56話 その時の僕達(木の精霊 フルール視点)2
僕は結界を張ると、その結界の中に入った生き物の気配を、知ることができるんだけど。その中に、とっても澄んでる気配を見つけたんだ。
誰の気配? 何でこんな、とっても澄んでいる気配がするの? おかしいよ。だってこんなに澄んでいる気配は、僕達の父様しかいないはず……。
僕の勘違い? 僕は思わず結界を縮めないで、気配を確認し直しちゃったよ。でも何度も確認しても、父様と同じ澄んだ気配のままで。
『フルール!! 何してる!! 早くしろ!!』
と、サンダーウルフの声に、現実に引き戻された僕。わわっ!? 早くしなくちゃ。でも…‥。
あっ!! もしかしたら僕達の仲間が人間達の街にいるのかも!! 今の黒い透明な光の爆発、きっと人間の街の方まで行ってるよね? そこにいたら危ないかも!! 黒い透明な光の縄で捕まえられちゃう?
なら、僕達の結界の中にいた方が安全だよ。ちょっと問題の場所には近づいちゃうけどさ。人間達もきっと結界を張るはず。でも僕達の結界の方が丈夫だし安全だよ!!
よし結界を縮めながら、あの気配の誰かも、こっちに引っ張ってこよう。それで父様の気配に似ている誰かを守らなくちゃ!!
『フルール!!』
もう1度名前を呼ばれて、僕は急いで澄んだ気配のする誰かを、こっちに引っ張りながら、結界を縮めていったよ。あれ? 澄んだ気配の誰かに、他の気配がくっ付いたから、一緒に引っ張っちゃった。
まぁ、良いか。澄んだ気配の誰かの側にいるんだから、問題がある誰か達じゃないはず。一緒に引っ張っちゃえ。もしも、もしもダメな誰かなら、サンダーウルフ達にやってもらえば良いし。よ~し、どんどん引っ張れ!!
『何してるんだ、早くしろ!!』
『お前ならもっと早く、結界を縮められるだろう!!』
『待って、すぐだから! 反対側は完璧?』
『当たり前だろう。誰が結界を張っていると思っている。と、そんな話しは良いから、本当に早くしないか!』
『今やってるよ。だけど今、僕達の所へ何匹か引っ張って来てるから、ちょっと待って!』
『何匹か引っ張って来てる?』
『街の中に、特別な気配を感じたんだ。僕達の父様と同じくらい澄んだ気配を』
『は?』
『同じだと?』
『お前達の父様は、人間の街にいるのか?』
『違うよ、父様は人間の所になんかいないよ。同じくらいって言ったでしょう。……温かさは父様より上かも』
『は? そんな存在がいるか? お前の勘違いじゃなく?』
『何回も確かめたから間違いないよ。僕だって信じられないんだから。でも本当にそうなんだよ。あの光の爆発、人間の街の方まで行ったはず。となるとあの光の縄も、行くかもしれないでしょう?』
『確かにな』
『人間が張る結界よりも、僕達の方が丈夫で安全だからさ。あんなに澄んでいる気配の誰かだから、悪い魔獣じゃないはず。もしかしたら僕の仲間かも。だから今、結界を縮めながら、その誰かを引っ張って来てるんだよ。その誰かにくっついて、他の誰かも来ちゃってるけど』
『おいおい』
『みんなにお願い、もし澄んでる気配の誰かについてきてるのがダメな誰かなら、みんなで倒してね』
『お前な……。はぁ、分かった。さっさと引っ張ってこい』
『ありがとう。よし、それー!!』
僕はどんどん結界を縮めたよ。そして予定していた範囲まで、しっかりと結界を縮めたんだ。それで急いで引っ張った誰かの所へ行ったの。そうしたら……。
僕も他のみんなも、思わず固まっちゃったよ。だって僕が引っ張ってきたのは、魔獣が4匹と、2人の人間だったんだ。




