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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
6章・ロロッカの深み

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第346話 暇つぶしの冒険

一度拠点に戻り、再編成したメンバーはこの通り。

猶、輝、吏廻琉、はな、亜李華、アーツ、イナ。

本当はメニィあたりも連れていこうと思ったのだが、声をかけたら露骨に避けられた。

別に殺人者ばかりの構成、とかってわけでもないと思うのだが…なぜだろう?

…まあ、俺にとってはよくあることだし、今更気にすることでもない。

ちなみにアーツとイナは自ら名乗りを上げてきた。


で、洞窟に乗り込む前に村の人達に聞き込みを行った。

冒険するからには情報が必要だが、今はセキアもナイアもいないので、地道にかき集めるしかない。

もっとも、一応司祭組の魔法を使えば「これからどうするべきか」くらいならわかるが、それでも「聞き込みして情報を集めるべき」と出たりしたら、結局意味がない。


そして、その聞き込みでいくつかの有力な情報が得られた。

まず、あの洞窟の奥深くには正体不明の古代文明の遺跡があると言われている。まあこれは既出の情報だ。

次に、その遺跡には「ジエル」なる謎の存在が住み着いており、遺跡に近づくものに危害を加えてくる。その理由は不明だが、強大な力を持っており、少なくとも並みの異人では勝ち目がない存在。

こちらに関しては、有益な情報と言える。


それと、実は過去にあの洞窟に入っていった者は結構おり、すぐに引き返してきた者はみな無事に帰ってきている。が、ある程度以上深い所まで行った者で帰ってきた者はほぼいない。

ただ、その数少ない生き残りはみな、口を揃えて「あの洞窟には魔物がいる」、「二度と行かない」などと言うらしい。


それから、これは正確に言うと村の住人ではなくアーツの言っていたことなのだが、あの洞窟…「カムシャルの洞窟」にある古代遺跡には、多くの財宝が眠っているという。

また失われた古代の技術の塊と呼べるものも眠っているのはほぼ確実であり、学術的にも価値の高いものであるだろうと推測されているらしい。

尚の事、期待が膨らむ話だ。


そこにいるという「ジエル」なる存在は、長年古代遺跡に住み着いているということと、生き残りの話からするに、おそらく異形の類いだろう。

生きて帰ってきた者が少ない、というのはよく聞く話だが、果たしてどれほど恐ろしい異形なのだろうか。


無論、油断しているわけではない。だから、それなりに実力のある連中をメンバーとして選出した。

ブレイブのオリジナルメンバーである輝と、司祭の吏廻琉は言わずもがな、はなはちょっとスロースターターだが本気を出した時の強さはなかなかのものだ。

亜李華も、姜芽たちとの訓練で異能を使いこなせるようになってからはまずまずの実力だと思うし、アーツたちもとりあえず邪魔にはならないだろう。


と、そんな感じで情報も味方もそろった所で、いざ突撃だ。

どれくらい時間がかかるかわからないが、まあいい暇つぶしの冒険になるだろう。


「だいぶ深そうですね…」

洞窟の入り口で、亜李華が奥を覗き込みながら言った。

「結構地下の深いところまで続いてるらしいからな。…そうだ、暗視の魔法を」

アーツが「エルバウル」を唱え、真っ暗な洞窟の中でもクリアな視界を確保する。

こうして見ると、やはり暗視の魔法はすごい。

マ◯クラでも、洞窟探索に暗視のポーションは必須クラスのアイテムだった。まあ松明を置かないから迷うという問題はあるのだが。


洞窟の中には、暗がりを好む虫やコウモリがいるくらいで異形はいなかった。

ただ、亜李華は虫は好きではないようで、ムカデやサソリが出てくるたびにビクッとしていた。

実際こいつらは毒持ちだし、噛まれたり刺されたりすると危ないので的確に潰していく。


何気に外より涼しい。

日本の夏を思わせる蒸し暑さが特徴の密林地帯にあるとは思えないほど空気がひんやりしており、実に快適だ。

湿度も意外とそこまででもないので、実質程よくクーラーの効いた部屋にいるようなものだ。

こんな部屋でのんびりゲームか、ネット小説を書いたりしたらどれだけ良いだろうか。

無論読書でもいいが。


「なんか涼しいわね」

吏廻琉もそう言っていたから、やはり涼しいのだろう。

吏廻琉たちの出身であるサンライトはほぼ完全な砂漠の国であり、昼は暑く夜は寒い。なので、こういうちょうどいい感じの涼しさになることはあまりないのではないだろうか。



しばらく進むと、ちょくちょく蛇型の異形が飛び出してくるようになった。

蛇型…と言ってもその体が透き通った水色をしていること、硬い地面をすり抜けて出てくることからわかる通り、蛇系ではない。

「水のスネイル」という、物質系の異形だ。

見た目通り水の攻撃をしてくる他に出血毒を持っているが、氷と電に弱いので、亜李華の能力と俺とはなの術で簡単に片付く。


同時に、あちこちに小さな地底湖のような水たまりが現れるようになった。

スネイルは水たまりの他、岩や倒木などの自然物から生まれることもあるので、おそらく水のスネイルたちはこの水たまりから発生したのだろう。


そのうちに、大きく開けたところに出た。

そこには大きな地底湖があり、暗視の効果も相まって光が反射しているようにも見える。

「なんか、すごいですね…」

亜李華は感動したようにつぶやいた。

「冒険してりゃ、もっともっとすごい光景なんかいくらでも見られるぜ?」

アーツの言う通り…だが、亜李華は僧侶であり自発的に冒険するような種族ではない。

誰かに誘われれば、冒険や戦闘に同行することはあるだろうが、それでもサポートや回復をメインとする後衛だ。

故に、こういうのを見る機会は冒険者のアーツたちと比べると少ないだろう。


ここからは地形が下りの階段のようになっている。そして、そのあちこちに水が溜まっている。

「気をつけてね。滑らないように」

イナが亜李華に足元に注意するよう促す。

それを受けた亜李華はゆっくりと降りていく。

…少々用心し過ぎな気もするが、まあ転ぶよりはましだろう。

もしここで転べば、下まで…恐らく30メートルくらい転がることになりかねない。

あちこち濡れてるから、なおさらだ。


と思ってたら、またスネイルが飛び出してきた。しかも、よりによって亜李華目掛けて。

「[ブリザーショット]!」

亜李華は素早く手をかざして氷の術を唱え、異形を空中で凍りつかせた。

異形はそのまま墜落し、砕け散った。

…と思いきや、その中から1つ妙なものが出てきた。

それは、言うなれば「しずく」のような物体。ただ、そのまましずくと言うには少し形が歪だが。

スネイルの一部のように見えるが、異形は凍っていたはずなのに、これはまったく凍っていない。


亜李華はそれを拾い上げた。

「あら。これは『水蛇のしずく』では?」


「なんだそりゃ?」


「錬金やポーション精錬の材料になる素材です。確か、一時的に水への耐性を上げるポーションや、上位の回復薬を作れるものだったかと」


「水蛇のしずくはそうね。店売りされることもあまりないから、割と貴重なアイテムよ」


「そうなのか。回復薬の材料になるならありがたいな」


「これの他にも素材が必要ですけどね。…そうだ、せっかくだからしばらくこの辺で異形を狩って、素材を集めませんか?水のスネイルが落とすものは、他にもあったはずですし」


「ああ…それもいいかもな。素材は、いくらあっても困るもんじゃないし」


というわけで、しばしスネイル狩りをすることにした。

奴らはその辺の水から無限に出てくる上に簡単に倒せる。

落とすアイテムには、しずくの他に柔らかい水のボールのようなものもあった。

これは『水蛇の心』と呼ばれるレアドロップ的な素材で、こちらはポーションだけでなくアクセサリーの材料にもなるらしい。

また、店売りはまずされていないそうだ。

こういうアイテムって、なんか実用性に関わらず集めたくなるのは俺だけだろうか?


スネイルは倒してから次の個体が出てくるまでの期間が短く、しかも素材ドロップ率が結構高いので、狩る苦労はさしてないわりに旨味はある。

もっとも魔力のこともあるから、いつまでもこもってるわけにはいかないが。



そうして1時間ほどで、47個のしずくと22個の心を取れた。

亜李華は「これだけあれば、ポーションだけでなくアクセサリーも結構作れます!」と喜んでいた。

何気にはなも一緒になって喜んでいたが…まあはなもアクセサリーを作れるらしいし、2人で一緒に作るところだろうか。


消費した魔力を回復薬を飲んで回復し、先へ進む。

俺たちの目的は、あくまでもここではなく、もっともっと深いところにあるのだ。

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