ドキドキ!!お守り役さまとの旅行!!
すいません・・・・・。遅くなりました・・・・。
「シンイさま、明日からユリ王国に行ってください。」
ふーん。
「って、ええっ!?なんで!?」
「明後日にユリで舞踏会が行われるのです。その舞踏会はユリの国王主催のもので、今年はそれに国王の姪と甥・・・・・次期国王候補も参加するそうです。そして私たちモクレン国も参加し、ユリとモクレンの繋がりを強くしよう、ということです。まぁ、ユリは大国なので弱小国のこちらとの繋がりは全くもって必要ありませんから、ユリとの繋がりがなければ滅びるであろうこちらが頭を下げにいく、ということですよ。」
「ああ・・・・・。なるほど・・・・・・。」
そうだね・・・・・。昔はこの国も強かったけど・・・・・。
「どうしてあの国がこちらをずっと助けてくれるのかは全くの謎ですね。あちらにとってこちらを支援することには得なんてないも同じなのに・・・・・。」
それは・・・・・多分・・・・。
「でも、良かったではありませんか。あちらの国にはシンイさまのお友達が居ましたよね。」
「あ!!そうだね!!」
もしかしたらフレップちゃんと会えるかも!!あ、でも・・・。
「まぁ、舞踏会に行って王に謁見して、だけでユリへの旅行は終わるかも知れませんがね。」
うぇっ・・・・・。
「ねえ、マリリンは来てくれるの・・・・?」
「ええ、と言いたいところですが・・・・・。シンイさまが居ない間、政務を代行するので・・・・。」
「ええっ!?マリリn
「ご安心ください。私が付いていきますから、ククッ。」
スノウさま!?どこで話し聞いてたの!?さっきまで部屋に居なかったよね!?
「・・・・・・今回の付き人はミオソティスのみ、という話のはずでしたが?」
あばばばばば!!マリリンの眉間に皺が・・・・・!!!
「ククッ、それだけでは一国の王にしては付き人が少ないのでは?それに私はお守り役ですから、シンイさんに付いて回るのは当然でしょう。」
いや、一人も二人も変わらないよね!!っていう。
「一人・・・・というのは主な付き人の人数であり、他にも何人か使用人を連れていきます。貴方がいなくても構いません。それに、お守り役だからと言ってどこにでもついていくことには少々疑問を感じます。」
「では、使用人が一人増えたところで大した変わりはないでしょう。それに私はシンイさんの警護もできます。」
「・・・・・・・・・。」
マリリンを黙らせた・・・・。スノウさまスゲー・・・・・。
「ということで、私が付いて行ってもよろしいですね?・・・・シンイさん、それでは旅行の準備を始めましょう。」
「え、あ、うん。」
「・・・・・・・・・・。」
なんか・・・・ごめん・・・。マリリン。
* * * *
「いやっふー!!シンイ~!!ユリの国だよ~ん!!」
ミオソティスがハイテンションに馬車から飛び出していった。あ、ちょ、待った。
「うわああああ!!!!」
やっぱり・・・・。今回は正式な訪問だからいつも通りに変な風に飛び出すと・・・・・。
「うわ~!!!ぼ、僕は不審な人じゃないよ!!!モクレン国王の正式な付き人だよ~!!!」
窓からチラッと外を見てみる。うん。兵士さんがズラーっと並んでる&ミオソティスが兵士に囲まれてるねっ!!!怖いよ!!
「シンイ~!!!助けてよ~!!!」
「付き人がこんなふざけたやつだと!?ありえん!!貴様、やはり
「うわー!!!違います!!違うんです!!この子は不審者じゃなくて、本当に私の付き人なんです!!」
慌てて馬車から降りるも、沢山の兵士から降り注がれる不審者を見るような視線。なんで!?私、王!!!I am king!!
「はぁ・・・?今のモクレンの王はハクレンさまでは・・・・・?私が写真で見たハクレンさまとは随分違うようにお見受けいたしますが・・・・。それに先ほど、シンイと呼ばれていたと・・・・・。」
・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・。」
ママ・・・・・。そうだね。ハクレンさま・・・・ママはね・・・・。もういないよ・・・・・。居れば、良かったんだけど・・・・・ねぇ?
「あ、あの・・・・・・・?」
私が黙ってしまったせいか、変な沈黙がこの場におりる。
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・消えろ!!消えてしまえ!!お前たちのことなんか大っ嫌いだ!!!シンイ!!!帰ろう!いくらこっちが格下の国でもこんな失礼なことありえない!!!」
ミオソティスを止めようと口を動かすが、ハクハクと空気が出る音がするだけで声が出ない。
「ハクレンさまは・・・・・ハクレンさまは、
やめてよミオソティス・・・。
「ねぇ、お前たち、何してんの?」
沈黙に沈むこの場を涼やかな声が切り裂いた。
「どうしてシンイはそんなに悲しそうなの?」
この世に二人しか持つ者が居ない黒い髪を揺らし、しっかりとした足取りで一人の少女が私たちの間にはいってくる。
「もう、大丈夫だよシンイ。シンイのことはユリが守るから。」
金色の瞳を煌かせ、私の手をぎゅっと握るこの少女は・・・・・
「シラユリ・・・・・・・。」
少女は嬉しくて仕方ないとでも言うように私に笑みをこぼした。
「で、お前らはシンイに何をした?」
私に向けた優しい声とは対照的な冷たい声色でシラユリが問いかける。
「王女さま!!いやっ、あの、その・・・・・。この者がモクレンの王だというので・・・・・。」
「そうだよ。確かにシンイはモクレンの王だけど。それで?」
「そうでしたかっ!!大変失礼いたしました!!」
凄い勢いで頭を下げられた。
「で、それで?」
「あの・・・・・その・・・・・。」
「早く。ユリもね、叔母さんと同じようにあんまり暇じゃないんだよね。知ってるでしょ?」
「う・・・・えっと・・・・
なんだか申し訳なく・・・・・・。
「それでは、その兵士の代わりに、私がその兵士の言ったことをお話いたしましょう。」
そんなことを言いながら、真っ白な太ももを大胆に晒して馬車から降りて来たのはスノウさまだった。
「貴方、誰?シンイの使用人にこんな人いたっけ?」
「ああ、申し訳ありません。私のことはどうかスノウと呼んで下さいませ。シンイさんのお守り役をしております。以後お見知りおきを・・・・ククッ。」
「ふーん。まぁいいや。話して。」
シラユリは胡散臭そうにスノウさまを見つめつつも、話を促す。そうだよね、スノウさま、妖しげな雰囲気ムンムンだもんね。
「今のモクレンの王はハクレンさまではないのか?とそこの者は申したのですよ。ねぇ?」
馬車の中で全部聞いてたんだね・・・・。
「それ、本当?」
「ええ、もちろん。」
一気に空気が冷え込んだ。
「ヒィイイイイイ!!!!」
気が付いた時にはシラユリは先ほどの兵士の首を締めあげていた。
「ありえない。モクレンのことぐらい知っときなよ。ハクレンはシンイのお母さま。そしてシンイは今のモクレンの王。」
「も、申し訳ありません。ほ、ほほほほ本当に申し訳ありません。」
あまりの兵の怯えようにシラユリも心を落ち着かせたのか、兵を開放した。
「お前、最低。クビね。」
え!?それはちょっと・・・・。
「い、いいいいや!!そんなことしなくていいよ!!私なんかのために!!私は大丈夫だし!!しかもモクレンのことなんか知ってる方が可笑しいんだから!!ママのこと知ってただけマシだって!!」
モクレンはユリとかヒガンバナに比べてめっちゃ小さい国だからね!!これ、テストにでるよ!!
「でも・・・・・。」
「ほら、私がこう言ってるんだし!!ね!!」
「うん・・・・・。わかった。次はないからね。各自、自分の仕事に戻って。」
そういうと兵士さんたちはパーッと元の配置に戻った。
「さぁ、シンイ!!叔母さんに会いに行こう!!」
シラユリはさっきまでの冷たい声色とはうって変わり、可愛らしい声を出しながら、私の腕をつかんできたのだった。
シラユリ?誰?という方は「乙女ゲームのサポートキャラに転生したら、ヒロインが色々終わっていた件」へどうぞ。まぁ、読まなくてもわからないことはないと思います。それと、どうでもいいですがシンイは「ハクレン(母)」が居ないことを再確認させられることと、「ハクレン(母)」と比べられることが地雷です。