第2話 死のスイングアウト
「グランドエリアか、あれから一年も行ってないな」
高速大型エレベータによって徐々にグランドエリアが薄っすらと姿を現す。
高速といってもまだまだ時間がかかるためコーヒーサーバーで無糖のブラックコーヒーを片手にソファーに座る。
それにしても、とリーシュ思う。
あの王でルシアン国が成り立っているとはとても考えられない。
奴の命令に反したことを口にしたり、行動に移せばその場で死刑になるし、性格も悪い。
城のランク制度が導入されてからは上の立場のものが下の立場のものに命令したりと酷いありさまだった。
特に皮肉眼鏡は同期の俺にさえいろいろと言ってきやがる。あーあまたあいつに会うのか……いや、あいつじゃなくても城の中じゃ俺はアウェイ状態。みんなの目線が嫌というほど突き刺さる、ただ一人を除いて、ん? 二人か、あー三人ほどいたかもしれないが……
とりあえずシャワーを浴び、サッパリしたところで城専用の制服に着替え愛銃ベレアをホルスターに入れる。
エレベータのドアが開くと眩しい光が出迎える。
いやはや久しぶりにまともに日差しを浴びた気がした。どうもダウンフォールの光は日光浴なんていう気分にはならない。それに暖かさもないからダウンフォールの気温も基本的に低い、夜になると暖炉の大切さが身に沁みる。