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西方防衛戦2

 戦場に咆哮が響く。

 無数の魔物たちが互いに攻撃しその肉体を惜しげもなくぶつけ合っている。

 敵の戦力はそれなりに強いが、こちらはラスボスダンジョンに出現する魔物軍団だ。

 地力が違うので、例え千体程度しかおらずとも、二万程の軍勢に太刀打ちできるのである。


 俺は邪魔にならないように城門前で腕を組んで見学。

 いや、下手に加担すると不幸にも敗戦するからさ。とりあえずどっちつかずを貫こうと思うんだ。

 何せ俺の不幸は筋金入りだ。


 別の異世界に飛ばされた時も破れかぶれの防衛戦をしている最中の王国だったし、不幸にも召喚直後に国王が討たれて敗戦が確定したし、王女連れて逃げれば周囲の従者が次々死んでいくし。

 んで、不幸にも俺の目の前で王女まで討たれそうになるし。


 一瞬早く俺が王女を庇ってああ、やっと楽になれる。と思った事で不幸にも相手が自爆して死んで、ヤンデレ風味の王女に惚れられたし。

 いや、アレは不幸なのか幸運なのかわからんかったわ。王女めちゃ可愛いの。


 でも極度のヤンデレ患っていたせいで女性ばかりか男性と話すだけでも剣を引き抜き俺を殺そうとすんだもん。中身残念過ぎ。これに惚れられるとか不幸だろ?

 厳ついオッサンと話しただけで、俺を引き倒し、馬乗りになって剣を頭上に掲げ、「私以外を愛するというのなら、あなたを殺して私も死にますわ」とか、無理無理。愛が重すぎる。なんでオッサンと恋仲にならないといけないんだよ。お前の脳内どうなってんの!?

 男と話す時くらいは嫉妬するなと言わせてくれ。


 いや、でも……やっぱり一夜くらいは……致したかったですな。マジ可愛いんだこの王女。ヤンデレ属性ひっくるめても彼女にしたいくらいには。

 まぁ、結局そうなる前夜に異世界から帰還してしまった訳だが。

 つまり、何が言いたいかというと、不幸は俺の想いと裏腹の結果を絶えず持ってくるっつー訳だ。




 今回、西門から外へ向って駆けている魔物はおそらく王国の切り札的な存在だろう。

 ならば彼らの勝利を願いたいところだが、俺が参戦したり勝利を願うとそちら側が敗北するという不幸がやってくる。

 そうなるとこの国が蹂躙されてクラスメイトたちも敗北するのだろう。

 それは避けたい。ああ、これは思ってないから。幸福とは思ってないよ。


 というわけで、俺は傍観者に徹するのだ。

 勝敗については期待はせず、むしろ負けてしまえとすら思う。

 本心から思わないと結局不幸がやってくる訳だが、長年の経験で俺は本心を偽る術を身に付けている。

 きっと王国の魔物軍団の方が勝って……いや負けてくれるだろう。


 そうだ、魔王軍勝て! 蹂躙しろ! 一息に城を吹き飛ばせ!! 魔王マジ最高ヒャッハー。

 なんて思いながら戦場となった西門前を見る。

 魔物と魔物の乱戦になっているが、王国軍側の魔物の方がガタイがいいので活躍している姿が良く見える。


 一方、人型サイズの魔王軍西門奇襲部隊は、ゴブリンやらオークなどが散見される。

 時折木の化け物エンテやら、蛇の化け物が見えるが、どれも人と変わらない大きさで、二、三倍はあるオルトロスなどの王国軍魔物兵と比べると大人と子供くらいの差があった。


 こりゃあ、余り考えたくないが魔王軍負けちまうんじゃ……いや、でも数は暴力だ。

 1000対20000だし十分勝てる。

 よし、行け! 勝っちまえ!


 と、応援した時だった。

 突然、ミノタウロスの一匹が石化した。

 悲鳴を上げて徐々に石化していくミノタウロスに、周囲の魔獣たちが驚いた顔をする。


 そして、彼が敵対していた相手が魔物たちの合間から姿を現す。

 コカトリス。

 ソレがそいつの名前だった。最初の異世界で見た奴に似ている。

 鶏のような姿をし、蛇のような尻尾を持つ雄鶏。


 コカトリスは石化能力を持ち、毒の吐息を吐くという。

 ただし、ヘンルーダという植物には毒が効かないらしい。

 そんな植物見た事も無いので、実力で倒すしかないだろう。

 いや、まぁ別の魔物という可能性もあるけど、たぶんコカトリスで合ってるはずだ。


 コカトリスはオルトロスに向うと、威嚇の為かコケーッと鳴いた。

 オルトロスも負けじと吠え猛り、コカトリスを視界に収める。

 刹那、オルトロスが石化した。


 おおいっ!? そりゃないぜオルトロスさんよォ。

 石化するってわかってるだろ!? 何やってんの!?

 ああくっそ、これ、もしかして俺の不幸発動してる? してるよな。畜生!

 無意識にも王国軍の勝ちとか、勝ってくれとか思っちまったらしい。


 俺は頭を掻きむしり、仕方ないと参戦する決意を固めた。

 俺が参加すれば負ける。それは確定している。

 でも、俺は、そんな俺の不幸力に賭けてやる!

 さぁ、勝つぞ倒すぞ闘うぞ、覚悟しろ王国軍!


 俺は急いで戦線へと向かう。

 走っている最中に気付いた。俺、武器何も持ってないじゃん? 今さら気付くとか、不幸だ!?

 慌てて急停止、その瞬間、後ろから襲いかかるミノタウロスの剛腕。

 って、俺、味方――――っ!! いや確かに敵対する気だけど、まだ攻撃も何もしてないしっ。


 思いっきりフルスイングされた拳にぶち当たり、弾丸のように戦場へと突っ込む哀れな男。そう、俺だよっ。

 ゴブリンの頭に頭突きを決めて、空中で縦回転。

 さらに真下へ振り下ろす形で落ち始めた頭にオークの兜が……


「がぁっ!?」


 鋼鉄の兜に頭からぶつけて一瞬、火花が散った。

 痛ってぇ……頭がぐわんぐわんしてる。

 しかも兜に当ったせいで後頭部を地面におもきし打ち付けた。こちらも痛い。

 額をさすりながら起き上がると、目の前には仰け反った状態のオーク。手には斧を振り被っており、体勢を整えると同時に俺に向い降り降ろす。


 だが、残念かな。

 このオークは、すでに俺に触れている。

 そう、不幸な俺に、触れてしまっている・・・・・・・・・


 そして、不幸なオークは、不幸にも、俺の背後にいるソレを見てしまった。

 俺を攻撃するために振り返った、コカトリスを。

 頭上に斧を掲げたまま、顔から石へと変化する。


 ああ、羨ましいくらいに幸運だ。痛みや苦しみを知ることなく死ねるんだからな。

 焦るオークだが、既に口は石化してしまい声が出ない。

 やがて、殆ど時間を置かずにオークは全身石像へと変化した。


 さぁて壊そうか。と思った俺の肩に、鋭い何かが触れる。

 ノックするように二度、まるでこっちを振り向けと言っているようだ。

 誰だ? とついつい不幸にも俺は振り向く。


 いや、違うな。半ば予想してたけど、ああ、俺もついに死ぬんだろうか? 石化して石像として一生を終えるのだろうか? なんて思いながら振り向くのだ。

 痛みも苦しみもないのなら、いっそこのまま……

 俺は、むしろ今度こそ楽に死ねるかもしれないと期待しながら死亡フラグに沿って後ろのそいつに振り向いていた。

人物紹介(仮)


 三神みかみ 照之てるゆき

   超不幸・英雄の卵


 部隊構成(仮)


  魔王軍

   第一部隊 機動部隊(魔獣のみの構成)約2万 壊滅

   第二部隊 騎馬部隊(魔獣に騎乗した魔族)約2万 壊滅

   第三部隊 歩兵部隊(魔族のみの構成)約4万 残り約6千

   第六部隊 巨人部隊 約84体

   第八部隊 南方奇襲部隊 約6千

   第九部隊 西方奇襲部隊 約2万

   第十部隊 東方奇襲部隊 約2万5千

   第四部隊 重歩兵部隊(高ランク魔族のみ)約1万 残り約98体

   第五部隊 巨大獣部隊(攻城用・魔獣魔族混合) 約2千6百体

   第七部隊 精鋭兵・魔王 約百名


  フルテガント王国軍


   第一部隊(王国軍冒険者人猫族混合) 約5千名

   第二部隊(勇者王国近衛兵暗部精鋭兵等)約9百名

   魔法部隊(王国軍冒険者エルフ族混合) 約7百名

   負傷者               約2千名

   死者                約3千名

   完全死               549名

   医療部隊(王国軍冒険者妖精族混合) 約5百名

   南方防衛部隊(魔法・医療部隊混合) 約5百名

   遊撃部隊テイムモンスター25名

   竜部隊(赤龍王と黒竜は含まず)13名

   伏兵部隊・西            970名

   伏兵部隊・東           1001名


 魔王軍戦経過報告(仮)


 ・大井手真希巴、ヌェルティス、増渕菜七による広範囲魔法での先制攻撃。


 ・三人の退却後、魔王軍機動部隊(獣部隊)を罠に嵌める。


 ・魔法部隊による追い打ち。


 ・機動部隊壊滅。


 ・龍華出陣。敵軍中央(重歩兵部隊)にて無双開始。


 ・機動部隊の後詰、騎馬部隊と第一部隊が激突。


 ・騎馬とさらに後詰の歩兵部隊が合流。


 ・綾嶺の自業自得な危機で超幸運効果発動により大井手が助っ人に入る。


 ・重圧魔法が無くなり騎馬部隊が本格的な行動を開始。


 ・大井手が持ち場に戻り魔法再開。


 ・騎馬部隊と歩兵部隊の一部が左右の森へと侵入。遊撃部隊が迎撃。


 ・巨人部隊最前線に出現。


 ・巨人部隊一つ目兄貴たちによる一斉射。


 ・増渕により一斉射の防衛成功。体力が尽き増渕死亡(仮死)。


 ・巨人族対巨大宇宙人&竜族


 ・南方防衛戦


 ・西東より新たな奇襲部隊出現


 ・伏兵出現


 ・西方防衛戦


   ↑いまココ


 ・東方防衛戦

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