59話 引っ張られる僕達、パパ達とお約束
「ルーパート!!」
ママが白っぽい光の中に入ろうとします。でもバシッ!! って音がして入れなかったよ。白っぽい中にいる人はどんどんお外に出られるのに、向こうからは硬い壁みたいに、ぜんぜん入れないの。
「ルーパート!!」
今度はパパとお兄ちゃん達が、白っぽい光を攻撃します。でも全部の攻撃がバシッ!! って、やっぱり弾かれちゃって、中に入れません。その間にどんどん、引っ張られる僕達。
「コンラッド!! そっちから出られるか!?」
「体が向こうへ引っ張られてしまって、近づくことができません!!」
「チッ!! みんな一瞬離れろ!!」
パパ達がサッと白っぽい光から離れると、パパ達の後ろに王様がいて、王様が大きな剣を手に持って攻撃します。でも、それでもダメだったよ。
「何だこの結界は!?」
「アルベリク!! 同時に攻撃するぞ!! お前の剣に俺の魔法を合わせる!!」
「分かった!!」
今度はパパと王様が一緒に攻撃したよ。パパがね火の魔法を使って、その火の魔法が、王様の剣に巻き付いたんだ。そしてそのまま王様が白っぽい光を攻撃。攻撃した瞬間、ブワッ!! と土煙が上がって、みんなが見えなくなりました。これならきっと……。
と、思ったけどダメでした。縮むのは止まらないし、割れないし、僕達は引っ張られるし。ぜんぜん変わりません。
「私達が!!」
まだ白っぽい光の中にいた使用人さんとメイドさん達が、僕達をみんなで止めてくれようとして、それから前に押してくれたよ。でもね。
「そんな!!」
「どうして!?」
さっきまではただ外に出ていたのに、使用人さんとメイドさん達の体が浮いて、ぽ~んっと外に投げ出されるようになっちゃったの。
どうして僕達はお外に出られないの? このまま引っ張られちゃったら、塀にぶつかっちゃうよ?
「パパ!! ママ!! おにいちゃ!!」
「ルーパート!! ルーパート!! あなた! どうにかできない!?」
「分かっている、今どうにかする!!」
パパと王様、ママにお兄ちゃん達が、白っぽい光に連続で攻撃をします。あっ!! ほら、お家を囲んでる塀が見えてきちゃった!! 僕達塀にぶつかっちゃうよ!!
と、その時でした。僕とモック達、それからコンラッドを白っぽい光とは別の白い光が、包み始めたんだよ。
「ルーパート!!」
「!? ヴィクトルまずいぞ!! あれは力のある者が使える、相手を移動させる魔法だ!!」
「分かっている!! くそっ!!」
「パパ……、ママ……、おにいちゃ……」
「ルーパート様、私にしっかりと掴まっていてください。モック達も私とルーパート様の間にいて、しっかりと潜り掴まっていろ」
『チュッ!!』
『チュチュッ!!』
『キュイッ!!』
『キュイキュイッ!!』
「コンラッド!! おそらく連れて行かれるのはあの山だ。私達はすぐに向かい、結界を消すか、結界の中に入り探しに行く。必ずその方法を見つける。それまでルーパートのことを頼むぞ!!」
「はっ!! 命にかけてお守りします!!」
「ルーパート!!」
「パパ、ママ、おにいちゃ!!」
どんどん周りが白くなって、パパ達が見えなくなっていくよ。僕はコンラッドにしっかりと抱きつきました。
「ルーパート、必ずパパとママが迎えに行くから、コンラッドの言うことをよく聞いて待っていて!!」
「すぐに迎えにくい!!」
「必ず行くからな!!」
「ルーパート、必ずだ。必ず迎えに行く。約束だ。父は約束を破ったことはないだろう?」
「うん!! ぼく、まってる!! おやくそく!!」
僕がそう言ったら、完璧にパパ達が見えなくなって、パパ達の声も聞こえなくなっちゃいました。




