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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
間章・海物語

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第98話 清海宮へ

そうして夜明け、予想通り巡回のマクダットが来た。

俺達はみんな部屋の入口付近の壁に張り付き、透明魔法で隠れてやり過ごした。

そして向こうが出ていってから1分程して、みんなで家を出た。


出発して間もなくして、輝がこんなことを言った。

「ね、こんなこと言うのもなんだけどさ」


「どうした?」


「今輝達は、リトの…水守人の力のおかげで水中で活動出来てるんだよね?ならさ…武器も地上と同じように使えるのかな?」


「え?」


「輝は弓をメインに使ってるけど、普通、水中では弓は使えないからさ。水の抵抗のせいで、矢が思うように飛ばなくてね…」

ああ、そういうことか。たしかに、水中では弓を撃つのは難しそうだ。

なので、一応確認した。

「リト、今の俺達って水中でも武器を扱えるのか?」


「うん。武器を使う時に限らず、私達は常に水の術で抵抗をなくしてる。みんなも、それができるようになってるはず」


「あ、そうなの?ならよかった」

それを聞いて、輝は安心したようだった。


「じゃ、術は使える?」


「使えると思う。水以外の属性の術は使ったことないけど…」


「水か。まあ海人は水は得意だろうね。耐性あるだろうし…」


「確かにな。でもよ、家でセルクが手に火花を出してたし、術は普通に使えるような気がするぜ?」


「あ、そうか。なら心配ないね」





そうして、いよいよ目的地に到着した。

到着した、と言っても100メートルほど離れた岩の裏に隠れて宮殿を見ているのだが。

宮殿は壁が一面青く、巨大な貝殻でも加工して作ったのか、てっぺんの部分が巻貝の殻のようになっていた。

そしてその周りには、ここから見えるだけで5人の武器を持った海人が徘徊している。


「あれが見張りか。意外と少ないな」


「いや、たぶん他にもいる。ここから見えないだけで」


「おそらくそうだな。まあ基本的には予定通りで大丈夫だろう…ただ、一人一人を迅速に倒さなきゃないが」


すると、リトが名乗り出た。

「私が見てくる。苺さん、魔法をお願い」


「ええ」

苺が透明魔法をかけると、リトはすぐに泳いで行った。

その姿はこちらにも見えない。バレることはないだろうが、結構な速度で泳いでいったようなので、少々気合いが入り過ぎなような気もする。


「妙に泳ぐの速いな…」


「いや、リトはいつもあのくらいの速度で泳ぎますよ。一緒に泳いでると分かりづらいですけど」

まあ時速50キロなんてスピードで泳げるのだし、不思議はないか。




しばらくして、リトは戻ってきた。

何か水がゴボッと言ったな、と思ったらいきなりリトが現れたのでびっくりした。

「見張りはここから見えた5人の他に3人。全部宮殿の裏側にいる」


「わかった。ありがとう。それじゃ、俺達も行くか」


1チーム2人に分かれ、今度は全員が透明魔法を受ける。そして、それぞれが別々の見張りに向かっていく。

俺はリトと組み、正門の前にいるやつを狙う。


そいつは青い髪に青い目を持つ男の海人で、手には槍を持っていた。

「いいか?俺が背後から回って口を塞ぐから、その間にやってくれ」


「わかった」

そう確認し、男に近づいてゆく。

さすがに真っ向からやり合うのは危険なので、向こうが一人でいる時を狙って透明魔法で姿を消した状態で近づき、殺傷力の高い方法で仕留める。そういう作戦なのだ。


俺が敵を拘束するので、先に行かなければならない。

それも、至近まで近づく必要がある。

これが、なかなかに大変だ。

海人は水の動きに敏感で、たとえその姿が見えなくても、魚などが動いたときの水の動きを探知してその居場所や動きがわかる、とイルから聞いている。

もしそれが本当なら、姿を消していても気づかれる可能性がある。故に、決して焦らず、油断せず、ゆっくりと近づく。

幸いにも、向こうはまったく気づいていないようで、突っ立ってボーッとしている。

ゆっくり、ゆっくりと背後に回る。

そして手を前に回し、口に近づけて…




「…!!」

右手で口を押さえつつ、左手で槍を持っている方の腕を封じ、両足を足に絡めて拘束する。

そうして海人がもがいている間に、リトが正面から薙刀を構えて近づく。


リトが海人の胸をバツ字に切り払い、海人は血を流して動きを止めた。

「…これで、大丈夫か?」


「うん。あとは、他の人達が来るのを待とう」

一応確認したが、門にも入口の扉にも鍵はかかっていなかった。




数分後、全員が戻ってきた。

みんな、大きなトラブルもなく、見張りを倒せたようだ。

「後は中に入るだけ…だよな?」


「ああ。扉に鍵はかかってなかったから、このまま突っ込めるぜ」


「よし、じゃあ行くか!」



そうして、俺達はマクダットの本拠地…清海宮に足を踏み入れた。

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