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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
2章・サンライト訪問

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第44話 砂漠の旅

かくして俺達は大神殿へ向かった。


しかし、その道中でやたらと異形が現れた。

それも、これまでに現れた奴らより明らかに強い奴ばかり。

これまでのは、俺が斧を普通に振るうだけで倒せていたが、このあたりの奴らは技を出さないと倒せないのだ。

正直倒せないよりは全然いいのだが、ちょっと面倒くさい。


ちなみに出てくる異形は蛇っぽい…というか、体のどこかが細長いものや鱗や硬い皮膚で覆われているものが多い。

猶曰く、今出てきてるのは「蛇系」あるいは「爬虫系」の異形であるらしく、だからか、と何となく納得した。

そのイメージから想像できる通り、毒を持っているものがちらほらいるようで、攻撃を受けた仲間が定期的に体調不良を訴えた。

もちろん、俺もその一人だ。


最初に毒を受けたのは「ポルムー」と呼ばれる異形と戦った時だった。

こいつはミミズとコウモリをくっつけたような姿をしていて、翼で浮き上がり、飛び込んでくるという攻撃をしてくるのだが、それを左肩に受けた途端、鈍い痛みと共に異様なほどの吐き気と頭痛が襲ってきたのである。

すぐに治療してもらったが、あれが長時間持続したら…と考えると気分が悪くなる。

下手をしたら、インフルとか二日酔いよりきついかもしれない。


ちなみにこの世界の毒には複数の種類があるらしく、俺が受けたのは「弱体毒」という種類の毒らしい。

なんでも対象の体調に著しい異常をきたし、同時に魔力を下げる毒であるとのことだ。

ゲームでよく見る毒みたいな、徐々に体力が減っていく…というものではないようだが、これはこれでキツい。

あんな状態で戦うのは苦行だ。


ちなみに、別の所では「ミラック」と呼ばれる赤いでかいミミズみたいな異形に噛まれた煌汰が体の麻痺を訴えたり、「ジーフル」と呼ばれる青白くて体中に目があるでかい蛇型の異形の攻撃を食らったラギルが真っ青になったりもした。

もちろんいずれもキョウラ達が治療していたが、メニィや苺も毒を治せるのは少々意外だった。


なお、煌汰達が食らったこれらはそれぞれ「麻痺毒」「負傷毒」と呼ばれる毒であるらしい。

この世界には、毒と言っても色々あるようだ。

というか、麻痺も毒に入ってるとは。


まあ、人間界でも体を動かなくさせる「神経毒」なんて毒がある、なんて話を聞いたことがあるし、そういう種類の毒なのかもしれない。


細かい所だが、キョウラ達は毒を治療する際は皆杖を出して魔法を使っていたが、唱える呪文が違っていた。

メニィは「カイル」と唱え、苺とキョウラは「エスト」と唱えている。

この違いは何なのか聞いてみた。


そもそも、彼女らが毒の治療を行えるのにはちゃんとした理由があるようだ。

修道士は元々「邪悪な存在に対抗する」事に長けているため、異形がよく仕掛けてくる毒や呪いの治療は得意であるとのこと。


術士はそれ自体はまだ専攻の属性を決めていない種族であるが、メニィは魔法使い志望だ。

魔法使いは、「理」の魔法を扱う種族。

そして、その「理」に分類される属性魔法の一つである「地」の魔法に解毒の魔法があるらしく、それを扱えるがために解毒が出来ているらしい。


よくわからないが、まあ助かるからいいとしよう。




その存在に助けられたのは、何もキョウラ達だけではない。

全ての仲間…特に、苺の存在がとてもありがたかった。


苺の放つ魔法は、詠唱自体はキョウラと同じだが、明らかに威力が上なのだ。

ある異形にキョウラが「ホーリー」と唱えても倒せないが、苺が同じ魔法を使うと一撃で倒す事ができる。

それどころか、苺は俺達なら地味に辛いくらいのダメージを食らってもあまり動じない。

キョウラは「やはり司祭様ですね…」なんて言ってたが、それ関係あるのか?

上位種族って、やはりゲームの上級職のように能力に補正がかかるものなのだろうか。

だとしたら、尚の事上位種族への昇格に憧れる。





出発から2日後の夕方、みんなで相談して目的地を少し変更することにした。

具体的には、神殿から2キロほど離れた所にあるカンレルという町に寄ることになった。

ここまでの道中での消耗が思ったより激しく、しかも恐らく神殿までこんな感じの道のりが続く。

それを踏まえて考えると、神殿につく頃にはボロボロになっている可能性が高いため、一度町によって補給と休養をする事にしたという訳である。


「それにしても妙ですね…以前は、こんなに異形はいなかったのに…」

苺が首を捻る。


「恐らくは、レギエル姉妹が原因だろう」

猶が言った。

「奴らは苺さんを倒した後、国を乗っ取って好き勝手やってるそうだ。その一環で異形を放った…って可能性はないか?」


「…確かに、考えられる事ではありますね。しかし、もしそうだとしたら、彼女らは一体何をしたいのでしょう?国を乗っ取ったのに、わざわざ国民の脅威となる異形を放つなんて…」


「そこは…まあ…よくわからん。だが、今パッと考えつく原因としては、それくらいしか思い浮かばない。俺はサンライトの内部事情には詳しくない。けど、少なくとも異形だらけの国ではないと思うんだが、違うか?」


「その通りです。サンライトは本来、日々異形の脅威に晒されるような国ではありません。

それに、ここまでに現れている異形たちも、明らかに自然に発生したものではない…もしかしたら、本当にレギエル姉妹が解き放っているのかもしれません。

だとすれば、一刻も早く神殿へ赴き、彼女らを追い出さなければ!」


「それはそうなんだが…目的を忘れてないよな?俺達の今の目的は、あくまでもあんたのお友達に会って、お話を伺う事だぜ」


「…そうでしたね。すっかり忘れていました」


「…ま、とりあえず今日はここで停泊しようぜ。みんな疲れてんだ、早めに休んで、しっかり体を休めようぜ」

真っ当な意見である。

苺も納得したようだった。


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