プロローグ
「そんな白鷺会長が!?」
「マジかよ......」
翌日三人で集まり状況をまとめた。白鷺会長のこと、黒いパワードスーツのこと。二人は当然驚いていた。大門寺さんは両手を口に当て、蒼助の顔も歪んでいた。
「......」
沈黙が続く中、以外にも蒼助が口を開いた。
「白鷺が黒幕って訳じゃなかったってことだな」
大門寺さんも続く。
「会長はみんなのためを思ってやってたんだよね」
「ああ、どこかで歪んでしまったが。分かり合えると思ったのに......!」
拳を握る俺の肩に蒼助は手を置いた。
「必ず俺達が全て暴く。モンスターも例の黒いパワードスーツも」
「あぁ、そうだな!」
「新しい生徒会長が来たら警戒するぞ。白鷺の替えを寄越すんだろう」
「俺達でみんなを守ろう! あっそうだ。蒼助これも」
白鷺会長が使っていた謎の装置を渡した。
「これを使ってモンスターになったのか」
「このシリンダーを装填していたな」
「少し調べる、借りるぞ」
「頼む、蒼助」
蒼助とやり取りをしていると、大門寺さんが心配そうに俺達を見つめる。
「白鷺会長が雫ちゃんに薬を渡してたってことはさ......」
「ああ、間違いねぇ。上木華を唆したのは会長だ」
「やっぱり、そうだよな......」
上木華バスケ部会の神童と呼ばれた将来有望な女子学生。しかし、今はもうこの世にいない。なぜならそれは俺達が、殺めたから。思い出すだけで胸が張り裂けそうになる。何も知らなかったなんて言い訳にはならない。うつ向く、男二人に彼女は優しい表情で口を開けた。
「華ちゃんのことは悲しかったね。でもさ、二人がいなかったら被害はもっと出てたんじゃない? そもそも白鷺会長より悪いやつが居るってわかったし」
この彼女の優しさに俺達は支えられてきた。
「大門寺さん、ありがとう」
「ハッ! 慰めなんて要らねーよ」
「素直じゃないな~もう~」
このとき、桐谷蒼助は自分がパワードスーツを初めて制作したときの事を思い返していた。