薬藻の遭遇
NAME:武藤薬藻 【♂】
RACE:人間 【17】
CLASS:改造人間 【Lv40】
DEGREE:地獄の細胞 【Lv30】
HP 4600/4600
MP 2000/2000
TP 7300/7300
AT 728
DF 400
MA 512
MD 375
SPD 400
LC 712
特技:
変身:0
魔法:
スピードブースト:30
グレ・ゴ:10
ポイズナ:25
インビジブ:100【10秒毎に50】
PASSIVE:
猛毒無効
隠密
ステータス強制表示
自爆装置
フェイト・ブレイカ―
情報:
異世界から召喚されし者
女神の加護を得し者
桃栗との会話を終えて、ステータスを確認すると、本当にバグが取り去られていた。
この分だとネリウの方もちゃんと能力が見れるようになったのだろう。
ふーむ。スピードブーストは速度を上げる魔法だろうし、グレ・ゴは地魔法だと分かるが、他の二つは初めて見る魔法だな。
文字の意味合いからしてポイズナは毒に関係するものだろう。
そう思いながらポイズナをタッチしてみると、別のダイアログボックスが開き、説明文が載っていた。
それを見た所、どうやら相手に毒を付与する魔法らしい。確率的に50%くらいだ。
中級魔法と言ったところだろうか。
ちなみに、その下にあったインビジブというのは敵に姿を察知されなくなる魔法らしい。
やはり暗殺を主にしていたせいだろう。覚えていた魔法もそっち関連が多かったようだ。
PASSIVEスキルも同様だ。猛毒が効かなくなる猛毒無効に気配を消す隠密スキル。
ステータス強制表示……は自分ではなく相手のステータスを強制的に開示できる能力らしい。
そしてあったよ自爆装置。
こればっかりは外せないからどうにもならないよな。
……ん? おお。これアイテムとして取り外し可能じゃないか。
せっかくだから取っておこう。
アイテムボックスに放り込んで一生使わなければ問題無しだろう。
フェイト・ブレイカ―は桃栗の言っていた奴だ。
説明を見ると、キスした相手の呪われた運命を解除するとある。
あのアマやってくれる。本当にキスさせる気満々だし。
ちなみに、フェイト・ブレイカ―の説明はこんな感じだ。
フェイト・ブレイカ―:
相手にキスをすることで発動する特定スキル破壊能力。
キスをするとメッセージボックスに次の指示が表示される。
表示された指示を全てこなすと能力が発動する。
ステータスを確認し終えた俺は、ようやく周囲に視線を走らせる。
すでに伊吹とトルーアはここには居ない。
彼女らは先に宿に帰って貰った。
だって、下手に連れて行って田中に無理矢理キスする瞬間なんて見られたくないだろ。
ただでさえネリウのヤツが婚約者だとか口走ってる訳だし。これ以上俺の平穏を乱されたくない。
まぁ、連れて行った先で魔王の卵に何らかの影響を受ける可能性もあるからっていうのも理由ではあるのだが。
そういう理由で俺は単独で田中のいるらしい場所へ向け、フィールドに向ったのだ。
フリューグリスから出ると、舗装のされていない道路が地平線の彼方へと続いている草原に出た。
草はそれなりに生えているが最大でも膝元の大きさ。
生息する動物や魔物がどこにいるかはだいたい分かる草原だった。
道はおそらく何人もの人が歩いているうちに踏み固められて出来たモノだろう。
所々細々とした草が生えている場所もある。
その道から少しずれただけで草が生い茂っているのだ。
空には鳥が飛び交い、時折空中戦を繰り広げている。
口に咥えた獲物はネズミか何かだろうか。
カラスのように黒い鳥が必死に鷹のような鳥から逃げ惑っている。
草原では犬型の生物がうろつき回り、それを回避するように額に丸鋸のようなモノを付けた兎が飛び跳ねている。
草の間にはなにやらぷるぷるしている軟体生物が数匹。おそらくスライムだ。
色が緑なのでなかなか見つけづらい。保護色だろうか?
草原の向こうには森があり、犬人間や緑色の小人が現れてはスライムや兎を狩って森へと消えていく。
どうやら道さえ外れなければターゲッティングはされないようだ。
いや、むしろ隠密のスキルが発動しているせいだろう。
なんにせよ急ぐ道中に魔物と戦闘がなくて良かった。
変身すべきか迷った俺だったが、万一姿を見られることを考えて生身で走ることにした。
姿を見られて新種の魔物とかにされて討伐隊組まれても困るしな。
しばらく走っていると、前方に女の子が歩いているのが見えた。
この世界には珍しく、おかっぱの黒髪に、和服姿の少女。
素足には草履を履き、手には水風船を持っている。
なんだか楽しそうに歩いている。
時折ぱしーんぱしーんと水風船で遊んでいる姿はなんとも微笑ましく見える。
よかった。変身していたら泣かせてしまうところだった。
俺は駆け抜けるように少女の横を通過する。
が、一瞬見えた少女の顔に、思わず二度見。足まで止めてしまった。
少女の顔には、大きな目玉がたった一つ。口と鼻こそ付いているものの、それより上はたった一つの巨大な瞳に占領されていた。
思わず立ち止まったせいで、少女もこちらを認識する。
―― 一つ目小娘が現れた! ――
少女は……魔物だった。




