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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
1章・始まり・セドラル

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第21話 勇人の伝説

翌日、朝食を終えて少し休んでいた時、

「ねえ、あなた異形の戦争って知ってる?」

ナイアにそんなことを聞かれた。

「知らないな」


「やっぱりそっか…異形の戦争ってのはね、今からずっと昔にこの世界で起こったっていう戦争にまつわる伝説のこと。この大陸の者なら、恐らく誰でも知ってる」


「そんなに有名な話なのか?」


「うん。何しろ、異形と人類の歴史と、この大陸の国々の起源に関して触れられてる伝説だからね」


「へえ…どんな伝説なんだ?」

すると、ナイアは変な咳払いをして、話しだした。


「じゃあ、まず異形に関してなんだけど…異形は、この世界が出来て間もない頃から存在していたと言われてる。人間と異人は、異形の存在を当たり前として生活していて、長い年月をかけて試行錯誤を繰り返して、異形と上手く付き合いながら生きていた。

そして、今から数千年前のこと。

人々はいくつもの小さな集落に分かれて、色々な異人と人間が入り乱れて暮らしていた。

当時はまだ、この大陸に国と呼べるようなものはなかった。でも、人々は互いに助け合って、異形を自然の一部として認識して生活していた。

だけど突然、異形が変わった」


「変わった?」


「まず、それまでとは違った人型の異形が現れるようになり、次に知能が大きく進化して言葉を喋ったり、道具を扱ったりできるものが次々に出てきた。

結果として、長らく異形と人類との間で保ってきた均衡が崩れた。

そうして、異形と人類との間で長い戦争が始まった。

200年の戦いの果てに、人類は勝利する一歩手前まで行った。

でも、最悪な事が起きた…」


ナイアは、一度下げて続けた。

「異形は人類が思ってるよりずっと進化していた。

奴らは文明を、社会を築いていた…人類のものとさほど変わらない、とても高度なものを。

そして、その中にあった高位の異形の中で最も力があったのが、竜帝と呼ばれる異形、ガルディアルだった。

人類が異形に勝ち続け、あと少しで完全勝利という所で、奴はその圧倒的な力を開放した。

人類は、ガルディアルにはとても敵わなかった。

ほぼ全滅して、大陸の片隅に追いやられた。

そんな中に、勇敢にもガルディアルを倒そうとする8人の高位の異人が現れた。

勇人のアモール、反逆者のルーシュ、魔戦士のバレス、司祭のカトリア、陰陽師のイード、霊騎士のオレグ、魔女のイーサルミー、そして、狙撃手のリーエン。

彼らは強かった。高位の異人である事をふまえても、異常なほど…ね。

彼らは最終的にガルディアルを倒し、人類を救った。

そしてその後、彼らは大陸の各地に渡って一人一つの国を作った。

人々は、今回の戦争を異形の戦争と呼んだ。

そして、人類を救い、大国を立ち上げた8人の異人を、八勇者と呼んで崇めた。

そして、今の八大国…この大陸にある、八つの大国は、みんな八勇者の時代から続くものなの」


「なるほどな。…あれ、てことは今俺達がいるこの国も…?」


「ええ。ここはセドラルだから、勇人アモールの国ね」


「勇人アモール…か。どんな奴だったんだ?」


「詳しくは知らないけど、火の剣と光の盾を使いこなした、八勇者の筆頭らしいよ。

真面目で正義感が強くて、みんなに頼られる美形の男だった…って聞いたことがある。セドラルの城下町には、彼の石像だか銅像があるらしいけど…見たことない?」


「あいにく」


「そう。なら、次行くときに見てみましょう。私も気になるし」


「だな」

この世界にも、英雄とか勇者とかいう人の像を作るという文化はあるのか。

どんな感じなのか、一度見てみたい所だ。


「そう言えば、次の町ってどこなの?」


「ミフィデル…って言ってたな。なんかこの国で有名な勇者様の加護を得られる像があるとかって…あ!」

思わずそう言うと、ナイアは笑った。

「それじゃん。あんた、仲間から聞いた話くらい、覚えてときなよ」


「いやあ、昔話とか逸話とかには昔から疎いからなあ…」


「そうだとしてもさ、仲間が話してたことくらいはちゃんと聞いて、覚えといてよ。じゃなきゃ、仲間が可哀想でしょ?」


「そう…だな。すまん」


「謝んなくていいよ。別に責めてる訳でもないし。

それより、昼は何がいい?」


もう昼の事を気にしてるのか。

というか、確か今日の担当は猶と樹だったはずなのだが。

「いや、そもそも今日の担当は猶達だぜ?」


「確かにね。でもさ、言ったじゃん?一人キャンセルして、私が手伝うって」


「あ、そうだっけか」

それで思い出した。

今日は、樹とナイアが食事の担当だ。

昨日、ナイアが風呂に入っている間に話し合って決めたんだっけ。

俺は公正に話し合って決めようって言ったんだが、樹はどうしてもナイアとやりたいって言って聞かなかった。

だが、みんなはもはや慣れてるのか、何も言わなかった。

本当に、あいつの女好きは困ったものである。





図書館に行き、本を探した。

ナイアが話していた勇者について書かれた書物はないかと思ったのだが、見つけられなかった。

司書でもいれば、お手軽に見つけられるんだろうが。


しかし、勇人…か。

確か、防人の二つ上の種族だっけ。

俺も、いつかは勇人になれるだろうか。

まあ、他のみんなも上級種族になれるといいが。



その後はやることもなかったので、部屋に戻って寝た。

何もすることがなく、しかも家から出れない時は、寝るかゴロゴロするに限る。

携帯はあったので、暇つぶしできなくもないのだが、敢えて寝た。

特に理由はないが、強いて言えば、異世界転移してきてからの生活が楽過ぎて、昼寝が日課になりつつあるから、だろうか。


何も気に掛ける事がなく、ひと思いに昼寝ができるというのは、実にいいものだ。

陽の光を浴びながら、今一度眠りにつく。

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