9話 今日は僕の3歳の誕生日
「お願いだから、今日は途中で変身しないでね。とは言っても、こればかりはルーパートが、どうにかできるものでもないのよねぇ。変身はまだしも、もし変身してしまったら、途中で退場することになってしまうわ」
「奥様のご指示通り、準備は整っております」
「ママ、ぼくあさ、へんしんしてなかった!!」
「そうね。それは本当に助かったわ。でも今日は、なるべく魔獣さんのことは考えないでね」
「奥様、いかがでしょうか?」
「……問題ないわね。この間の試着の時よりも良い感じだわ」
「母さん、ルーパートの準備できた?」
「何ですか、きちんとノックをしなさい」
「まったくだ。お前は最低限のマナーも守れないのか」
「何だよ、こんなおめでたい日にまで俺に文句かよ」
「お前が当たり前のことをしないからだろう」
「ドアの前で揉めていないで、入るなら入りなさい!」
喧嘩をしながら、お兄ちゃん達が僕のお部屋に入ってきます。
「おお、ルーパート! 凄く可愛いじゃないか!! まるで絵の中から飛び出してきたみたいだぞ。よし、今度俺がルーパートの絵を描いてやろう!!」
「……何だ? ここには神の子がいるのか? なるほど、私は神の子に使える者なのだな」
「レオアンハルトは、何バカなこと言ってるの。まぁ、確かに可愛いは否定しないけれど。それにエリオット、あなたは絵を描いてはいけないわよ。あなたが描いたら、可愛いルーパートが、まったく違う得体の知れない物になってしまうのだから」
「え~、俺、絵には自信があるんだけどな」
「私としたことが……。コホンッ。ルーパート、3歳のお誕生日おめでとう」
「おう、おめでとう!! ルーパートもいよいよ3歳か」
「さぁ、おめでとうって言ってもらえたら、なんて言うのかしら?」
「ありがちょ、ごさいましゅ!!」
「後でプレゼントがあるからな、楽しみにしてろよ!!」
「私からも、エリオットよりも素晴らしいプレゼントを用意しているからな」
「ふわわ、ありがちょ!!
「おい! 兄さんよより俺の方が……」
「あなた達、それ以上やるなら、今日のパーティーには出させないわよ」
僕、今日3歳になりました!! これから僕のお誕生日パーティーがあるんだよ。いつも誕生日は、いっぱい人が集まるの。僕、初めての時、とってもビックリしちゃいました。僕だけじゃないよ。パパもママもお兄ちゃん達の誕生日も、いっぱい人が集まるんだ。
これからそのパーティーなの。あっ、でもいっぱいの人の誕生日パーティーの後に、僕達家族だけの誕生日パーティーもあるんだ。僕はそっちの方が楽しみ。
それから今日は、パパとママのお父さんとお母さんが来てくれてます。僕のお爺ちゃんとお婆ちゃんね。
パパのお爺ちゃんがザガリード・クラウゼル、お婆ちゃんがリディア・クラウゼル。ママのお爺ちゃんがレオポルド・グランチェスター、お婆ちゃんがカトリーヌ・グレンチェスターだよ。
誕誰のお誕生日の時にも、お爺ちゃんとお婆ちゃん達がきてくれるから。僕、みんなのお誕生日が大好きなんだ。
コンコンッ。お兄ちゃん達に今日のお洋服を見せていたら、ドアがノックされました。
「奥様、そろそろお時間です」
「分かったわ。さぁ、それじゃあ会場に行きましょう」
「うん!!」