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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
6章・ロロッカの深み

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第299話 嫌な予感

まずは樹が「慟哭突き」を繰り出して先制し、そのまま棍を振るって舞う。

奴らがなぎ倒されたところで俺は「火炎の床」を繰り出し、全員に火属性のダメージを与える。

と思いきやすぐに起き上がってきたので、向かってきたハンマー持ちの攻撃を躱しつつ「ブレイクムーン」を繰り出す。それでふっ飛ばしたところにアーツが矢を放ってくれた。


さらに、輝が術を唱えた。

「光法 [雨の日差し]」

空からまばゆい太陽のような光が降り注ぐと同時に、光の刃も降る。これで、俺がさっきブレイクムーンを決めたやつは倒れた。


ここで短剣持ちが、グルグル回って周囲に3つの刃を召喚して攻撃し、自分も突っ込む…という技を使ってきた。

ジャンプして空中に留まると矢の的になる可能性があるので、斧を盾に変形させて攻撃をガードしたのだが、そこに大剣持ちが斬りかかってきた。

地味に痛い攻撃だったが、この程度で喚いてはいられないので、相手の足を払って転倒させ「ソロファイア」で反撃する。さらに、そこにイナが鎌の技を決めた。


大剣持ちを倒したことを確認した直後、背中を短剣で斬られた。

反射的に飛び上がりそうになったが、ここでジャンプすればクロスボウで撃ち抜かれかねないので一度地面に伏せ、全身を結界で包んでから立ち上がってガードする。

そして、その際に盾から炎を噴き出した。

「[ガードフレイム]!」

炎は短剣持ちの周りを回転する刃にかき消されたが、それでも半分くらいは奴に当たった。それで向こうが怯んだ隙に、アルテトが矢を放つ。おそらくは「スクリューミキサー」か。


そうして残り1人となったところで、最後の生き残りは術の構えを取った。次の瞬間、奴の足元から円形に広がるように電撃が走った。とっさにジャンプして回避したが、食らっていたら気絶していたかもしれない。

そうして空中にいる間に、もう一度「ソロファイア」を放つ。同じく空中で、タッドが「ボディハンティング」なる技を繰り出して向こうの動きを止めた。


そうして着地した直後、ナフィーが飛び込んだ。

「[渦潮の槍]!」と叫んで槍を叩きつけ、同時に周囲に渦巻く水を召喚して攻撃する技を放ち、普通に突き刺して追撃した。

これにより最後の生き残りも倒れ、俺達を襲ってきた略奪者は全滅した。



…その直後、ナフィーは何やら違和感を感じているような顔をしていた。



「終わったよな…?」


「たぶんな…」

と、後ろから気配がした。

振り向くと、フォル始めとしたガリバーの連中が数人の人を連れて家から出てきたところだった。


「フォル!」


「そっちも上手くいったみたいだね。僕らの方は大丈夫だ、こうして生き残っていた人たちも助けられたし」


「生き残り?いたのか!?」


「まだなんとかね。とはいえひどい傷を負ってるから、すぐに回復した上で本格的な治療が必要だ。他にもいないか探してみる」


「わかった。回復は俺達がやっておくから、お前たちは他の生き残りを探してみてくれ」


「了解だ!」



そうして、全部で3人の生き残りを保護して回復させた。回復の術はみんなが使えるから、誰にやらせるかに悩むことはなかった。

その後間もなくしてフォルたちが帰ってきたが、他に生き残りはいないとのことだった。

生存者の1人の幼い女の子は、それを聞いて泣いていた。




ひとまずアンベル村へ戻ることになり、俺と樹と輝で生存者たちをおぶって帰路についた。

「それにしても、略奪者ってのはひでえことしやがるな…」


「彼らにとっては、他者から奪うことが生業なんだ。ある意味、殺人者のようなものだとも言えるね」


「…あいつらって、狩人の仲間だよね?なんでそんなことするの?」


「詳しいことはよくわからないんだけど…彼らは、普通に暮らすより他者から奪ったほうが楽だと思ってるんじゃないかな。少なくとも僕はそう思う」


「おれもそう思うな。あいつらはたぶん、人から奪うしか能がないんだよ」

ラドマックが苦々しく言った。


ちなみに、略奪者たちを倒してからここまでナフィーだけは一言も喋っていない。

それが気になったタッドが声をかけると、彼女は意味深な発言をした。

「みんな、何か感じない?」


「何かって、何を?」


「私だけ…かな。なんかさっきから、嫌な予感がするの。最後の略奪者を倒してから、ずっと胸騒ぎがする。何か、良くないことが起きそうな気が…」

ナフィーにそう言われると、あながちただの予感ではないような気がする。しかし、確証があるわけでもない。

「うーん、こういう時ナイアがいてくれればよかったんだけどなあ…」


そんなことを言いながら、ひとまず村への帰路を急いだ。




無事村に到着し、ガリバーが使っているという家のベッドに生存者たちを寝かせた。

トーラによると、このまま安静にさせておけば10日ほどで元気になるだろうとのこと、一安心だ。


しかし、ナフィーだけは違っていた。

「…やっぱり、嫌な予感がする」と言って、心配げに窓の外を見ていた。



俺は、戦いの疲れもあってか、ソファに座っているうちに眠ってしまった。





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