氷が地面を張って襲ってきた。

それを背に受けたメニィは、若干苦しそうな顔をしたが、すぐに振り向いて反撃した。

やっぱり魔法種族だな…と思った直後、視界の左側から雷が飛んできた。


「っ!」

左肩に食らった。

その瞬間の感触は、「痺れる」というより「痛い」だった。

電撃が抜けた後も痛い…というか、雷を食らった所が裂けて出血している。

結構エグい傷になっていたが、幸か不幸か、腕を捲っていたので服は破けていなかった。

そして、すぐに「アクスカッター」を飛ばし、今魔法を撃ってきた奴を倒した。

こちらも自分の心配をせねばならないようだ。


そしてしばらく戦闘を続けていると、突然、

「奥義 [氷剣の舞]!」

という声が響いた。

その直後、あたりに無数の斬撃がほとばしり、敵の魔法使い達がバタバタと倒れた。


「…煌汰!」

今の声は、煌汰のものだった。

肝心の本人は、剣を鈍く水色に光らせ、盾と一緒に構えていた。

「…どうだ、これで多少は楽になっただろ!」


「ああ…!」

煌汰のおかげで、大半の敵は片付いた。

残る敵は10人もいない。


すると、派手な赤いローブを着込んだ、敵の大将らしき髭の男が唸った。

「くそっ…ならばこうしてくれる!」

男はひときわ立派な魔導書を取り出し叫ぶ。

「我が魔導の威力を思い知れ…[ファイアストーム]!」

突如熱風が吹き荒れ、同時に炎の柱が複数本現れた。

それは男の両脇から現れ、こちらへ向かってくる。


「まずい…!」

見るが早いか、メニィとキョウラとセルクは杖を掲げて叫んだ。

「[フィメール]!」

さらに、そこに苺が別の魔法を唱えた。

「[シルディム]!」


すると、俺達の前に結界が現れた。

それは苺の魔法のおかげでより頑丈になったらしく、火柱が一斉にぶつかってきても何ともない。

それを見て大将は驚きつつも、すぐに次の命令を下した。

「なっ…!結界で防いだ、だと…!

…いや、いい。それより、者共!あの女どもを先に始末せよ!」


魔法使い達は一斉に苺達目掛けて火の玉や雷を飛ばしてきた。

すると、苺は何を思ったのか突然結界を消し去った。

そして、奴らの魔法が当たりそうになった、その時…

「[リペルパ・ベルティ]」

苺は謎の言葉を唱えた。


すると、放たれた魔法は全て苺の前で止まり…

いや、反射され、放った奴らに跳ね返った。


そして、奴らは自分自身の魔法を食らって吹っ飛んだ。


「…!」

唖然とする男に、苺は一歩一歩歩み寄る。

「あなたは…メザン、だったかしら?ここで何をしてるの?」


「なぜ私の名を…お前、何者だ!」

苺は、へえ?というような顔で言った。

「逆に、わからないの?」


「…知らん!お前のような女、知るものか!

それに、なんだその格好は…まるで大司祭様ではないか!」


「あら、その言い方は何?大司祭と呼ばれる存在が、ここにいるの?」


「当然だ…この国を収めておられる方が、この神殿にはいらっしゃる!一般の修道士の分際で、あの方と酷似した格好をするとは、とんだ恥知らずめ!」


「へえ…」

苺は妙に納得したような顔をした。

「お前達のようなものを、この神殿に入れる訳にはいかぬ…この上は、大司祭様より授かりし極意を使う他あるまい!」


「極意…?」

男は、ただならぬ雰囲気を醸し出す黒い魔導書を取り出して叫んだ。


「大いなる存在、グランメルド!今こそ、ここに顕現せよ!」





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