ドキドキ!!お守り役さまとのお散歩!!
物凄く遅くなりました・・・。ごめんなさい・・・。そしてなんだか暗いです。いや、もちろんコメディもありますよ。
「そうだ、どこかに行こう!!」
お誕生日パーティから半年たって、私は仕事か、勉強か、スノウさまによる鍛錬という名のイジメしかない日々にあきあきし、名案を思い付いた!!
「どこか?」
「うん、どこか。スノウさまもお城にずっと引き籠ってるのは嫌でしょ?」
私は基本的に外が嫌いだけど、さすがに半年も外に出ないのは不味い気がしてきた。それにここに居ると、仕事か勉強かスノウさまによる鍛r(以下省略)しかないから、外に出たほうがまだマシだって気づいた。とくにスノウさまによるイジm・・・・・鍛錬がキツイ。だってゲームって言うたびにイz・・・・鍛錬が始まるんだよ!?酷いと思わない!?
「いえ、別に。」
「なんで!?」
「この城は快適ですよ。」
・・・・・・。嬉しいけど嬉しくない。
「でもさ、半年間も引き籠ってるのは人体的にまずいと思うんだ!!」
「・・・・・まぁ、そうですね。ですが、出かけると言ってもどこに出かけるんですか?」
人目がある場所は苦手だなー、あ、でも私なんか気にする人いないから大丈夫か。
「うーん、とにかくどっか行こう!!!」
「ンフフッ、シンイさんのそういうところ、嫌いではないですよ。」
ごめん。私、スノウさまの嫌いじゃないポイントが良くわからない!!
「じゃあ、レッツ!!ゴー!!!」
「お待ちください。まさか、その格好で外に出るつもりですか?」
豚一族ジャージがなんかおかしい?
「え?そうだけど?」
「・・・・・・・クククッ、これは驚きました。さぁ、そのだらしない服を脱いで私に身を任せてください。」
ヒェッ!!スノウさま、眼がなんだかキレてるよ!?
* * * *
「スノウさま。」
「なんでしょう?」
「外に出る、ってだけでなんで甚平を着る必要があるの?ジャージでいいじゃん。」
お祭りでもないのに甚平って今時可笑しくない?
「おや、知らないのですか?甚平は立派な部屋着なんですよ。」
えっ!?そうだったの!?じゃなくて!!
「そうだとしてもさ!!今時お祭りでもないのに甚平って・・・・・。」
「それは着物を着ている私への挑発と受け取っても?」
「ごめんなさいうそですなんでもありません。」
「クククッ、いつでも決闘を申し込んでくださいね?大歓迎ですから。」
そんなんだから堕天したんだよ。普通、天使はそんなこと言わない。いや、天使と会ったことないけどさ・・・・・。
「そういえば、なんでスノウさまはあの日からいつでも着物を着ているの?」
暗い色ばっかだけど。あ、あの日って私の誕生日パーティーの日だよ。
「はて?なんのことやら。」
ここ、とぼける必要ある!?
「ンフフ、シンイさんは全てが顔にでますね。」
えっ?そうなの?
「って、スノウさま置いてかないでー!!」
スノウさまと私じゃ身長が半分ぐらい・・・・・いや、五十センチくらい違うからね!!足の長さもかなり違うんだよ!!いや、そもそもスノウさまは同じ身長ぐらいの人と比べても足が長い・・・って、
「本当に待ってよー!!」
* * * *
「あっ。」
「あっ。」
・・・・・なんでこのタイミングなんだろ。スルーしちゃダメかな・・・?
「・・・・えっと、あなたはモクレン王国の王のシンイさまですか?」
「・・・・・あなたはもしかして、ヒガンバナ王国の王女リコリスさまですか?」
ううっ・・・・。なんで他の国の女王さまがここに居るんだよぅ・・・・。しかもリコリスさんとは一回顔を合わせたことがある程度だし・・・・。
「えっと、私はちょっとこの国に遊びに・・・・・。」
「ククッ、そうなのですか。護衛は一人しかいないようですが、こちらで手配いたしましょうか?」
「いや、結構です・・・・。お忍びなので・・・・・。・」
お忍び!?ヒガンバナ王国は最近一段と勢力が強くなってるから・・・・この国で暗殺されるとかやめてよね!?というか、ヒガンバナ王国はこの国と同盟国だから問題ないのかもだけど・・・・。
「え、まって。護衛なんてどこにいるの?」
「あ、えっと、そこに。」
あ、あのメイドさんか。少し離れたところにいるし、こちらを向いてないから顔は良くわからないけど、長い白銀の髪が綺麗だ。
「えっと・・・・・フラン。こちらの方々に挨拶を。」
へー、フランさんっていうんだ。
「はい、リコリスさま。」
メイドさんはくるりとこちらを向き、すぐ近くまでやってきた。
「えっ・・・・・・。」
「なにか?」
この人ってさ・・・・。ねぇ。この人ってさ・・・・・。
「ハルサフラン・クロッカス・・・・・・・・・。」
リコリスさんが目を大きく見開いた。
「ねぇ・・・・アヤメ王国は滅びたんじゃないの?ねぇ、ヒガンバナ王国に滅ぼされたんでしょ。なのにどうしてその王子がヒガンバナの王女のもとでメイドとして働いてるの?どうして?なんで?教えてよ。」
「べ、別人だと思いますよ。ハルサフラン王子は行方をくらましたってことでしたでしょう?」
「別人なんかじゃない。ママを殺した人間の顔を見間違えるはずがない。」
「おや、シンイさんの母君は殺されたのですね。」
「なんでママを殺した君がのうのうと生きているの?なんで?どうしてママを殺す必要があったの?」
「申し訳ありませんが、貴方さまの母君が誰なのか私にはわかりねます。」
「ハクレン・モクレン!!この国の王だった人!!君が死刑宣告をした人間だ!!」
「私の記憶が間違っていないのでしたら、そのハクレンさまと言う方に私がお会いしたという記憶もなければ、死刑宣告を下した覚えもございません。」
その瞳には嘘なんてないように見える。だけど・・・・・・
「とぼけるなっ!!!」
「きっと勘違いでしょう。リコリスさま、帰りましょう。」
「勘違い!?君は自分の大切な人を殺した人間を間違えるのか!?」
「間違えるはずなどないわっ!!!」
ハルサフランがいきなり大きな声を出だした。
「・・・・失礼いたしました。それでは、リコリスさま。」
「あ、うん・・・・・・・。じゃあ、シンイさま。またいつか・・・・。」
逃げるのか。逃げるのか・・・・。
「逃がすかっ!!!」
懐から短刀を取り出し、足に一気に力を籠める。
「えっ!?」
リコリスさまの驚く顔を尻目にハルサフランを押し倒し、ハルサフランの心臓の真上あたりに短刀をつきつける。
「私は・・・・・私は・・・・・・。」
君を殺せばきっと・・・・・・・。
「はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・。」
苦しい。やっと復讐が成し遂げられるはずなのになぜか苦しい。
「ママ、ママ、ママ・・・・・。」
震える両手で短刀を握りしめ、ハルサフランの心臓に向かって少しずつおろしてゆく。
一瞬目の前が真っ白になったあと、カランカランと何かが落ちる音がした。
「シンイさま・・・・・・?」
「ごめんなさい・・・・・・・。」
ごめんなさいごめんなさいごめんさないごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・。
「ごめんなさい・・・・・ママ・・・・。私には出来ないよ・・・。殺せない・・・・・。」
人が人を殺すなんて許されない・・・・。
「私は・・・・・君を絶対に許さないよ。」
きっと、君を殺したら私は私を許せなくなるから。それに、私は君と同じ人殺しになんかなりたくない。だから・・・・だから、君のことを殺さないのは君の為なんかじゃない。私のためだ。
「スノウさま、行こう・・・・・。」
ちらりとスノウさまに目を向けた時、なぜか仮面に隠れている方のスノウさまの目が緑色に見えた気がした。
* * * *
「ごめんね、スノウさま。ちょっとの間だけお部屋から出てて。」
スノウさまの姿が見えなくなったのを確認し、マリリンの方へ向き直る。
「なにか・・・・・あったんですか?」
バレてたのか・・・。
「今日ね・・・・・・ハルサフランに会ったよ・・・。」
マリリンの表情が凍った。
「あれの国は滅びたのでは・・・・・・・・。」
「リコリスさんと一緒に居た。」
ひゅっ、とマリリンの喉が鳴る。
「なんで・・・・・・・。それで、シンイさまは・・・・・?」
「それでって・・・・・・?」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・大丈夫だよ。何もしてない。殺そうと思ったけど、何もできなかった。」
「そうですか・・・・・・・・。」
安心したのか、マリリンの頬が少し緩む。
「・・・・・・さぞかし、お辛かったでしょう・・・・・・。」
「うん・・・・・・。ねぇ・・・・。」
「・・・・・なんですか?」
「久しぶりに、ぎゅっ、てしてよ・・・・。」
「・・・・・・もう・・・仕方ありませんね。」
マリリンの優しい香りが私を包む。
「今日だけは特別です。存分に甘えて下さい。」
「うん・・・・・。ありがとう・・・・。マリリン大好き。」
「私はいつだって貴方の味方ですから・・・。なにがあっても傍にいると誓いましょう・・・。」
「ありがとう・・・・。私もなにがあってもマリリンの味方だよ。」
マリリンの抱きしめる力が強くなった。
「シンイさま・・・・。私は貴方を・・・・
ガチャッ
「おや・・・・・。」
スノウさまが驚いたような顔でこちらを見つめる。そしてマリリンと私がとっさにバッと体を離す。
「貴方がたはそういう仲だったのですね。」
「違うよ!!断じて違うよ!!!」
だからといってセクハラとかでもないよ!!
「というか、ちょっとの間外に出ててって言ったよね!?」
「もう十分程たっていますが?」
「え、嘘だぁー!!」
「ククッ、あちらの時計をご覧ください。」
「あ。」
本当だ。出てもらった時から十分たってる。
「クククッ・・・・。」
「すみませんでしたごめんなさい。」
だからさきっから私の事を威嚇しまくっているその蛇を止めて下さい。
「・・・・・・・・それでは、私は。」
そういうと、マリリンは私を一回ぎゅっと抱き締め、部屋から出て行った。
「今日は・・・・・なんか・・・・・ごめんね。」
「いえいえ。」
「でも・・・・・なんか変な所・・。」
「ンフフフ、貴方があそこまで激しい感情を向ける方がいたとは、ねぇ・・・?」
そう言って淡く微笑んだスノウさまの仮面の奥の瞳は、一瞬だけどまたもや緑色に見えた気がした。
次からはハイスピード投稿を目指します・・・・。