表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紫電の剣士  作者: 鷹峰悠月&若臣シュウ
1/34

プロローグ1

『クロスブレイド 鳳雛の皇』(N6168B)の続編ですが、未読でも問題なくご覧いただけます。


 任務そのものは、非常に単純なものだった。

 王都から遠く離れた辺境、マグス砦の偵察。

 軍事大国ノルン配下の小国が攻撃準備を行っている――そんな情報が入ってきたからだ。

 命を受けたのは『漆黒の聖騎士』とも称されたラグナ=フレイシスと、『紫電の剣士』クラリス=トラスフォードの両名。

 二人は小規模の部隊を与えられ、ここに赴いていた。

「ふむ。特に、不穏な空気はないんだがな……」

 顎に手を宛い、思案顔で首を捻るラグナ。

「ラグナ。今戻った」

 聞きなれた声に、返事代わりに漆黒のマントがばさりとないた。

 『隊長』ではなく『ラグナ』と呼び捨てにする人間は、この部隊にはひとりしかいない。

「様子はどうだ?クリス」

「近隣の村も立ち寄ってみたが、別段おかしな点はなかったな。

 やはり、誤情報かも知れない」

 肩を竦めたのは細身の若者――彼の相棒である、副隊長クリスだった。

 それから相手を眺め、じと、と半眼で睨む。

「しかし、いつも思うんだけど……

 ……暑くないのか?」

 髪や瞳は先天性のものとして、真夏だというのに黒のマントで身を包んだ青年。

 見てるこっちが暑い、と、クリスは顔をしかめた。

「そうか?お前は村まで足を運んだから汗をかいたんだろう」

 ――果たしてそういう問題だろうか。

「…………。まあいいか。

 埃もひどいし、そこの泉で水浴びでもしてくるよ」

「ああ、気をつけ――」

 って。

 ――……水浴び?

 思わず硬直するラグナに、クリスは不思議そうに首を傾げた。

「?ラグナもくるのか?」

「い、行くか馬鹿ッッ!!」

 思わず声を荒げるラグナ。

「そんな怒らなくても。

 どうせ、目は見えないのだし。問題ないだろ」

 ――問題なくない、問題なくない。

 ラグナは心底、頭を抱えた。紅潮した顔を見られたくなかったのもあるが。

 確かにクリスの言う通り、ある時期からラグナは視力を失っている。

 だからといって。

「クリス、お前な……

 少しは女としての自覚を持たないと、そのうち後悔することになるぞ」

「え?何か言ったか?」

「いや、いい……なんでもない」

 男のように振る舞い、男装をして、本人は自分を男のように認識しているきらいはあったけれど。

 その銀を梳いたような髪や紫水晶の双眸、透き通る凛とした声は、人の心を掴んで話さない何かを秘めていた。

 若い騎士の間でも、彼女――クリスに憧れる者は少なくないというのに。

 どよめき立つ部下の兵士たちに、ぎろりとひと睨みくれて。

 ラグナは心から、深い溜息をついたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓ランキング参加中 気に入ったらぽちっとお願いします
アルファポリス(週1回)
NEWVEL
長編小説検索Wandering Network

ブログもだらだら更新中!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ