旅立ち
「私の名前はシーライク・フォン・アストレイと言います」
やっぱりシーライクって名前なのか。ふむふむ……アストレイ?
「シーラ、アストレイって」
「はい、アストレイ共和国は私の母国です。そして私はアストレイ共和国の第三王女なのです」
「え?シーラって王女様なの!?」
驚いて振り返ってしまった。
シーラはたった今ショーツに足をかけてる最中でその綺麗な体を惜しみなく俺に晒していた。
慎ましい胸、小ぶりなおしり。引き締まった体。
シーラはどんな姿でも可愛、
「『シラ』」
「ぐげぇ!」
め、目がぁ!目に何かぶち当たった!
目に激痛が走り開けられない。せっかくシーラの肢体を堪能出来てたのに!
「こっちを見ないでくださいと言いましたよ。風を少しぶつけただけです。すぐに見えるようになります」
躊躇いもなく目潰ししてくるとは。見た目とは裏腹にえげつないことしやがる。
「続き話しても?」
「お願いします」
「私が共和国に狙われてる理由は私の魔力にあります。私は生まれつき魔力保有量が膨大だったのです。」
あぁそれで。何か大きな魔法とかを使うのに必要だったんだ。
でもなんでシーラは共和国から逃げてきたんだ?
すると後ろからシーラが肩を叩いてきた。
え?これ振り向いたらまた目潰し喰らうのでは?
「服を着たのでもういいですよ」
「ほ、本当に?また目潰ししたいだけで騙してない?」
「私をなんだと思ってるのですか」
恐る恐る振り返る。良かった服きてる。
「怖がりすぎですよツナシ」
「だって目潰しの恐怖が……」
「そんなに痛かったのですか……それは申し訳ないことをしました」
ちょっと反省してるシーラ。うむ、可愛いではないか。
シーラはすぐに話を戻す。
「最初の頃は国王である父に協力していました。世界が豊かになるなら辛い実験にも耐えられました。しかし半年前実験の本当の目的を知りました」
「本当の目的?他の種族の殲滅とか?」
目を見開き驚いている。
「どうしてわかったのですか?他の人に聞いたのですか?」
「聞いてはいないよ?ただあるあるだなぁと」
「あるある?」
「気にしないで」
「はぁ……」
シーラは納得できないと言った表情で、続ける。
「他種族の殲滅を知った私はすぐに逃げ出して、耳長種の集落へ助けを求めました」
「だからこの集落に居たんだね」
エルフの中にシーラが居たのはそういうわけだったのか。
「ですが、もうこの集落には居れません……私のせいでこれ以上犠牲を増やしたくないです」
シーラは俯き今にも泣きそうだった。
自分のせいで何人ものエルフが死んでしまったのだ、こんなに優しい子だ。すごく悲しんでると思う。
「…ですので、ツナシ。私と共にルーベリア大陸に行ってはくれませんか?」
「いいよ?」
「そう……ですよね、やっぱりダメ……え?」
目をぱちくりさせていた。
何かおかしなこと言ったかな?
「え?え?そんな即答でいいのですか?もう少し考える時間ありますよ?」
「いいよ、だってさっき長老にも同じ事聞かれたし。シーラのお願いなら断る理由ないしね」
「ど、どうして私のお願いなら」
「好きだから?」
「……!す、す、す、す!?」
すごい顔してる。赤くなり過ぎでタコみたい出し色んなところに視線を移動させすぎて目が、回ってそうだし、言葉が人語じゃないし。
すごく可愛い
「か、からかわないでください!私は真面目なんですよ!?」
「わかってるよ。俺も真面目。君の行くところならどこにでも行くよ?俺帰るところないし」
「死ぬかもしれませんよ?」
「君のためなら死んだっていいよ。家族もいないし」
「〜〜〜!!!」
言葉が出てないよー?
「シーラはさ、着いてきて欲しいの?欲しくないの?」
「……………来て欲しいです……」
絞り出すように声を出した。
俺はニコニコとシーラを見つめる。どうしてこんな可愛い反応しかできないんだろ
シーラは岩に腰掛け深呼吸をして、最後にため息を吐く。
「ツナシは馬鹿です。大馬鹿です」
「なんで俺罵倒されてるの?」
「でもありがとうございます」
今日1番の笑顔をして笑ってくれた。
俺とシーラはいつの間にか居心地の悪さを抜け出していた。お互い笑いあった。
──────・──────・──────・
俺たちは旅支度を整えて隠れ家の出口に来ていた。
見送りは隠れ家にいる全員で来てくれた。300人は居るんじゃないかな?
こんなに居たんだなぁ。
今はシーラが長老とカルラさんに別れを告げている。
シーラとカルラさんは泣きながら別れを惜しむ。
「シーラ様無事に帰ってきてください。私たちはずっと帰りをお待ちしております」
「ありがとうございます、カルラさん皆さん。よくしていただいた事決して忘れません」
俺は後ろで別れが終わるのを待つ。
すると長老が俺の前まで来た。
「ツナシよシーラ様を頼むぞ。ルーベリア大陸には岩妖種が居るまずはそこを目指すのだ。そこにはシーラ様の母君も居る。彼女ならシーラ様の魔力を何とかしてくれる」
「え?そうなの?具体的にはどうしてくれるの」
「それは着いてからシーラ様が把握してる。達者でな」
なんかまだ信用されてないような気がするなぁ
シーラが俺の元まで歩いてきた。別れを済ませたみたいだ
「もういいの?」
「ええ、大丈夫です行きましょう」
「あぁ、行こうか」
俺たちはルーベリア大陸に行くために港町アルクシアに向けて歩き始めた。
急いで執筆したので誤字脱字が多いかもです。ご容赦を