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紫電の剣士  作者: 鷹峰悠月&若臣シュウ
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一、反逆者(5)

 髪を剣で斬りおとしたクリスは、しかし刀身を鞘に収めるでもなく、ただ一点を注視する。

 つ、と視線を青い暗殺者へ投げかければ、相手も首肯を返し、ナイフを幾つかその方角に投げつけた。

 ひゅひゅんっ!!

どさどさ、と何かが木から落ちる音が立て続けに耳に届き、

「かくれんぼなら、もう少し上手にやるんだな」

 けっとつまらなそうに吐き捨てる暗殺者。

「……フォーレーン正規軍か」

 無感動にそれを見下ろし、クリスは言葉をおとす。

 落ち葉のベッドの上に沈んでいたのは、つい数秒まで人間であったものだった。

 彼等が手にした弓には、フォーレーン王国の紋章が刻まれている。

 正規軍でこの体たらくでは、フォーレーン王国の兵力は如何ばかりだろう。それは、副隊長として部隊を率いていたクリスには痛い程理解できた。

「まあ。そういうこったな」

「もしこんな時に、他国に攻め入られでもしたら――、」

 思わず何かを口にしようとして、やめる。

「これから向かうのも、パニッシャーの主な活動範囲も……軍事大国ノルン、だったな」

 きょろきょろと周囲を見回しながら、他に敵が潜んでいないことを確認するクリス。幾つか足跡が残っていることから、引き揚げたのだろうと推測できた。

「……いや、物音がする。まだ何かいやがるな」

 遠くを睨め据え、ずかずかと進んでいく青い髪。クリスもその後ろに続いた。

 鬱蒼とした森を、足音を気配を殺し、進んでいく。暫く歩き続けるが、伏兵と思われる気配は見当たらない。

 徐々に木々の間隔が広くなっていき、やがて、不意につんと目をつくような感覚に見舞われる。

 森の出口だった。

「夜明け――、か」

 東の方角から淡い光が差し込んでいる。暗い森を歩いていたため、差し込んだ夜明けの光がとても眩しかったのだ。

「……馬?」

「聞こえた足音は……こいつか」

 木に繋がれた馬が数頭。恐らく、先程の兵がこの森までの足としていたのだろう。

 ここからは森林地帯を外れる為、二人はその馬を拝借し、目的地へ急ぐことにした。

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