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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
1章・始まり・セドラル

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第25話 山賊の洞窟

洞窟の中はあちこちに置かれた松明に照らされており、薄暗いながらも視界ははっきりしている。

しばらく奥へ進んでいくと、4人の山賊が固まっていた。

奴らは何やら騒いで襲ってきたが、こちらは何も反応せずに攻撃した。


「[フラッシュ]」

キョウラが魔法を放って山賊を倒す様子を見て、タッドはうなった。

「すごい…やっぱり、修道士さんの光魔法はかっこいいなー」


「そうですか?」


「うん。僕らは魔法は苦手だからさ、魔法を使える人は羨ましいよ。特に修道士なんて、うちの町じゃ旅してる人が何年かに一回来るか来ないかだからね。僕もしばらく見てなかったし」


「なるほど…確かに、修道士は修行で外部に出ることはありますが、このような辺境の町まで来る事は珍しいですからね…」

ここ、そんな辺境か?と思ったが、ここは言うてセドラルから結構距離があるし、地図にはルルク山は隣国との境界にもなってるって書いてあったのを思い出した。

「そうだよね…この国じゃ、修道院はセドラルにしかないよね?たぶん…」


「ええ。というより、どこの国も基本的には同じような感じだと聞きます。サンライトの国に行けば、話は違ってくるでしょうが…」


「サンライト?」

俺は、以前地図でチラッとだけ目にしていた名前が出てきた事に反応した。

「はい、セドラルの北にある国です。八勇者の一人、司祭カトリアによって作られた国で、たくさんの魔法種族が住んでいます。

特に、サンライトの大神殿は私達にとっての聖地で、生涯に一度は行くことが望ましいとされています」


「へえ…キョウラはそこに行ってみたいとか思ってるのか?」


「ええ。よければこの旅の途中で行けたらな…と思っています」

その願いは叶う。

なんとなくだが、そんな気がした。


「お話はストップだ。来たぜ」

柳助の言った通り、2人…いや、4人の山賊が奥から出てきた。

タッドは弓に矢をつがえると、技を放った。

弓技(きゅうぎ) [分裂矢]」

放たれた矢は空中で4本に増殖し、横に広がった。

そして、4人をまとめて倒した。


「おお!やるな!」


「ありがとう。そんな強くない技なんだけどね…」


「倒せたんだからいいんじゃない?それにこいつらは恐らく普通の防人か、じゃなきゃ人間。弱い技でも十分やれる相手よ」


「そっか…ならよかった。まあ、山賊がそんな強い方がおかしいんだけど…」

それもそうだ。

こういうゲームとかでは、山賊とか盗賊ってのは序盤のやられ役を演じるものであるし。




さらに進むと、樽や木箱が乱雑に置かれた広い部屋に出た。

その直後に部屋の山賊達に気づかれ、一人が斧を投げてきた。

「おっと!」

ナイアはそれを、上体だけを動かしてかわした。

今向こうが投げてきたのは、俺やナイアが使ってるものと比べるとだいぶ小ぶりの斧…手斧、ってところか。

ちなみに俺が使ってる斧は全体が白い謎の金属製で、刃の根本の所に黄色っぽい謎の装飾がある両刃のもの。

ナイアが使ってるのは、木でできた持ち手に黒っぽい鉄らしき金属でできた柄と刃がある片刃のもの。

そして山賊達が使ってるのは、木の柄に鉄の刃をつけた、なんともシンプルな片刃の斧。


「力ないのがバレバレだよ!」

そう言いながら、ナイアは自身の斧を力いっぱい投げた。

それは今斧を投げてきた山賊の額に見事命中し、山賊は崩れるように倒れた。

ナイアは素早くその斧を回収し、「[竜巻斧撃]!」と叫びながら振るった。

すると文字通り竜巻が起こり、山賊達を巻き込みながら直進していった。

壁にぶつかって竜巻が消えた時、あたりにはおびただしい量の血と無惨な死体が転がっていた。

「うえ…先行こうぜ」


「賛成です。見ていられません…」

俺とキョウラは正直キツかったが、他の面々はそうでもないようだった。

やはり、慣れの問題なのだろうか。


奥の通路から先に進もうと思ったら、いきなり斧が飛んできた。

一本は避けたが、もう一本は俺の首の左側を切ってきた。

鋭い痛みを覚えたが、キョウラが回復してくれたおかげですぐに消えた。

よく見ると、通路の奥に2人の山賊がいて、そいつらが斧を投げてきている。

2人の背後にはアホみたいな量の投げ斧が積まれており、ここを守るべく陣取っているようだ。


「この短時間でよくあんな準備したな…」


「準備したわけじゃないでしょ。たぶん、元々武器庫として使ってた所に逃げ込んだのよ」


「その可能性はなくはないな。だが、見えるか?奴らの後ろには、さらに先に続く通路がある」

柳助がそう言うので、飛んでくる斧に注意しながら顔を出して見てみると、確かにそうだった。

「本当だ…あの先には何があるんだろう?」


「わからんが、ここまで分岐がなかった事を考えると、あの奥に進むより他はない」


「だよな…でも、どうすれば…」

こちらから向こうまでは目測10メートルはある。

斧をかわしながら突っ込むのは無謀だ。


「おいおい、僕を忘れたのか?」

タッドが苦笑いする。

「ん?…あ、そうか!タッドは弓使いなんだっけ!」


「そうだよ。僕なら奴らを狙撃できる」


「よし!なら頼むぜ!」


「あー、いや…けど一つ問題があるな」


「どうした?」


「僕は、狙いをつけるのには少し時間がかかるんだ。だから、その間誰かが斧を受け止めてくれると助かるんだけど…」


「斧を受け止める…?ガードするって事か?」


「そうそう。誰でもいいから、そうしてくれると助かるよ」


「ガード…か」

理想は盾なのだろうが、あいにくここに盾を持ってる奴はいない。

煌汰は盾を持ってたと思ったが、馬車に置いてきてしまった。

どうするか…。


と思ったら、柳助が「それなら、俺にいい案がある」と言った。

何する気だ…?と思ったら、柳助は術を使った。

「地法 [岩の造形・壁]」

すると、通路に入ってすぐの所に大きな岩が現れた。

よく見れば、その真ん中より上のあたりには直径8センチほどの穴が空いている。


「あそこに隠れて、穴から狙撃するといい」


「…!ありがとう!」

そして、タッドはさっと岩の裏に隠れた。

山賊達は機械的に斧を投げてくるが、奴らの投げた斧は穴を通らず、縁に弾かれて落ちる。

これなら、安心して狙えるだろう。


タッドは見事右側の山賊を仕留めた。

あとは左側も…と思われたが、直後に残った方が走ってきた。

「あっ…!」

俺は焦ったが、タッドはすぐに岩から離れて横に身を乗り出し、山賊の足を射った。

そして山賊が転んだ所で、頭を射つ。


「おお…!」


「やるじゃん。うちらが出るまでもなかったね」


「これで進めるな。奥に行こう」


奥の通路の先には、さっきの部屋より少し狭く、奥に立派な椅子が置かれた部屋があった。

剣を持った親分を見るや否やタッドは矢を放ったが、向こうはなんと盾を素早く出して矢を弾いてきた。

「なっ…!盾なんか持ってるのか!」

驚くタッドに、親分はにやりと笑った。

が、その直後にナイアが斬りかかったのでそれを防ぐのに気を取られ、その隙にキョウラの魔法を食らった。

そして、床に倒れた所に俺と柳助が畳み掛けた。



「よし、これでいいんだよな?」


「ああ。これで町は大丈夫だ、ありがとう」


「じゃ、戻ろっか」


そうして俺達は町へ戻った。

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