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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
間章・空と地の脅威

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第287話 地中を征く

拠点の下の地面は雪に覆われていたため、まずは俺が軽く雪を解かした。

そして剥き出しになった地面にさっそく潜る…のかと思ったら、凍ってるからそれも解かと言われた。

地面を解かせと言われてもどうすればいいかわからなかったが、とりあえず「赤熱線」を唱えた。光球から熱線を放つ太陽術であり、以前苺の母でもある大賢者セニアに使われた術である。


照らしたものに高熱を浴びせるので、これで解かせないか…と思ったが、大丈夫だった。

というか、むしろ威力が過剰だった。

地面が解けたのはよかったが、水分が瞬時に蒸発して乾いた土になってしまった…それも、夏の校庭などで見るような、ひび割れた土になっていた。


「…ずいぶんと気合いが入っているな」


「いや、別にそういうわけじゃないが…」


「まあいい。雪さえ解かしてくれればオーケーだ」

柳助は手を掲げ、あたりにオレンジ色のほのかな光を振りまいた。すると、急に足元が液体のようになり、ドボンと落下した。

「うわっ!?」


「きゃっ!?」

それはみんなもだったようで、小さく悲鳴をあげていた。

「案ずるな、溺れることはない。俺の力で、地中を泳げるようにしたのだ」


「地中を泳げる…?」

アーツは軽く手足をばたつかせてみて、「おお…こりゃすげえ」と驚きの声をあげた。

「まるで水の中にいるみたい。不思議な感覚…」


「水中より安全じゃね?溺れないし、視界もいいぜ」


「そうかも。…え、視界って?」


「それは潜ればわかる。…当然だが、地中でも息はできるから、怖がることはないぞ」


「え、ええ…」



そうして潜った土の中で、イナとアーツは感動していた。

「わあ、すごい…!めちゃくちゃきれい…!」


「土が透けて見える…これなら、どこまででも行けそうだぜ!」


まあ、そりゃ感動するだろう。

俺だって、前に…サンライトだったか。あそこでメニィを助けるために地中に初めて潜ったが、あの時はちょっと感動した。そんな悠長にしていられる状況ではなかったので何もアクションは起こさなかったが。


「気づいたかもしれんが、俺の異能には地中での暗視の効果もある。だから、地上と変わらぬ明るさと視界を確保できている」


「暗視…確かに土の中に明かりはないもんな。ていうか、息が出来てるのがすごい」


「それも柳助の力のおかげだな。息が出来るってことは溺れる心配もないわけだから、海なんかに入るよりよっぽど安全だぜ」

俺は泳げない…わけではないが、能力の都合上冷たい水には入れない。それ故、ついそう言ってしまった。


「まあ、とりあえずこれで地底に行けるな。行こうぜ!」




少し潜ると、一本の長いトンネルが見えてきた。中には虫やコウモリが住み着いているのが見える。

いや、俺達は今、本来隙間なく埋まっている土の中にいるから、あれが本来の通れる空間なのだが…なんか、不思議な感じだ。

「あれが坑道か。なんか、虚空に浮いてるみたい…」

イナがつぶやいた。


「確かにそう思うが、俺達がいるのは土の中だからな。むしろあれが本来の空間だ」


「やっぱり、不思議な感じ。海の中とは絶対違うよね、これ…」

そうしているうちに、坑道に近づいた。

壁が透けているので、ここから内部の様子を伺うことが出来る。人は誰もおらず、小さな蜘蛛のような虫やコウモリがいる様子だけがわかる。それと、無数の虫の卵。

それはどれも穴が開いており、既に中の虫が孵化した後のようだったが、床や壁に気持ち悪いくらいびっしり貼り付いていた。


「こっからあの虫たちが出てきたんだな…」


「なんか気持ち悪いです…潰すことって、できませんか?」


「できる。が、その必要はなさそうだ。ここにある卵は全て孵った後のようだからな」


「であれば、尚更危険なのでは…?」

キョウラは怯えているが、そんなに怖がる必要はないと思う。

「ここの虫の卵は、おそらく全部魔人が手を加えたものだ。そして、孵化したらすぐに地上に上がってくるようになってた。で、そいつらはもう俺達が全部倒した。だから、もう安全だぜ」


「であればよいのですが…見落とし、なんてことはないですよね?」


「ないと思うけど…一応確認してくか」

というわけで、他に卵がないか探した。それで、もう他に卵はないこと、孵化していない卵はないこと、坑道内にいる虫やコウモリはごく普通の生物であることを確認すると、ようやくキョウラは安心したようだった。

彼女は虫が嫌いなようだし、神経質になるのもやむを得ないかもしれない。




虫の卵の他に、坑道にこれといったものはなかった。

なので、俺達は地中潜航を再開した。


「で、どのくらい行くんだっけ?」


「およそ3000メートルだな。このままの速度で行くと、1時間程度で着くだろう」


「え、1時間も泳ぐの?疲れちゃうよ…」


「大丈夫だ。俺の異能には、肉体疲労を無効化する効果もある。だから、どんなに泳いでも疲れることはない」


「え、マジ?それはすごいわ…」


「疲れないのはでかいね。地上でもそれが効いたらありがたいんだけど…」


「残念だがそれはできない相談だな。俺の異能が通用するのは、土の中にいる時までだ」


「まあ、しょうがないね。とりあえずこのまま泳いでいって、地下深くの空間まで行こう」

そう言えば、地面に穴を掘って巣を作る蜘蛛ってのもいるらしいが、美羽はどうなのだろう?穴掘りは得意なのだろうか?

まあ、彼女は元々人間だし、まさか巣を作って暮らしてたなんてことはないだろうが。





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