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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
間章・空翔ける翼

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第428話 邪鳥の眷属

「全員、構えろ!」


 俺は咄嗟に叫び、斧を握り直した。

アムリカは何やら邪悪な瘴気を纏っており、それが肌にまとわりつくような不快感をもたらす。


「呪術師・・・まったく、厄介な相手です」

キョウラが低く呟きながら、剣に光を灯す。


「異光教団ねえ・・・また面倒な連中が絡んできたな」

龍神が舌打ちし、弓に雷を宿す。


「お前たちは、何がしたいんだ?ハーピーを操って、町の人を殺して・・・」

 輝が静かに問いかけると、アムリカは冷笑を浮かべる。


「奴らは・・・言うなれば、生贄だ。主を呼び戻すための道具に過ぎん」


「・・・主だと?」


 俺は背筋が凍った。

異光教団が信奉する存在——もしかして!


「もしかして、竜王の封印を・・・!」


「ご名答」

 アムリカがゆっくりと杖を振るう。


その瞬間、ボスハーピーの亡骸が紫の霧に包まれた。

消えるのかと思いきや、黒い靄の中で形を変えていく——


「これは!」


 ボスハーピーの体が、異形へと変貌していく。

翼は引き裂かれ、黒く禍々しい羽毛が生え、爪がさらに鋭く伸びる。


 何より、頭部が変わっていた。

もはや鳥ではない。牙を持ち、瞳は燃えるような紅蓮の色を宿している。


「『邪鳥の眷属』・・・!」


キョウラが驚愕の声を上げた。

彼女は、この怪物を知っているのか。


「セーメルの死は無駄ではなかった」

 アムリカが満足げに笑う。


「さて——絶望の始まりだ」


邪鳥の咆哮が、辺りに響き渡る。

霧がさらに濃くなり、周囲の気温が急激に低下する。


「・・・まずいぞ」

 アルテトが弓を構えるも、指先が凍りつくような感覚に襲われている。


「これは・・・!」


 俺の体も、重い。

まるで大気そのものが邪気に満ち、俺たちの力を削いでいるような感覚——


「奴が・・・力を奪っているのか?」

輝が苦しそうに膝をつく。


「・・・竜王の力。その片鱗を見せてやろう」


アムリカの杖が輝き、邪鳥が空へと舞い上がる。

そして——


「[虚空の叫び]!」


 邪鳥が口を開くと、闇そのものを孕んだ衝撃波が放たれた。


「くっ・・・!」


防御の術を発動させる間もなく、その波動に飲み込まれる。

体が弾き飛ばされ、大地を転がった。


「っ・・・なんて威力だ・・・!」

 輝が血を吐きながら立ち上がる。


「これほどの力・・・異光教団、何を企んでいる・・・?」


アルテトが震える手で弓を持ち直す。


「貴様らに教える義理はない……だが、せめてもの慈悲だ」


アムリカが薄く笑い、静かに告げる。


「死ぬ前に知るがいい。我らが主はまもなく目覚める。

貴様らはここで終わる。それが、定めなのだ」


「冗談じゃねえ・・・!」


 俺は斧を構え直し、足を踏み込む。


「運命を決められるのは、自分だけだ!」


冷たい空気を切り裂かんばかりの勢いで、技を繰り出す。


「斧技 [氷華半月]!」


ジャンプしつつ冷気を纏わせて切り上げ、アムリカを切り裂く。

さらに、小さな光を降り注がせる術「スコールフラッシュ」を唱えた。


 今、霧によって封じられているのは火属性の攻撃だけだ。

よって、光は普通に使える。


「ぐおっ・・・!」


それによって、アムリカが怯んだ。


「——行くぞ!」


 俺は、冷たい霧を振り払うように地を蹴った。

アムリカの邪気が渦巻く中、邪鳥の影が空を覆う。


「剣技 [裂空斬]!」


キョウラが一閃を繰り出し、剣から放たれた風の刃が邪鳥の翼を裂いた。

だが、邪鳥は怯まない。むしろ傷口から黒い霧を放ち、傷を瞬く間に塞いでいく。


「これなら・・・どうだ!」


 龍神が雷を弓に込め、素早く矢を放つ。雷の軌跡が邪鳥の体を貫いたが、雷が霧に呑まれ、効果が薄れる。


「っ!これじゃ、決定打にはならん・・・!」


「ならば、削りながら戦うしかないな!」


輝が凍える手で矢を放つ。

矢は正確に邪鳥の左目へ向かうが、寸前で羽ばたきに弾かれた。


「くそっ……!」


 アムリカは薄く笑っている。


「無駄だ。我が主の力を受けた眷属に、貴様らの攻撃など通じぬ・・・!」


「・・・なら、通る攻撃をすればいいだけだ!」


俺は斧を振り上げ、邪鳥の影へと突っ込む。


 そして、ここで新たな技を閃いた。


「斧技 [断滅衝]!」


斧を大地へ叩きつけ、空中にも響く衝撃波を放つ。

波動が邪鳥の羽を削り取り、一瞬、奴の体がぐらつく。


 そこを狙って、輝が技を繰り出す。

「[穿影の矢]!」


 輝が地を蹴り、邪鳥の腹部へ鋭い矢の一撃を放つ。しかし、邪鳥はその瞬間、空へと跳躍し、攻撃をかわした。


「ちっ・・・!」


 邪鳥の瞳が紅く輝き、再び黒い衝撃波が放たれる。俺たちは各自防御を取るが、さっきよりも威力が増している。


「ぐっ・・・!!」


 みなは膝をつく。

俺も歯を食いしばりながら立ち上がる。


「・・・」


 一度、落ち着いて状況を確認する。

今のところ、こちらが少々不利だ。


火属性が使えないのは、俺にとっては奥義を封じられたも同義である。

だが、それで弱気になるわけにはいかない。


 俺は斧を握り直し、仲間たちを見回す。


「みんな・・・一気に決めよう!」


「・・・!?行けるのか?」


「霧が消えてるから、大丈夫なはずだ!」


 武器を握る右手に炎を纏わせ、構える。


「ただ、俺1人じゃダメだ・・・みんなの力が、必要だ!」


その言葉に、キョウラがふっと笑う。


「・・・仕方ありませんね」


「そうかい。なら、派手にやるか」


 龍神が弓を構える。


「弓技 [双雷矢]!」


雷の矢が二本放たれ、邪鳥の両翼へ突き刺さる。

そして、電撃によって痺れた邪鳥の動きが鈍る。


「剣技 [星剣陣]!」


 キョウラが剣を舞わせ、空間に光の陣を描く。その輝きが邪鳥の体を包み、霧の力を弱めていく。


これで、火属性技を使えるようになったはずだ。


「『掟に抗え』!奥義 [凍結時間(フリーズタイム)]!」


一時的に時間が止まり、こちらだけが動ける状態となった。


「[貫穿の一矢]!」


 アルテトの矢が邪鳥の胸を貫く。


俺は一気に駆け出し、弓を刀に持ち替えた龍神と共に技を放つ。


「[紅蓮割り]!」


「[天断破]!」


 火属性の、渾身の一撃を邪鳥の頭部へ叩き込む。

轟音とともに邪鳥の頭が砕け、黒い霧が弾け飛ぶ。


「——!?バカな・・・!!」


アムリカが驚愕する。


「終わりだ・・・!」


 これで、操られていたハーピーは倒した。

俺たちは、息を切らしながらも勝利を確信した。




「・・・甘いな」


アムリカは不敵に笑った。


「まだ、終わらんよ」


 その言葉とともに、邪鳥の残骸は黒い霧となった。

そしてそれは瞬く間に辺りに広がり、視界を奪う闇となり、アムリカの姿をその中に隠した——。


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