第19話
スーツの調整も終わりデバイスを蒼助から受け取る。見た目はいつもと変わらず腕輪型のスマートフォンだ。着け心地も変わらない。
「今までの戦闘データを元にカスタマイズしてある」
「おう、ありがとな」
生体認証機能も追加されているらしく、俺でしかデバイスを起動できないようになっている。
「うし! 旧棟に向かおう」
「待て、人目もある。夜中に出るぞ」
改良スーツの説明もあるため、一度イージスに集まることになった。テストルームに呼ばれデバイスを起動しスーツを纏った。テストルームはイージスの保有する武器を試用するための謂わば、実験室だ。オペレートルームとガラス張りで分けられていて、蒼助がインカムを装備しこちらを見ている。
「装着したぞ、これでいいのか?」
「ああ、説明に入る。大きく変わった点は全体的な出力の向上。それと、転送装備だ」
「転送装備?」
遠くからなにやら騒がしい音が聞こえる。
「ほら、私に貸して。来たね、潤!」
なるほど、技術顧問の霧雨さんか。
「霧雨さん?」
「雷で良いよ。私から説明するね」
改良型スーツは蒼助が主となり調整し彼女はサポートに回っているとのこと。燦と嵐はユーリのセイクリッドスーツの調整に携わっており、関与していない。
「まずは、デバイスの画面を見てみて」
画面には拳のアイコンと三角マークのアイコンが追加されている。
「これか」
拳のアイコン押してみると巨大な手甲のホログラムが右腕に覆い実体化した。分厚い装甲を良く見るといくつか溝があり何かのギミックだろうか。非常に重量があり威力も期待できそう。手甲の一部がスライドしデバイスと同じ電子画面が表示される機能もある。
三角マークのアイコンを押すと銀色に輝き、鋭く回転するドリルが左手に装着された。
「右腕は巨人の拳。打撃力を上げるだけじゃなく中和剤の効能も強化するわ。左手の正式名は円錐螺旋破砕装置、ドリルアームね」
「ちなみに、拳は俺、ドリルは霧雨の案だ」
「どっちも私が実際に作って、転送できるようにしてあるから」
テストルームで実際に動いてみると以前より身体が軽い。パンチにキック、背部のブースターを使った高速移動も全てにおいて隙が少なくなっている。
「大体分かった、行こうか」
スーツを解除しテストルームから出る。
「まだ説明することあるんだけど!」
「潤は変に知識を入れるより実戦で学んだ方が早い」
「そう言うこと」
大体の仕様は理解した。丁度良い時間だろう。
「悪いが、俺はここからサポートに回る」
「潤、無事に戻って来てね」
「おう! じゃあ言ってくるぜ」
旧棟へ向かいバイクを走らせた。




