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紫電の剣士  作者: 鷹峰悠月&若臣シュウ
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プロローグ3

 最初に動いたのはクリスだった。

 高く跳躍し、敵の懐へと飛び込む。

 魔法士が詠唱を始めるより早く、その鳩尾へ刀身を叩きつける。

 身体を一刀両断するかと思われた刹那、彼女は刃を反転させた。 

 ぐ、と苦しげな声が漏れる。刃が引かれる瞬間、魔法士がローブに括り付けていた晶石入り護符の紐がぷつり、解けた。

 先ずは、ひとり。

「な、……くそっ」

 飛び掛ったのは大柄な傭兵。振り下ろされたバスタードソードは虚空を斬り、何処だ、と男は周囲を見渡す。

 しかし、姿は見つからず。返事代わりに背中へ跳んできた蹴りに体勢を崩し、生まれた隙を衝いてクリスは相手の脚へ剣線を閃かせ、腱を断つ。

 すとん、と。再び間合いをひろげ、クリスは上段の構えをとった。

 風のように身軽で、無駄のない動き。

 一瞬、何が起こったのか理解できた者はいなかっただろう。

 何事もなかったかのように、紫色のマント姿はそこに佇んでいた。銀糸の髪がふわり、風に舞う。

「な。……何をしている、貴様等!

 かかれ、かかれぇッ!」

 呆然と立ち竦んでいた傭兵部隊と指揮官だったが、はっと我に還り、裏返った声で号令する。

 頭数など、問題ではなかった。

 一斉に襲い掛かる傭兵達。ラグナはざっと剣を抜き、正面のひとりを薙ぎ払う。後ろから斬りつけてきたもうひとりは、剣の峰を当て軌道を逸らした。すかさず肘を背中に叩きつけ、次には斬り捨てていた。

「おい、確か指揮官のラグナは盲目ではなかったのか!?」

 ざわめく敵兵。そんな声など耳に入らないというように、漆黒のマントは敵将へ突っ込んでいく。

 魔法を放とうとした後方の敵将は、狙撃兵が弓で牽制した。

 そうして。

 人数比が逆転するまでに――時間は半刻とかからなかった。

 いつしか黒い土を隠すよう、或いは意識を失い、或いは腱を断たれ身動きがとれなくなった傭兵の身体がうずたかく積み上げられていく。

「金貨何枚を貰ったのかは知らないが――

 仕事は選んだ方がいい」

 どさり。

 またひとり、崩れ落ちた傭兵達を見下ろして。

 ラグナは――抑揚のない声で、そう呟いた。

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