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蛍光刀 いつ蛍が光るか?  作者: 渋谷かな
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「蛍ちゃん、遊ぼう。」


蛍と楓は一緒に旅をすることになり、道を仲良く歩いている。


「ダメ。遊ばない。」

「蛍ちゃんのケチ。」

「誰がケチだ!? 誰が!? このクソガキめ!?」


二人は仲良く旅を続けていた。


「はあ・・・どうして、俺が子供の子守をしないといけないんだ?」


蛍は慣れない子守に困っていた。


「蛍ちゃん。」

「遊ばないってば。」

「・・・おしっこ。」

「ええ!? 早く言って!?」


蛍は楓を抱えて道端の草むらに慌てて行き用を足した。


「蛍ちゃん、ありがとう。」

「どういたしまして。」


再び二人は道を進む。


「蛍ちゃん。」

「今度は何?」

「お腹空いた。」

「・・・。」


二人のお腹がグーっと鳴った。


「ああ! お団子屋さんがあるよ! お団子食べようよ!」


目の前にお団子屋さんを見つけた。


「・・・お金、持ってないんだ。」


蛍は無一文だった。


「ええー!? 蛍ちゃんの貧乏!」

「貧乏言うな!?」


その時、お団子屋さんから野盗たちが出てくる。


「金を払えだと!?」

「私たちは団子を売って生活しているんです。お金を払ってもらわないと生きていけません。お金を払ってください!」

「なんだと!? せっかく団子とお茶だけで許してやろうと思ったのに、命を取られないと気が済まないようだな。やっちまえ!」

「おお!」

「ヒイイイイ!?」


野盗たちが団子屋の破壊を始め、店主を殺そうと刀を抜く。


「おやじ、命を救う代わりに団子とお茶を、俺とその子に奢ってくれるか?」


そこに蛍と楓が現れた。


「は、はい。」


店主は命かながら蛍に助けを求め、見返りに団子とお茶を奢ってくれることを約束した。


「やったね! 蛍ちゃん!」

「任せとけ!」


蛍と楓の息はピッタリである。


「なんだ? おまえたちは?」


4,5人いる野盗たちも蛍と楓の存在に気づいた。


「ただの通りすがりの者です。」


以前は名も無き者だったが、今は蛍という名前を楓に付けられた。


「いつ蛍が光るか知っていますか?」


蛍は少しずつ野盗に近づいていく。


「はあ!? そんなもん知るか!?」


野盗たちは団子屋の店主や蛍にイラついていた。


「蛍は悲しい時に光るんです。」


蛍は刀を鞘から抜いた。


「青い光!?」

「刀が光っているだと!?」


鞘から抜かれた刀から、まるで蛍のような青い光が放たれ飛び立っていくようだった。


「人は、この刀を妖刀、蛍光刀といいます。死にたくなかったら、逃げてください。」


蛍は刀を構える。


「なめるな! ガキの分際で! おい! やっちま・・・え!?」


一瞬だった。青い蛍の光は、夏の世に飛ぶ蛍のように静かに何事も無かったかのように野盗たちの命を一振りで奪った。


「逃げろって言ったのに・・・悲しいね。」


蛍は野盗を倒し刀を棹に収める。


「やったね! 蛍ちゃん!」

「人前で蛍ちゃんって呼ぶな。」

「わ~い! お団子! お団子!」

「・・・無視ですか。」


蛍よりも楓の方が一枚上手であった。


「お団子、美味しいね! 蛍ちゃん!」

「おお。やっぱりお団子にはお茶だよな。」


二人は仲良くお団子とお茶を食べている。


「蛍ちゃん。死んだお姉ちゃんはどうやったら生き返るの?」

「まずどこかに彷徨っている死人の魂を探す。俺はおみつ姫の魂を。楓はお姉ちゃんの魂を見つけなければいけないんだ。」


蛍と楓の旅の目的。想い人を生き返らせる。手順の一つ目。死人の魂を見つける。


「見つけたよ! 蛍ちゃん!」

「はあ?」


楓が大声で叫ぶので、蛍は疑い深く見上げると女性がいた。


「初めまして。いつも妹がお世話になっています。楓の背後霊をやっています姉の桜です。よろしくお願いします。」


姉の桜は妹の楓が心配で、ずっと後ろからついてきていたのだった。もちろん足はない。


「わ~い! 桜お姉ちゃんだ!」

「楓! 元気そうで何よりよ!」

「わっはっは!」


感動の姉妹の再会である。


「な、なんなんだ!? この姉妹は!?」


蛍は姉妹を見て呆れる。


「さあ! 蛍ちゃん! 死人の魂は手に入れたから、桜お姉ちゃんを生き返らせよう!」

「やった! 死んでから一日以内で生きかえれるのね!」


意気揚々の姉妹。


「知るか!? 俺は姫の魂を探しに行くんだ!?」


蛍はお団子を食べ尽くし、お茶を飲み干し団子屋を後にする。


「あ!? 待ってよ!? 蛍ちゃん!?」

「私を置いて行かないで!?」


楓の姉、幽霊の桜お姉ちゃんを仲間に加え、蛍と楓の旅は、まだまだ続く。


つづく。

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