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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
6章・ロロッカの深み

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第329話 首都メキマへ

しばらく進むと、川の幅が広くなり、水の流れが多少緩やかになってきた。このあたりから下流らしい。

「もうすぐです」

それは助かる…のだが、なんだろう。なんか妙な違和感を感じる…というか、引っかかる。

案内してくれたルート、多くの川人の情報から導き出したものだという話…なんか、得体の知れない引っかかりがある。

気の所為か、あるいは勘違いか何かだと思いたいが。


「あれ、このあたりって…」

何か気づいたのか、フォルがつぶやいた。

「気づきましたかい?ここはこの国の首都、メキマのすぐ横です。ついでに、もうちょっと行けば海に出ますぜ」


「だよね。この辺の川底、なんか見覚えがあるよ。昔よく潜って魚を取ってたから」


「ありゃ、そうなんですかい?」


「ああ。僕は20年くらい前にメキマで働いてた時期があったんだけど、その時によくこのあたりで魚を取ってたんだ」

働いてるのに、わざわざ自分で魚を取るとは。まあ、釣りみたいなもんなんだろうが。「そっか…それなら残念だけど、今はもうここで魚を取るのはやめたほうがいいですよ」


「え?見た感じ、異形はいなさそうだけどな…」


「いや、そうじゃなくて。このあたりにいる魚の種類が変わって、毒を持つものばっかりになったんですよ。だから、取ったところで食べれないんです」


「そうか…それは残念だな。しかし、さっきの異形といい、やたら変化が起きているな。この川に何があったんだ…」


「その原因が知りたければ、進むしかない」

突然、セキアが喋りだした。

「実はね、この経路を進んでくること自体はわたしは知ってた。そして、こういう会話があることも…」

スラークは驚きつつも、セキアが魔女であることに気づいてなんか納得してたが、単に彼女は夜の間だけ幻を見られる[暗夜]の異能を持ってるから、それで見えたということだろう。


「まずは、川から上がって町中へ向かいましょう。その中のどこかに、わたし達が探している存在がいる」


「本当か!」


「正確な場所はわからないけど…少なくとも、メキマのどこかにはいる。わたしも魔女だから、町に入れば気配や匂いでわかるかもしれない」


「そりゃすげえな。…けど、あいにくおれはそんなのと戦う力はないし。ここまでだな」

まあ、仕方ない。スラークは見た感じ武器も持ってない、普通の川人のようだし。

「ここでお別れ?」

リトがちょっと残念そうに尋ねた。

「そうなるかな。まあ、海の仲間に会えただけでもラッキーでしたよ。おれたちはいつもこの川にいるんでね。またいつか、適当な時に来てくれりゃいいさ」


「そうしたいな」

リトたちが元々いたのは西のアルバンに面した海であり、大陸の中では東の国であるロロッカに面した海とは真逆の方向だが、元々水守人は海の中を自由に放浪する種族らしいので、大した問題ではないかもしれない。


「そんじゃ、そういうことで。村に戻る時は、川を登ってくればいいでしょう」


「ああ。世話になったな」


「いいですって。必ず、あの得体の知れない魔女をぶっ飛ばしてくださいよ!」

正直、どんな相手か見当もつかない。だが、村での事件を起こした黒幕である以上、放ってはおけない。どうにか見つけ出して、倒したいところだ。




かくして川から上がると、すぐに北の方角に町が見えた。

その中でも、特に大きな緑の屋根の建物が目についた。

「あれはロディーネ学院、この国の狩人たちの中でも選りすぐりのエリートが集まるとこさ」

タッドが説明してくれた。


「元々は魔法を究めたいっていう狩人のために作られた学院なんだけどね、今では実質的なこの国の政府の役割も果たしてる。狩人は本来大勢で群れることを好まないけど…この国には探求者もいるし、何かとトラブルとかもあるからね。やっぱりあった方がいいよな…ってことで、1000年くらい前に建物自体の建て直しと、学院内の組織の見直しがあったらしい」


「ってことは、今では普通の学院なのか?」


「普通って言っても、かなり頭がよくないと入れないけどね。この国に何かを学べる施設はあそこしかないから、魔法以外にも研究者とかになりたい人はあそこに入らなきゃないんだけど、そのハードルがなかなか高いんだよね…」


俺は、何となくタッドがかつてそのハードルを越えようと挑み、そして挫折したことがあるような気がした。

「確かに入るのはちょっと大変だね。でも、それでもサンライトの魔法学院に比べればまだマシだよ。そこまで高度な魔法を学ぶわけじゃないからね」

そう言ったのはフォルだった。

「実は、僕もロディーネ学院の卒業生なんだ。僕は研究者になりたくてね、2年ばかり勉強を積んで学院に入ったんだ」

2年か。人間だったら浪人だが、異人にはそんな概念はない…というか普通のことであろう。


「あそこは、魔法よりは研究などに関する勉強の方が多いんだ。そして魔法に関する学習としては、サンライトとかの学院と比べると下の階級だからね、魔法を究めたい人は、そっちの方に進学すればいいんだ」

つまるところ、高校のようなものなのか。


「学校と政府が一緒になってるって、なんか変な感じだな」


「そうかもね。実際、そういうのはロロッカ以外ではほとんどないみたいだし」


「…」

それに関して、セキアが何やら考えがあるようだった。

「あの建物…幻で見た」


「えっ」


「何があるのかはわからなかったけど…幻の中で見たってことは、あの建物は何かに関係してくるはず。みんな、一応覚えておいて」


「あ、ああ…」

まあ、学院とか政府とか何かとトラブりやすい施設ではあるが。


「まず、メキマに入ろう。僕も懐かしい街並みを見たいしね」

フォルを先頭に、首都メキマへと向かう。

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