第1章~転生~夢のはじまり
朝日が、昇り始める時間、大して飲めもしないコーヒーを片手に、寝ぼけ眼をこすりテレビニュースを見る。
ニュースの内容は、誰々が結婚だの、流行は何だと変わり行く世間のことが、流れている。
男は、そんなことに興味がなく、電子端末でニュースを調べ始める。
やはり、そこには同じニュースで流行や結婚報道などが大きく取り上げられていた。一方で、最近、相次ぐ失踪事件についても記載されていた。男は軽く目を通すと、やはり興味がなさそうに、新しい記事を探す。
結局、大した記事も見つからず時間だけが過ぎる。男は出かける支度をはじめる。
休日に、こんな朝早くから出かけるなんて普段では、まず有り得ない。
しかし約束事があり、遅れていくというのは嫌なので、かなり早く起きて少し早く向かうことにした。
ある意味早く起きられたのは、緊張しているのかもしれない。
軽く身支度を整えおそらく約束の時間には、まだまだ早いが、家を出ることにした。朝日は完全に登り切っているが、外の空気は、まだ冷たく少し肌寒い。普段からそれほど人通りも多くないが、より一層、閑散とし、その通りは不気味とさえ思えた。
男以外に、人の姿はない。
少し不思議に思うものの普段、こんなに早く出かけたこともないために、そのままイヤホンをして音楽を聴こうと、画面をみた瞬間に、それは黒い画面に映り込み、そして男の視界も黒く染まっていく。
ハッと目が覚める。記憶もはっきりしている。五感も動くし、痛いところもない。
しかし、目の前には、知らない光景が広がっている。記憶が正しければ、まだ朝日が昇っていたものの、少し薄暗かったはずだが、辺りの光景は、まるでお昼のように陽の光に包まれており、さらには、先ほどいたような場所とは打って変わって、見たことのないような街並みが並んでいる。
眼前に広がるのは、大きな街、かなり坂が多く建物が入り組んでいる。
建物といってもビルのような高層なものでなく1つ1つは、そんなに大きな建物ではない。
そして、最も目につくのは、垂直線上に見える大きな門、その先にかすかに見える建物。
いわゆる、お城というのだろう。ここはどこだ。現代の建物構造ではないし、とても今まで生きていた街とは思えない。海外か?
焦る。現状自分が置かれている状況に頭がついていかない。状況を整理しつつ、ひたすらに、どこを目指すべくでもなく、走る。階段を下りて、坂を下り、人を探す。
道すがら、ガラスに自分が映る。そこには、ちゃんと自分の顔がついていた。体も正常だ。大きくも小さくも若くもなっていない。あたりまえだ。
しかし、この身にまとう服が変わっている。家を出たときの服とは異なっている。異なっているどころか、こんな衣服に身に覚えがない。グレーのパーカーに、黒いズボン、至って普通の衣服であるが、胸のところにロゴが彫ってある“Savivor”
「さ・・ばいばー?」
サバイバー。こんなロゴの入った衣服は持っていない。それに焦っていて気づかなかったが、小さいボディバックを背負っていた。
それほどの重さもなく、ガラスの自分の姿を見て少し冷静さを取り戻し、鞄の中身を確認しようとする。
すると、遠くの方から叫び声が聞こえてきた。
「お兄さん、どいて、どいてぇーーーーー」
人がこちらに向かって走ってくる。走ってくる人の前には、大きな樽が転がってくる。
そんなわけのわからない状況に若干の安堵を覚える。1つはここにきて初めて人との遭遇だ。
どれくらい走ったかわからなかったが、どこかわからない状況で人の気配がなかった。
人がきたことに安堵を覚えずにはいられない。
2つめに言葉わかるということ、残念ながら俺は頭がよくない。ここが海外だとして英語を話されても困るというものだ。
樽を追いかているようだし、勢いが強いが止められないほどじゃないだろう・・・たぶん。
言葉がわかり、他に人がいない状況で、樽を止めてでも、この人を引き留める必要があるだろう。