1 白井雪は勇者の娘に転生する その1
神奈川県秦野市。
「神奈川の屋根」といわれる丹沢山地。
冬の丹沢の表尾根縦走中、神域と呼ばれるところで足を滑らし滑落した。
岸壁に咲く、忘れな草を見たのを最後に、意識が途絶えた。
結論から言うと、私は神隠しに会い、異世界に転生することになった。
その神域には今考えれば、いるはずのないものがいた。
幼稚園にも入っていないくらいの未就学児ぐらいの子供たちが、カゴメをして遊んでいた。違和感を感じて、その子供たちから目が離せなかった。
気づくと私は、そのカゴメの中にいた。
『かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀と滑った 後ろの正面だあれ?』
後ろの正面を言い当ててしまった私の魂は、後ろの正面を言い当てることのできる神子として認定された。神の御手により選抜され、異世界の勇者の子供として転生することになった。
いまとなっては何と答えたのか思えてはいない。
大和の国の神域が持つスキルとともに転生した。
ハイド&シークという、かくれんぼうスキルを授かって、異世界勇者への恩返しのために、恩のある異世界に送り込まれた。
神様に詳しい話を聞く前に、意識が遠くなっていく。
阿鹿比古命の子よ。。◤▅▒▒█▛。█▓▀▓█░█▛宿曜 ▒◢█▚▓▗▌▟六。
神域の神様の残滓から感じるところでは、過去、神奈川(旧相模の国)は異世界の勇者に助けられたことがある。
その恩を返すために魂を選び、送り込んだという事のようだ。
同意もなしにとかね。
生き返らせて頂けるのなら、もちろん文句はありませんが。
地球にまた帰れることを祈って
私は暗闇に飲み込まれていくのだった。
私は寝るとき、部屋を真っ暗にする。
明け方陽が差してきたときに、部屋の中に光が入らないようにするためだ。
なぜ光が入るのが嫌かというと、夢を見てしまうから。
明け方陽の光がまぶたを照らし、無意識に光を感じるとき
私は夢を見る
物心ついた時から、ずっと何かから逃げる夢を見ていた。
地を這い、物陰に隠れながら、転がるように逃げる。
闇から逃げるように。
不安から逃げるように。
見つからないように。
ただひたすら見つからないように。
朝目覚めると、今日もなんとか生き延びることができたと実感する。
ふふっ
夢なのにね。おかしいよね。
だから私は寝るときは、部屋を真っ暗にする。
何者かから逃げ延びるために。
生きるために。
まぶたにまぶしい光を感じる。
母の産道を通り、異世界に生まれた。
産まれた瞬間の意識を持っているのは、転生者だからだろうか。
一つ気になるのは、胎内にいたころからの、勇者である父からの視線。
異世界(相模の国)スキル ハイド&シークとともに
私、白井雪はこの世界に恩を返すために生まれてきた。
らしいです。
おくるみでくるまりながら、母に抱かれている。
生まれた瞬間から意識があるというのは、常に金縛りの状態にあるというようなものだった。意識だけはうすい靄を通して外界を覗き見しているが、基本原初意識での反射行動に終始していた。
父母が複雑な顔をしている。私が生まれたときのあの幸せいっぱいの笑顔はどこに行った?
その感覚を言うならば、魂を覗き見られるというか、父母の前にいた神官風の男が私の鑑定をしたらしい。スキルを所持していないというようなことを話している。
所持していなかっただけならばまだいいのだが、スキルを獲得する片鱗すら見当たらないという。
魔力の素養もなく、勇者の子としてどころか、市井の民以下のステータス値だといっている。
「ルナノーン。スキルが優先される世界で、勇者の娘がスキルと魔力なしとは、どういうことだろうか。」
「あなた、私は母としてこの子の幸せを願うだけ。
この子の幸せのために、生きるだけですよ。」
私は幸せな両親のもとに生まれてきたようだった。
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処女作「おもちをのどに詰まらせて転生したらもちもちでした。」
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2P完結で手軽に読めるのでお勧めです!
初めて書いたお話なんです!
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