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8話 使い魔

8話 使い魔


祠の前に立った大輝はこの場所の異様な空気に戸惑いを隠せない。


「此処は一体?何の為の場所なんだ…?」


祠の中心にはまるで祀られている大きな珠があり、そこから瘴気が出ているようだ。その珠を見ていると触れたい感情が湧きあがってくる。


「この珠は…?何か訴えてくるような感覚はなんなんだ?」


触れたい気持ちをなんとか抑えようとしたが、足が大輝の意思とは別に進んでいくような感じだった。珠の前まで来た大輝は最後の抵抗とばかり直接ではなく先ほど拾ったナイフで突っついてみた。


その瞬間、珠が光り目の前に大量の瘴気が溢れ出てそのまま集まり形を作っていく。


「モンスターが生まれるのか?」


この珠はモンスターを生む装置なのか分からないが危険な物なのは分かる。そう考えている中どんどん瘴気は集まり形がはっきりしてきた。


そして現象が収まるとそこには中型犬くらいの大きさの黒いキツネがいた。ただキツネにしては全体的に丸い。

…そして眠っているようだ。


残り少ないMPでの戦闘に危機感を持ちながら構えていた大輝はこの現状についていけない。


「……この場合どうすれば」


そう思っているとまたダンジョンが揺れ始めた。


「!!。タンジョン自体が崩れる?」


巨体ネズミとの戦闘とダンジョン化以降は誰も管理もしていない状態の悪さで崩れようとしているのだ。そしてすぐに引き返そうとしてさっきのキツネが目に入る。


「モンスターだろうけど、見捨てる訳にはいかないか…」


危機感の欠片もなく、ただ眠る姿に一緒に脱出する事を決め抱きかかえる。しかしキツネはいまだ寝たままだ。


急いで来た道を急いで引き返して行く。ナイフをカードに収納してキツネを脇に抱え落ちた縦穴の上がれそうな所を探し上っていく。ときどき「ビシ!」と洞窟が鳴るのが聞こえてその度、緊張して上を目指す。


やっと上まで登り切り出口を目指し始めた時、洞窟が大きく揺れだし後方で崩れるような音がした。


この位置も安全ではないと感じ急いで出口の方に走っていく。出口に向かっている途中で何度かモンスターと出会うが残りのMPでは魔法は2回しか使えないので逃げれそうな時は逃げ、どうしようもない時にのみ風の魔法を使い倒していった。


最後の風の魔法を使ったのは出口に近づいた時だったので、残りはナイフでなんとか出来そうだが左脇にキツネを保護している状態で戦闘は避けたいのが本音だった。


そして大輝はダンジョンから出る事が出来た時、外は暗くなっていた。


「疲れた……」


大輝のMPはほとんど残っておらず、走ってダンジョンから出てきたので疲れ切っていた。呼吸を整える為にその場に座り込み休憩をした。


しばらく休憩をした後、ワンスさんの家に向かうのであった。



「只今帰りました」


「お帰り、遅かったのう」


「お帰りお兄ちゃん。!、お兄ちゃん何その子!」


ミミは抱えていたキツネに気が付き興味津津のようだ。


「いやー…何から説明していけばいいのか」


大輝は今日遭った事を順に説明していく。ダンジョンに挑んだ事、巨大ネズミとの戦闘の事、武器を手に入れた事、地下で祠を見つけた事、そしてそこで出会ったキツネの事。


「この子、モンスターだと思うのですが見た事ありますか?」


危険なモンスターなら倒さなければこの村に危険が出てしまうのが、出来れば倒したくない。もし知っているなら教えてほしい。


「わしは見た事がないのう。じゃがこんなに可愛い寝顔の子を倒すのは気が引けるのう」


「え!倒しちゃうの?駄目だよ!かわいそうだよ!」


みんなも同じ気持ちのようで視線がキツネに集まる。


その中で話題の中心のこの黒いキツネが目を覚ました。


「…?、キュー?」


現状が把握できずに周りをキョロキョロ見回していると不意に大輝と目が合う。


「な、何!」


「キュー!!!」


突然黒いキツネは大輝に甘えるように飛びついて来た。攻撃されたのではなかったが突然モンスターに飛びつかれてはビックリしてしまった。


「これはこれは見事に懐いておるようじゃのう」


「この子、可愛い!なんて名前なの?」


「名前…」


「そうじゃのう。こんなに懐いているのじゃ危険はないじゃろう。名前を付けて使い魔としての契約をしてはどうかのう」


「使い魔?」


「そうじゃ。偶にモンスターと心を通わせる事や力を認められた時に出来る契約で、今後は主の仲間として共に戦い共に強くなっていくのじゃ」


「この子もレベルアップするって事ですか?」


「そうじゃ」


この子を危険に晒すのは気が引けるが一緒に強くなるなら最初は僕が守ればなんとかなるか。


「なら名前を決めないとな……。んー、そういえばこの子はオス?メス?」


「メスのようじゃのう」


「ならば<タマ>で」


結局どちらでも良い名前になったがこの丸々とした姿を見ているとその名前しか浮かんでこなかった。


「タマか。ほー、良い名前じゃ」


「タマちゃんよろしくね!」


「キュー!」


「タマ、これからよろしく。」


あまりにも安直な命名だったが思いのほか高評価で本人も気に入った様子に安堵したが、自分で付けておいてだがこの名前を聞いて一番に思い出したのが、日曜日にやっている日常系アニメの猫だった大輝であった。

何はともあれタマと奇妙な繋がりを感じるので無事に契約は成功したようだ。そしてよく見てみるとタマの頭の上に半透明な字でステータスが表示されていた。


タマ


レベル  1


HP    30 / 30

MP    25 / 25


スキル  狐火 (LV1)


ステータスが確認できるのは良いけどずっと表示されるのは邪魔だな、と思ったら表示は消えた。もう一度確認しようとすると見えるようになることから、主が見たいときに見れる親切設定らしい。ただ自分のとは違い触ることが出来ないのでスキルの詳細を確認する事は出来ないようだ。


「スキルは今後使ってもらい確認するしかないか」


「ほう。こんな小さい時からスキル持ちとは将来有望じゃのう」


話によるとどうやらモンスターがスキルを持っているのはかなり上位のモンスターらしい。そして子供の内からスキルを持っているのは更に珍しいようだ。確かに今まで大輝が戦ってきたモンスターは皆、物理攻撃しかしてこなかった。


「とりあえず明日からレベル上げを頑張ろうな、タマ」


「キュー!」


明日はダンジョンの状態を確認しに行く事を決め眠りにつく大輝達であった。



翌日やはり薬草集めをしながらタマのスキル<狐火>をブルースライムに試した。結果はやはり火の魔法のようだが形状が決まっているようで人魂のような形で飛びを当てるスキルのようだ。しかし何かに当たるまで操作がある程度可能のようで当たれば対象を燃やす、そして複数同時に出すことが出来るようだが今は2つが限界のようだ。しかし消費MPは3と少なめなので使い勝手は良さそうである。


やはり昼過ぎくらいまで薬草集めに時間が掛かったが、そのまま南のダンジョンに向かう事にした。



ダンジョンでは角ウサギはナイフで戦い蝙蝠には風の魔法で発見後すぐに倒していった。今日はタマがいるので一撃必殺で戦っていき少しでも危険を減らす事にしているのだ。そうして何匹か倒していると大輝はレベルアップした。


天兎 大輝


レベル 1     レベル 8


HP   73 / 81

MP   89 / 136


スキル 強化  ・ 風の初級魔法 (LV4)

    使役者


・スライムの雫

・薬草

・薬草


結構HPとMPが上がってきたが上昇率を考えると大輝は魔法使いタイプなのかと思えるほどMPの方が上がるペースが早い。そしていつの間にかに風の魔法のレベルが上がっていた。しかし気になるのが新しいスキル<使役者>である。

この世界のスキルは大昔の技術でないと増えないらしいからこれはエルディアのスキルのようだ。どうやらエルディアのスキルは条件を充たせば自動で増えていくようだ。


早速新しいスキルを確認してみる


使役者 『消費MP 0 ・・・ 使い魔をカードに出し入れ出来る。カードの中にいる間は使い魔のHPとMPは徐々に回復し、外の状況を主の目を通して知る事が出来る』


なにこのスキル、タマのMPが切れても移動中などに回復する事が出来るって便利過ぎる。


「ますます魔法使いよりになってきたな…今度は召喚術士だけど」


とにかくこれを使えばタマのスキルは上げやすい事が分かった為、MPが半分を切るくらいまでスキルを使いカード内で休む方法で進んで行く。

カード内では約2分でMPが1回復するようだがHPはそれほど早く回復しないようだ。そしてカード内にいても経験値は入るらしく、入る前にレベル3だったタマが次に出てきた時にはレベル4になっていたのだ。


タマ


レベル 4


HP   35 / 58

MP   38 / 42


スキル 狐火 (LV1)



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