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大好きな家族に溺愛されて、ちびっ子3男今日も元気にもふもふ変身練習中!!  作者: ありぽん


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55話 その時の僕達(木の精霊 フルール視点)1

『何だこれは?』


『木々や草花が枯れるだけではなく、地面までもが黒く変色しているじゃないか!?』


『それに、あの穴の中、あの光は何だ?』


『あの穴の中に何がある? 俺達はこの場にいなかったからな。問題のアレが入っているのか?』


『そう、あの穴の中にアレが埋まってるんだよ。人間が魔獣に命令して、穴を掘らせてアレを埋めたんだ』


『フルール、アレはどんな物だった?』


『禍々しい気配がする、黒い小さな石だったよ。僕達、人間と魔獣がいなくなってから、すぐに様子を見に行ったんだ。それで魔獣はかなり深くまで穴を掘っていてね……』


 僕は人間が黒い石を埋めに来た時の事を、魔獣達に話したよ。みんな僕達が情報を流していたから、この石の存在は知っていたけど、どんな物か詳しくは知らないからね。


 僕の話しを聞きながら、魔獣達の中に負の物を浄化をできる魔獣が数頭いたから。その魔獣達が、枯れてしまった木々や草花、地面の浄化をしてくれたよ。でも効果は……。

 それに僕達がここへ来てから、少ししか経っていないのに、状況はどんどん悪くなっていってるよ。


『ここだけでも先に結界を張った方が良いだろう。が、それについては、お前達が先にやっていると思ったのだが、何故やらない?』


『もちろんやったよ。だけど僕達は守る方を優先したから。僕達の守っている物が枯れたら大変だって思って。それにさ、何故か分からないけど、途中で結界が溶けちゃうんだよ』


『溶けちゃう?』


『そう、最初はちゃんと結界を張れるんだけど、ある時急にドロッと溶けるように、結界が消えちゃうんだ。だから3回溶けた後、こっちにばかり力を使えないってやめたんだ。ただ、今のこの様子じゃ。また溶けちゃうと思うけど、やっぱり結界を張った方が良いかも』


『よし、じゃあここは俺達が結界を張ろう。それで……』


『待て!! あれを見ろ!!』


 そう言われて、今声を発した魔獣が見ている方を見たら。この山に住んでいる魔獣の中で、まぁまぁの力を持っていて、そして誰彼かまわず襲ってくる、面倒な魔獣達が。僕達の方に歩いて来てたんだ。


『一体どこから? 俺が気配を感じないなど、そんな事があるわけないのだが』


『いや、お前がおかしいんじゃない。俺も感じなかった』


 良かった。僕だけじゃなかったんだ。それに今も、魔獣達は目の前にいるのに、気配を感じないよ。


『何だこいつらは? 本当に魔獣か? それに、こいつらに纏わりついている物。あの穴から出ている光に似ていないか? いや同じか?』


 そうサンダーウルフが言った時だったよ。集まって来た魔獣は、全部で15匹だったんだけど。その魔獣達全員の体に、問題の光が縄みたいに伸びてきて、ぐるぐると巻き付き、穴の近くまで魔獣達を引っ張ったんだ。そうしてすぐに消え始める魔獣達。


『これは……、魔獣達の力を吸い取っているのか!?』


『戻った方が良さそうだな』

 

『全員戻るぞ!! フルール、戻ったらすぐに結界を張るぞ』


『うん!! もちろん!!』


 魔獣達が問題の場所に結界を張って、掴まっている魔獣達が消える前に、急いで自分達が結界を張るための場所へ戻る僕達。


 でもそれは戻ってからすぐだったよ。いきなり問題の場所で光っていた、黒色だけど透明な光が、ブワアァァァッ!! と爆発したみたいに。僕達のいる場所を、一気に通り過ぎていったんだ。

 

 僕はその瞬間、僕もみんなも消えたと思ったよ。たぶん他のみんなも、同じだったんじゃないかな?


 でも目を開けて確認したら、僕達がいる場所は、地面が割れてるとか、木や草木が爆発で吹き飛ばされているとか、そういうのは全くなくて。みんなも怪我1つしていなかったんだ。


 何だ今のは? って慌てるみんな。と、またあることが起きて。さっき見た、黒色の透明な光の縄みたいな物が、僕達の方に伸びて来て、みんなを捕まえようとしたんだ。


『フルール!! 結界を張れ!!』

 

 シャドウベアの声が聞こえて、僕はハッ!! として、急いで結界を張るために、みんなに声をかけたよ。


『みんな、僕が言った通りの範囲で結界を張るよ!! せーのっ!!』


『『『せーのっ!!』』』


 僕達の特別な結界が、僕達や他の魔獣達を包み込み始めた。と、僕慌ててたから、少し力を入れ過ぎて、結界を大きくし過ぎちゃったよ。みんなには、言った通りの範囲で、なんて言ってたのにさ。


 しかもそのせいで、僕の結界だけが、人間の住んでいる方にまで広がっちゃったし。僕は急いで、今度は結果を小さくしようとしたよ。


 でも……。結界を小さくしようとした時、僕はある物を見つけたんだ。

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