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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
4章・ロードアの長旅

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第157話 情報集め

「えっ!?」

ナイアは信じられないという顔をしたが、苺は納得したような顔をした。


「…」

黙り込む苺を見、俺を見、数秒間硬直したナイアに対して、龍神は呆れたように言った。


「いや、なんでそんな『え…信じらんない…』って顔すんだよ」


「ど…どういうこと?なんでそう思うの?」


「逆に気づかないか?司祭さんはおおかた気づいてたし、姜芽たちもそれで気づいたと思うんだが」


ナイアはいまいちよくわかってないようなので、猶が解説した。

「吏廻琉が言ってたよな?あの女の傷は、異人の攻撃で受けたものが大半だって。でも、この辺に異人はいない…俺たち以外にはな」


「それに、光魔法とか刀剣類の武器で受けた傷もある…っても言ってたよな。光魔法…って、あの時キョウラ使ってたと思ったが?」

2人のその説明で合点がいったのか、ナイアはたちまち驚愕した。

「え…てことは、あのやたら弱かった化け物が村長さんだったの!?でも、なんでそんなことに…」


「それだ。それを突き止めるのが、俺たちの次の仕事だ」


「…そうですね。彼女に一体どんな秘密があるのか、突き止める必要がありそうです」


そうして、あの異形…もとい村長について調べることになった。



まず事前情報…というか判明している事実とそこから憶測できることとしては、村長はおそらく夜の間だけ異形に変身する。そして、村長はあの怪我を負った時の記憶がない。つまり、異形になっている時には意識が消えていると思われる。


そして、少なくとも俺たちが確認した限りでは積極的に村の人を襲ったりはしていないし、図体の割に耐久が低く、簡単に倒れる。というわけで、自分から暴れまわって人を傷つけるような異形ではない可能性がある。


これらを踏まえて、調査をしよう。

そうみんなに伝えた後、村の人達に聞き込みをして回ることになった。

柳助や美羽にも手伝ってもらい、計4つのチームに分かれて聞き込みを行った。

美羽は最初、事情を聞いて驚いていたが、それでも「もし彼女に何か事情があるなら」と協力をあっさり受け入れてくれた。


俺は龍神と樹と一緒に行動した。

どちらも俺としては長い付き合いであるし、「三人寄れば文殊の知恵」という言葉もある。1人では考えつかないことでも、3人いれば閃くかもしれない。




そうして村の聞き込みを行ったのだが、龍神がコミュニケーションを苦手としていることは、俺たちにとっては周知の事実だ。故に、村の人達に話しかけるのはもっぱら俺たちの役目であった。


もっとも、彼とて人と喋らないわけではない。話せるような展開になれば、ちゃんと会話に入ってくる。ただし、自分の話だけ続けることになりがちだが。

それは本人も自覚しているようで、わかってはいるが直せないらしい…気の毒なものである。

中学の時だったか、ちらっと本人から聞いたことがあるのだが、「会話に入るタイミングがわからない」らしい。まあ、一種の「コミュ障」ってやつだろうか。


しかし、周りの空気や相手の気持ちに構わず思ったことを言ってくれるのは、時として助かったりする。

今も、3番目に訪ねた家の住人の男が、恐らく何か情報を持っている…っぽいのだが、どうも言いたがらない。「何も知ってることはない!」と言って、話をさっさと終わらせようとするのだ。


こちらとて脅すような口調で迫るわけにもいかないので、俺と樹は諦めるか…と言っていたのだが、龍神は違った。

彼は一歩前に進み、男に容赦なく食ってかかったのだ。


「あんた、何か知ってるな?言ってもらおうか」


「だから、何も知らないって!」


「なら、なんでそんな焦る必要がある?」


「別に、焦ってなんかねえよ!」


「ほう?…まあ、言わないなら言わないでもいいけどな。脅すわけじゃあないが、もし俺たちが真相にたどり着けなければ、今後もあの化け物は村に出没し続けるだろうよ。それでもいいのか?」


…とまあこんな感じで、引くことも躊躇うこともなく迫るのだ。

その勇気と度胸はすごいが、相手を追い込めばいいものなのかという疑問も感じる。

まあ、おかげで情報を聞き出せたのでいいとするが。




その後全部で7軒を回り、得られた情報は2つ。

「件の異形は、毎日深夜にのみ現れる」

「村の人達は、村長が夜になると異形になることを知っているが、何かの理由があってそれを黙っている」

これだけだと少ないが、他にも聞き込みをしてる連中がいるのだ。あとで彼らからも情報を聞き出し、まとめればよい。


ちなみに、これらの情報を踏まえて3人で考え、導き出した考察もある。

「村長は元々は普通の人間だったが、何らかの理由である時から深夜に異形に変身するようになった。その理由は村及び村の人に深い関係があるもので、そのために村民は村長に真実を打ち明けられずにいる」というものだ。


これは現在のところ、何か根拠があるわけではない。あくまでも「推測」「仮説」と言った感じである。

しかし、今後これの根拠となるような情報が出てくるかもしれない。

もちろん正解でなくても構わないが…。


担当のエリアは終わったので、馬車に戻って残りのみんなの帰りを待つ。


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