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作戦会議(真)

 御影、綾嶺、八神の三人がやってくるまで一日以上かかった。

 山根が来てくれたおかげで部屋に居る間河上から問い詰められる事はなかったけれど、あいつが土壇場で俺に斬りかかってこないかがちょっと不安である。


 向うは敵が手ぐすね引いて待っているだろう本拠地だ。

 最悪、俺も皆の前で変身せざるを得ない。

 その覚悟をするのに、この一日は非常にありがたかった。


 御影たちが合流したので、改めて今回の作戦を詰めるため、俺たちは作戦会議室に舞い戻った。

 もはや定例になってしまった作戦会議室で、俺たちは最後の詰めに入っていた。


「俺が覚えている限り、教室に居た戦闘員の数は前に六体、逆もそれ位だったはずだ」


 新たに加わった御影は、少し影のある男だった。

 洞察力というか観察眼がいいのか、俺は後ろの奴らは見てなかったな。


 でも、それなら、最初に倒した戦闘員、次の三体、大井手が倒した一人と最後にやってきた二体を合わせ七体を倒している。

 残りは五体前後という事になる。


 蛇男が加わると超人が六体いるわけだ。

 それに加えてパラステアの兵士がいる。

 俺の作戦を行うには圧倒的に戦える奴が少ない。


 今は一人でも強い奴が欲しい所だが、最悪でもネリウが魔法を唱えるまでネリウを守れれば元の世界に戻れるはずなのだ。

 俺たちの計画を知った御影は、少し黙考していたが、


「いいだろう。俺も徒歩組で手伝おう。緊急事態だしな」


 こいつだけはなぜかスポーツバッグを持ってたんだよな。

 あの非常時によくこっちに持ってきたものだと、ここで会った瞬間思ったものだが、御影は椅子の下に置いていたそのバッグをテーブルに置き、中のものを取り出す。


「ちょ、なんだよソレ?」


 中に入っていたのは黒い鉄の塊。

 幾つかのパーツに別れたそれを組み立て始める。

 数十秒と掛からなかった。


「戦闘員がどれほどかは知らんが、俺も一応戦闘要員だ。任せろ」


 鉄の塊が巨大な銃へと作りかえられていく。


「俺も元の世界へ戻りたい。この作戦に協力しよう」


 スナイパーライフルと化した武具を俺に向け、御影は不敵な笑みを作った。

 一応弾は入っていないが銃口を向けられるのは生きた心地がしない。


「お前って……一体?」


「国家機密で余り言いたくないが、お前たちなら問題はないだろう。日本軍特殊兵装暗殺部隊コード003。非常時だしな、協力するさ」


 また一人、普通じゃないヤツが判明した瞬間だった。

 何人いるんだ、俺のクラス?

 というか、国家機密言ってしまっていいのか?

 そういう質問を河上がすると、御影はニヤリと薄く微笑む。


「なに、なりふり構わなくなった国にもみ消されるだけだ。人外の強さだといえ、所詮、一学生だろう」


 つまり、下手に言いふらせば暗殺も辞さないということだろう。

 平和な日本にそんな物騒な部隊があったとはびっくりだ。

 まぁ、秘密結社があるんだし、国が秘密組織持ってても不思議はないわな。


 ……ふと思ったんだけど、前に首領が国と結託して何か新組織造ったとか聞いた気がする。

 ……いや、まさかな。


 綾嶺と八神の女性メンバーは自称一般人らしいので、この際説明は省かせてもらう。

 けど、もし仮に隠れた大魔王とか未来から来たアンドロイドとか言われても俺は驚かないぞ。


「じゃ、作戦を確認するわ」


 ネリウの言葉に全員が頷く。


「作戦は簡単、移動組と隠密組に分かれて行動するわ。万一を考え男性陣を移動組。薬藻、河上君、御影君、山根君と……」


 そこで詰まったのは男性陣が四人しかいなかったからである。

 どうしようかと困った顔のネリウが俺に助けを求める視線を送ってきたが、無視しておいた。

 そこで俺を見るな。憎まれ役など買ってやるものか。


「あたしが行く。マッキーは魔法で姿隠すんだろ。ネリウは魔法使うために相手に気付かれない方がいい。他の三人は戦闘素人だろ」


 すると、手塚が立候補してきた。


「然りです」


 伊吹がお茶をすすりながら答えると、綾嶺と八神も頷いた。


「一応、戦ったことはあるしな。あたしが移動組に加わる」


 意義など認めないと全員を見回す手塚。

 なぜか俺と視線が合うと顔を赤らめながら視線を逸らされた。

 俺、手塚とこれからどう接すればいいんだろ。なんかこっちまで恥ずかしくなってくる。


「作戦内容は簡単、パラステアに向ってクラスメイトたちと合流した後、私の魔法で世界転移を行うわ。蛇男をこの世界に残したままになるけど、それは後でどうにでもなるわ」


 と、なぜか意味ありげに俺を見る。

 あんた。俺に何をさせる気だ。

 蛇男倒せとか言わないよな。……ああ、言う気だねその眼は。


「この作戦に当り、隠密組は大井手さん、いえ、魔法少女グラビィマッキーの防壁で姿を隠して移動組と行動するわ」


 ここで大井手から魔法少女とか言わないで~っと茶々が入るがネリウは気になどしなかった。


「隠密組はクラスメイトと合流すればその場で私が魔法を唱え終えるまで待機。魔法詠唱後は周囲のクラスメイトを私になるべく近づけて。もし仮に、別々の場所に監禁されていた場合は透明化したままクラスメイトたちを助けだすわ。あと、拷問されていた場合だけど。移動組は即座に殲滅戦に切り替えて。クラスメイトの犠牲とかは気にせずに相手を倒すのを優先。どうせまければ拷問されて皆殺しだし、それなら自分たちだけでも生き残るべきでしょ。この場合隠密組は逃げ道の確保。また、移動組が捕まった場合はこれを助ける、無理なら私達だけで地球に逃げる。何か反論は?」


 最後のルートは一番最悪のパターンを想定した時、一人でも多く無事に生き残らせるためのものだ。

 俺たちは殺される可能性が高いが、ネリウと大井手が生き残るだけでも蛇男を倒し生存者を救出するメドは立つだろう。

 向こうの世界の正義の味方を数人連れて来てヒーロー無双が行われるわけだ。


 もちろん、そういう事態に陥ることだけは絶対に避ける。

 大井手と約束したしな。全員で戻るって。

 さぁ、行くかパラステア。

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