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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
4章・ロードアの長旅

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第155話 悪しき異人を探して

翌朝、さっそく殺人鬼を探すために村を出た。

王女によると、ヤツはこの村の近隣エリアに出没しているらしいので、探せば発見にそう時間はかからないだろう、とのことだった。

ちなみに、王女自身は昨日の会談が終わった後、早急に城に帰っていった。

彼女は最後に兄の方を見て、ご無事をお祈りしておりますと言って頭を下げた。

今思い返しても、普通の王族だった。


…そう、普通の王族だった。

だから、実は異形だなんてことはないはずだ。

イーダスの反応も、ごくありきたりな兄妹のものであった。だから龍神とナイアの考えは杞憂である…と信じたい。



ところで、出発前になぜか龍神がこの前の夜中に現れた異形の心配をしていた。

すでに倒した相手の心配をする理由がよくわからないのだが、彼なりに何か思うところがあるのだろうか。




今回は美羽の他、殺人者である紗妃と迅、あとキョウラも連れてきた。

迅に関しては、本来連れてくるつもりはなかったのだが、何故かついて行きたいと申し出てきたので連れてきた次第だ。


しかし、今回メンバーに彼を起用したのは結果として正解だったと思う。

というのも、村の周りにはやたらと軟体系…すなわちスライムやナメクジなどの異形がうろついていたのだが、迅はそれらをほぼ一撃で片付けていたのだ。


軟体系の異形は大半の物理攻撃に強いのだが、迅はそんなことおかまいなしに槍で異形を退治していた。

一応、術や属性攻撃も使っていたが、彼の属性は水だ。軟体の異形は、別に水に弱いわけではない。とすると、迅は純粋に自身の力でねじ伏せていることになる。


青いスライムのような『ジェル』、黄色いナメクジ型の『エジメナ』、といった異形をほとんど一撃で倒して回るさまは、なんか歴戦の強者感がある。

もっとも、こいつら自体はそんなに強い異形ではないので、ある程度実力があれば彼のように無双できるのだが。


「[水切り払い]」

今もまた、迅はジェルより大きめの白い異形『ゼリー』を一撃で片付けてみせた。

相手が耐性を持つ属性の攻撃をわざと決め、それで相手を倒すのはなかなか大変なことである。

カッコいいと言えばカッコいいが、わざわざそんなことをする必要があるのか?と言いたくなってしまう。


「あんた、ずっと無双してるね。そろそろ私達にも分け前くれない?」

紗妃はそう言いながら、カタツムリの異形目掛けて短剣を振りあげた。


「刃技 [虚空断ち]」

青い空気の刃?を飛ばし、異形を真っ二つに切り裂いた。

異形は、血か体液かわからないピンク色の液体を撒き散らし、そして消えた。


その様子を見ながら、紗妃は唸った。

「うーん…やっぱり、柔らかい相手は上手く切れないか…」


その横で、迅がまたしても異形を撃破した。ただ、今度はキョウラの魔法を食らって弱っていた所にトドメを刺す形だったが。



そんな感じで、異形を倒して進むのはそんな苦労しなかった。

ちなみに俺の活躍はというと、終盤に出てきたジェルを1体焼き切っただけである。

…仕方あるまい。ほとんど他のみんながやってしまったのだから。


さらに運の悪いことに、肝心の殺人鬼は村の周りを一通り探しても見つからなかった。

というか、紗妃と迅は奴が本当にいるのかどうかを疑ってきた。


「殺人鬼どころか、同族の気配自体しないな。…本当に、この辺にいるのか?」


「異形が出てくるのはわかったけど、異人はさっぱり出てこないわね。あの王女様、確かな情報を掴んだのかしら?」

ついでに、これまでほとんど黙っていた美羽も「一回帰った方がいいんじゃない?」と言ってきた。


正直、俺もわからなくなってしまった。

かれこれ3時間は探しているが、紗妃の言う通り異人自体全く見かけない。


「うむむむ…」

悩んだ挙げ句、俺は言った。


「とりあえず、一旦帰ろう」






帰ってきて事情を説明すると、煌汰が首を傾げた。

「おかしいなあ…ジームリンデ様が、不確かな情報を持ってくるわけないと思うんだけど…」


「僕もそう思う。妹は、裏の取れない事を人に流すような女じゃない…」

イーダス王子もぼやいていた。

2人には申し訳ないが、奴が村の周りにいない以上、彼女がもたらしてくれた情報は誤りだったと考えざるを得ない。

まあ、単なる確認不足だったとは思うが…。


その時、苺がリビングに入ってきた。

「姜芽さん。キョウラさんはいますか?」


「キョウラ?多分部屋にいると思う。…なんでだ?」


「吏廻琉が呼んでいます。村長さんが重体で、白魔法による治療を行うので、娘に現場を見せたいとのことで…」


苺が言い終わる前に、俺は食いついた。


「村長が…!?何があったんだ?」


「っ…姜芽さん、いきなりがっつかないでください」


「あっ…ごめんな。で、村長がどうしたんだ?」


「…彼女は、昨日の朝に謎の大怪我を負った状態で発見されたそうです。それで、町の人々がずっと治療にあたっていたのですが…どうやら容態が悪化したようで、私と吏廻琉は魔法による治療を緊急で頼まれたのです」


そう言えば、昨日村長の家に入れない…ってなった時、なんか嫌な予感がした。

予感が的中したらしいが、どうも何か引っかかった。

(朝に大怪我…ってどういうことだ?何か事故にでも巻き込まれたのか?)


とにかく、今すべきことは一つだ。


「キョウラはすぐに呼ぶ。俺達も連れて行ってくれ」

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