表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
8章・エルメルの戦火

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

574/693

第541話 立ちはだかる双牙

 バルトが再び大剣を構え、こちらを睨んだ。

だが──もう、さっきまでの余裕はない。

奴の肩口にはルファリアの斬撃の痕、手にはミアの炎で焦げた跡が残っている。


「──行くぞ!」


俺は剣を掲げ、再び突撃した。

それに呼応するように、龍神が雷刃を振るい、ルファリアが風の一閃を放つ。


 バルトは大剣を振り上げ、正面から迎え撃つ。


「[氷縛鎖]!」


煌汰の術が、奴の足元に伸びた。

氷の鎖が絡みつき、バルトの動きが一瞬だけ鈍る。


 そこを目掛けて、俺の剣が大剣と正面でぶつかる。

衝撃で腕に痺れが走るが、この程度何でもない。


同時に、左右から龍神とルファリアの刃が襲いかかる。

バルトは大剣を押し返し、二人を薙ぎ払おうと振るう。


──その刹那。


「[火返し・閃]!」


 ミアが放った扇の一閃が、バルトの大剣の軌道を反らした。

振り抜かれた大剣がわずかに逸れ、ルファリアと龍神はギリギリで間合いを保つ。


「おっと・・・!」


それでバルトがバランスを崩した瞬間に、龍神の雷刃が突き刺さった。


「[烈雷穿]!」


 雷光が炸裂し、奴の身体が大きく仰け反る。

それでもバルトは踏みとどまり、大剣を逆手に振り上げようとした。

だが、そこで煌汰の放った氷がバルトの腕を狙い、一直線に飛んだ。


「[氷刃砕破]!」


見事に命中し、大剣を振り上げるその腕を凍らせ、動きを封じる。


バルトの表情が苦痛に歪む。

俺は、剣に力を込めた。


「これで──終わらせる!」


 炎を纏った剣が、バルトの胸元に向かって突き込まれる。

奴は必死に大剣で受け止めてきたが、その刃をミアが再び扇で払った。


「・・・させない、よ!」


バルトの大剣が弾かれた瞬間、俺の剣が奴の肩を貫いた。


「ぐ、あああっ!!」


 裂けた肩口から、血飛沫が舞った。

そして、バルトはついに膝をつく。


「・・・ふう」


俺は深く息を吐き、剣を構え直した。

龍神、ルファリア、煌汰、ミア──全員が俺の隣に立つ。


「・・・もう終わりか?」


 俺の問いかけに、バルトは苦笑した。


「大した奴らだな、お前ら・・・」


バルトが、静かに大剣を地に突き立てる。


「・・・降参だ」


そう言って、奴はようやく──戦意を手放した。




──かに思われた、その時だった。


「・・・甘いね」


低く、乾いた声が頭上から降ってきた。


 次の瞬間──

鋭い風の刃が、俺たちを真横から薙ぎ払った。


「っ──!?」


咄嗟に剣を構え、俺は斬撃を受け流す。

ルファリアと龍神も飛び退き、煌汰は氷壁を展開する。ミアは、扇を払って身を低くした。


 そして、闇を裂くように降り立った影。

真っ黒な弓を手にした、痩身の男。

奴──ヴァルは、薄く微笑んだ。


「お前・・・!」


煌汰が驚いたように唸る。

だが、そう言えばこいつもいたんだった。


「なんだ、そんなに驚くことか?・・・俺はまだ、くたばっちゃないぜ」


同時に、傷だらけになったはなと亜李華とリャドの姿が視界に入り、彼らの存在を思い出した。


 この時、俺は気づいた。

ついさっきまで、こいつが出てこなかったのは、はなたちが相手してくれていたからだったのだ。

 

ヴァルは弓を肩に担ぎながら、俺たちを値踏みするように見渡す。


「そこの女どもは・・・まあまずまずだったよ。けどな、正直女は傷つけたくない。この国じゃ、こんな綺麗ななりした女は珍しいからな。いい取引道具になるぜ」


 やはり、こいつは女を商売道具、ものとして見ているらしい。

まあ、盗賊としてはいかにもな感じだが。


「あんた・・・!卑怯じゃない、今の!」

 

ミアが怒ると、ヴァルは肩をすくめた。


「戦いってのは、勝てりゃいいんだ。堂々としてるかとか、綺麗か汚いかなんて、そんなのは関係ない」


 そう言って、奴はバルトに目を向けた。


「ほら、立てるだろ?」


バルトは肩を押さえ、苦笑したまま立ち上がる。


「・・・相方の手前、こんな格好悪く終わるわけにはいかねぇよな」


そして──二人並んで、俺たちを見据えた。


「次は二人まとめて、だ」


ヴァルが、漆黒の弓に風の魔力を纏わせる。

バルトは血の滲む肩で、それでも大剣を肩に担いだ。


「っ・・・!こいつら・・!」


煌汰が改めて剣を構え、氷を纏わせる。


「・・・いいだろう」


 俺も剣を構え直す。

はなたちと、彼女たちを瞬時に回復した龍神とミア、あとルファリア、それに煌汰──全員が、無言で頷いた。


「今度こそ、決着をつけよう!・・・もう、邪魔は無しだ!」


風が唸り、雷が閃き、氷がきらめき、炎が舞う。


“月葬の夜会”の幹部と、ラフトレンジャーの小隊長。

それらとの、全力の戦いがここに始まる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ