第25話
ここ最近は超獣による事件はなく、穏やかな日々が続いている。学校が終わると俺はイージスのテストルームを借りてイメージトレーニングをしていた。
「ハァハァ。雷、もう少し強い超獣を頼む」
「あんた、少し休んだら」
「身体を怠けさせたくないんだ」
テストルームでは今までの戦闘データをもとに超獣との戦いを擬似体験できる。ホログラムで創造された超獣だがダメージはしっかりと身体へと響く。ダメージレベルは下げることができるが俺は少し高めにしている。
「かなり息上がってんじゃん。休みなって」
雷は俺が来るたび、トレーニングのサポートをしてくれている。バイタルチェックや装備の運用指導などだ。
「わかった、次で最後にする」
あまり心配をかけてテストルームが使えなくなるのも不味いか。
「じゃあ、とっておきの超獣をだすわ。頑張ってね、潤」
「こい!」
目の前に現れたのは北区で戦った氷の騎士だ。フィールドも以前戦った場所に再現されている。
「マジか!?」
「ギブアップしてもいいよ~」
「誰がするか!」
疲れが残っているが全力を出す。やっかいなのは周囲を凍結させる能力だ。槍を地面に突き刺し発生する氷の突風を避けなければならない。
「試したいことがある!」
「巨人の拳ヲ転送シマス」
巨人の拳を装備し接近する。氷の騎士は同じく槍を地面に突き刺した。それと同時に拳を地面へ叩きつける。その衝撃波で突風を打ち消した。
「よしッ!」
巨人の拳の衝撃波は氷の騎士自体を怯ませる。急接近し、腹部へ殴打するがガラスの様に砕け散った。周囲を見渡すと冷気の霧が立ち込める。少しでも身軽にするため巨人の拳を解除し、周囲を警戒する。
「身代わりか! ヤツはどこだ!」
背後に感じるプレッシャー、振り向けば槍の先端が目の前にある。本能的に腕が動きスタンロッドで刺突を反らす。ヤツから接近してきた今が好機だ。
「安全装置ヲ解除シマス」
一瞬の隙をつき、顔面へ拳を叩き込む。氷の騎士が地面に倒れると共にアナウンスが流れる。
「ホログラムを終了します」
アナウンスと共に氷の騎士は消えた。
「勝ったのか?」
「潤! 大丈夫!?」
心配する、雷の声がスーツのヘルメット越しに届く。
「間一髪だったが勝つことができた」
「大丈夫そうね。でも喜んでるとこ悪いけど、少ないデータで作られた超獣だから、実際の戦闘力ではないけどね」
「そうなのか!?」
「あくまでイメトレってことね」
戦闘データから作ったホログラムだということを忘れていた。にしてもこの強さか。
「実戦じゃ、どうなるか分からないか」
「でも良い攻め方だったと思うわよ」
「そう言って貰えると自信つくぜ」
「力になれて何よりだわ」
トレーニング後、シャワーを浴び終え帰宅準備中にスマートフォンが鳴った。画面を見ると蒼助からメールが届いていた。
「今から科学研究部に来れるか?」




