60話 着いた場所には魔獣さんと妖精さん?
「まだですよ。まだ目を開けてはダメです」
「あい!!」
ママとお約束、僕はコンラッドの言う事を聞いて、ずっと目をつぶっているよ。
僕とモック達とコンラッド。みんなを包んだ白い光はまだ消えていなくて、真っ白しか見えないってコンラッドが教えてくれます。
僕達どこに行くのかなぁ? 怖い所に行くのかな? それに行った場所には、怖い人達や魔獣さんがいる? それはやだなぁ。
黒色の透明の光みたいに、気持ち悪いじゃなくて、気持ちの良い感じがした白っぽい光。僕達を包んだ白い光からもそれを感じるんだ。だから怖いのはないと思うんだけど。
「はっ!? あれは?」
どのくらい目をつぶっていたかな? コンラッドが少し動いて、それから何かが見えたみたい。
「こんらっど? なにかみえる?」
「はい。強く光る何かが見えます。その光に私達は向かっているようです。これは……。ルーパート様、良いですか、絶対に目を開けず、しっかり掴まっていてください!!」
「あい!!」
僕はギュッとコンラッドにしがみついたよ。そして。
『今から光に入ります!!』
わわ!! 目をつぶっているけど、それでも眩しい!? わわわ!! 僕は少しでも眩しくないように下を向いたよ。そして……。
……もう大丈夫? 眩しくならない? とっても眩しかったのはすぐに終わって、僕はちょっとだけ顔を上げてみました。うん、今は大丈夫そう。でもまだ目を開けないよ。だってコンラッドが開けて良いって言ってないもん。
と、その時でした。いきなり僕達の周りから、鳴き声が聞こえたんだ。キュキュイ、ブーブー、ガウアウ、ガーガー。いろいろな魔獣さんの鳴き声だよ。何で魔獣さんの鳴き声?
「コンラッド、まじゅさんのなきごえ」
「……」
あれ? コンラッドどうしたの? コンラッドに話しかけたのに、コンラッドは何もお話ししてくれないの。その間もずっと魔獣さんの声が聞こえているよ。
「コンラッド、まじゅさんのなきごえ、まわりにまじゅさん?」
もう1度聞いた僕。そうしたらコンラッドは何も言ってくれないのに、モック達の誰かが、僕の体を1回パシッと叩きました。モック達はもう目を開けてるみたい。それにやっぱり周りに魔獣さんがいるって。
もう、コンラッド、どうしたの? 僕もう目を開けても良い? 僕は大きな声でもう1回、コンラッドを呼んだよ。
「コンラッド!! まじゅさん!! こえきこえる!! まじゅさんいる!?」
「え、あっ……、は、はい! 今私達の周りに、たくさんの魔獣達と妖精がいます」
妖精さん!? 絵本に出てくる可愛い妖精さん!?
「こんらっど、め、あけてい?」
「はい。ですが絶対に離れないようお願いします」
僕はそっと目を開けて、周りを見ようとします。でもずっと目をつぶっていたから、しょぼしょぼしていて、目を擦ってもう1度見てみたよ。
そうしたらモック達とコンラッドの言う通りでした。僕達の周りにはいっぱいの魔獣さんと。僕の手と同じくらいの、小さな小さな、たぶん妖精さん達が飛んでいたんだ。
それからみんなが僕達を見ていて、だけど唸ってきたり、攻撃してこうとしないで、とっても驚いた顔をしていました。




