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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
7章・魔法の国ラーディー

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第448話 時超えの大魔法

 王は満足げに皆を見渡すと、「さて、そなたたちにはもう一つ見せたいものがある」と告げ、また別の部屋へ移動した。


その先の部屋では、地面に大きな魔法陣が描かれており、天井からは何やらやたら大きな丸い魔力の球体がぶら下がっていた。


「わしはここ数年間、とある魔法を研究している。『ダイムルキル』という、時空を超える大魔法だ」


「時空を超える・・・!?」


驚きの声を上げたのはセルクだった。


「うむ。時空を超える、歪めるという行為は、本来なら相当な高位の魔法種族でなければできぬことだ。だが、この魔法さえあれば、それが誰でも容易にできてしまうのだ!」


「つまりは、時を操ると?しかも、誰でも・・・そんな魔法が、本当に・・・?」


「生憎、完成にはまだ至っておらぬがな。だが、そなたたちには1つ、研究の成果をお披露目しよう」


 王が手を叩くと、奥の扉が開き、何人もの学者風の人物が入ってきた。その中心に立つ老人が、杖を突きながら前に進み出る。


「この方は、我が国の誇る大賢者。ガルザス殿だ」


「どうも、皆様。ガルザスと申します。旅人の方々、貴重な機会に立ち会えることを誇りに思いますぞ」


大賢者、ということは賢者のさらに上、魔法使い系の最上位種族か。

魔法使いであるメニィとセルクにとっては、種族上のゴールである。


白髪の長い髪と髭を持つその老賢者は、どこか神秘的な雰囲気を纏っていた。


「では、早速始めてくれ」


「はい・・・」


 ガルザスがそう言い、賢者たちが祭壇の周りに並ぶ。そして、中央に描かれた魔法陣へと杖を向けた。


「古き時の流れ、其れに干渉し、新たなる扉を開かん・・・」


詠唱が始まると、魔法陣が淡い金色の光を帯び始めた。


俺たちは思わず息をのむ。

時を超える魔法なんてロマンの塊だが、果たして成功するのだろうか?


「ここに、顕現せよ・・・大魔法『ダイムルキル』!」


 ガルザスが杖を振り下ろした瞬間、魔法陣からまばゆい光が迸った。


「うわっ!」


「なっ・・・!?」


強烈な閃光に目を閉じた次の瞬間──

ワープのように、どこかへ飛ばされる感触を覚えた。






 気づけば、俺たちは広大な草原に立っていた。

先ほどまでの部屋はどこにもない。


「ここは・・・?」


辺りを見回すが、見覚えのある景色はない。


「何だ・・・何が起きたんだ!?」

樹が焦った声を上げる。


「明らかに城じゃない・・・ぼくたち、どこかに転送されたっぽいですね」

キッドの言う通りかもしれないが、だとしたらここはどこだ?


「もしかして、魔法が未完成だったために失敗・・・したのでしょうか?」

亜李華が不安げに呟く。


「いや・・・これって、まさか・・・」


メニィが何かに気づいたように、震える声で言った。


「昔本で読んだんですが、時超えの魔法は、失敗すると術師の意図していないものが別の時代に飛ばされることがあるそうです。まさかとは思いますが、魔法が失敗して、私たちが別の時代に飛ばされたんじゃ・・・?」


 その言葉に、皆が絶句する。


「・・・おそらく、そうかと」


キョウラが俺を見つめ、不安そうに口を開く。


「キョウラ・・・」


「メニィさんが仰った話、私も聞いたことがあります。もしかしたら、私たち本当に違う時代に来てしまったのかもしれません・・・!」


「・・・マジかよ!」


 まだ、状況を理解しきれていなかった。

──だが、それを考えるよりも早く。


遠くから、太鼓の音と、無数の軍勢の足音が響いてきた。


「・・・何か来るぞ!」


 俺たちは息を呑み、視線を向ける。


──そこには、鎧に身を包んだ無数の騎士?たちが、進軍していく姿があった。


そしてその先には、あちこちが腐敗し朽ち果てた死体のような・・・「ゾンビ」のような怪物の群れがいた。


「あ、あれは・・・」


「アンデッド・・・?まさか!」


 セルクが手を叩いた。


「ラーディーは昔、どこからか現れた無数のアンデッドによって、国自体が滅びそうになったことがあるんです!当時は国中の至る所で、常にアンデッドとラーディーの人たちとの戦いが起きていたと聞きます!」


「それって、何年くらい前だ?」


「えっと・・・確か、500年くらい前だったと思います!」


「500年!?ってことは・・・!」


皆は顔を見合わせた。

セルクの話、そして俺たちの考えが正しければ・・・



 ここは、500年前の過去。

俺たちは、過去に飛ばされてしまったのだ。


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