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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
6章・ロロッカの深み

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第399話 遺跡守る者たち

 それから4日後、サードル旅団の襲撃を受けた。

夜、砂漠を進んでいたら突如襲われたのだ。


夜は砂漠には異形はさほど出ないらしく、実際ここまで夜に異形をあまり見かけてこなかったので、ラスタのステルスを解除していたのだが、そこを狙われた。


 3人組の女だった。

それぞれ格好と武器が違っており、ちょっと魔法使いっぽいピンクの服を着たやつは、火の魔導書や中級の火術を使ってきた。


かといって水に弱い、というわけでもなく、樹の「慟哭突き」や「テムペスト・マリーン」を受けてもすぐには倒れなかった。

輝によると、このような「火魔法をメインに使う」旅団員は「ファイアウィッチ」と言うらしい。


 また、他の2人は黒い頭巾とマントのようなものを羽織っていて、なんと姿を消してきた。

どこいったとキョロキョロしていると、姿を見せた時には後ろにいた輝の首に短剣を突きつけていたりした。


2人は怪しげな見た目通り闇魔法を使ってきたのだが、その中には即死魔法もあった。

詠唱はなかったし命中もしなかったが、黒い光が煌めくという演出を見て何となく感じた。


 出撃メンバーには苺と亜李華(ありか)がいたが、2人の光魔法を当てても特効とはいかなかった。

こちらも、普通の闇使いのように光が弱点というわけではないようだ。


こちらの荷物を狙ってきた可能性もあるが、傭兵である以上、誰かに依頼を受けてきた可能性もある。だが、聞いたところでそれを答えてはくれないだろう。


 ちなみに、このタイプのサードル旅団員は「ナイトクリーパー」と呼ばれるそうだ。

報酬と依頼にしか興味がない一流の傭兵で、闇属性であるためか夜にのみ仕事を受け持つ。

しかし、その依頼料は異様なまでに高く、並の者ではまず雇用できない・・・という。


「あなた達が来ることは、夜の闇が示していた」

「深い闇の中に、依頼の敵の姿を見た・・・」


台詞からするに、やはり俺たちを襲うように依頼されたのだろう。

ここまでに現れた旅団もそうだったが、どこの誰が依頼しているのか。

それを突き止めない限り、これからもこうして襲ってくる旅団はいるだろう。



 幸い撃退はできた。だが、サードル旅団の連中はこの国には腐るほどいる。

そんな奴らと毎回戦闘していては、無駄に消費するし時間もかかる。


やはり、普段は基本拠点を透明にしておき、必要な時だけ透明化を解除する、を徹底したほうが良さそうだ。





 翌朝、しばらく進んでいると、砂の中に妙なものが埋まっているのが見えた。

銀色をした、時計の針のように尖った物体であった。


輝やアルテトに聞いてもわからなかったので、学者であるラウダスに聞いてみた。

すると、あれは古代の文明の遺物だと教えてくれた。


「この地にはかつて、ロブリア文明と呼ばれる文明が栄えていたんだ。高い技術力を持ち、様々な建物や機械を作ったと言われている。

その一部は、今の時代でも残っている。役目を終えて砂の中に眠っているものもあれば、今なお動いているものもある」


 つまり、古代文明の遺した技術力の産物、といったところか。

そしてそれらはきっと、今はもう滅びた文明を、かつて自分たちを作り出した人々を、守り続けているのだろう。


ちょっと物悲しい気もするが、ロマンのある話だ。


「ロブリアの文明が遺した古代の機械は、学者の間ではロブリア機構と呼ばれている。古代の技術を今に伝えてくれる、貴重な存在だ。

でも、同時にとても危険な存在でもある」


「・・・襲ってくるのか?」


「彼らは元々、文明を守るための守護者だったと考えられているんだ。そしてそのために、遺跡に踏み入る者を排除しようとする。

長い年月が経ち、守るべき主が消えてもなお、役目を果たそうとしているんだ・・・プログラムに縛られた機械の、宿命さ」


ラウダスは、切なく言い放った。




 突如、激しい揺れが襲ってきた。

地震とかとは違い、一瞬だけグワッと大きく揺れた。

「な・・・なんだ!?」

すぐに輝の元に急ぐ。


「輝!何があった!」


「そ、それが・・・地中から、何か大きなものが飛び出してきて・・・!」


「大きなもの・・・!?」


「そうだ!外の映像を見たけど、でっかいタコの足みたいなものが出てきて・・・!」


「タコの足・・・?」


その時、再びラスタが激しく揺れた。


そして、操縦席から見える光景は砂に覆われて真っ暗になり、降下するエレベーターに乗っているような感覚と共に、天井に打ち上げられた。


その感覚から、ラスタ自体が「落ちている」ことが、何となく感じられた。



 やがて落下は止まり、輝と俺は地面に叩きつけられた。


互いの安否を確認し、みんなの様子を見に行こうと部屋を出た。

すると、そこですでに数人が倒れていた。

みんなも数秒間大きく持ち上げられたらしい。


その後確認したところ、落下時に頭や腕をぶつけたという者が数名いたものの、けが人はいなかった。


「一体、何があったんだ?」


「その答えは、外に出ればわかるかと」


 苺・・・もとい司祭サディが言ってきた。

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