39話 次の変身はフローリットバードさんに決定!!
『ねぇねぇっチュ。俺達とシエラ達の魔獣変身練習終わったら、次は何に変身するっチュ?』
『シエラ?』
『お、お姉さんっチュ!? シエラお姉さんっチュ!!』
「う~ん、なにかなぁ?」
『ルーパートは、他にどんな魔獣が好きなの?』
『あおいことりしゃん!!』
『鳥系の魔獣かぁ。何がいる?』
『う~ん、フェアリッシュとかピクシレットとか……。あっ、でもルーパートがよく知ってる鳥魔獣の方が良いよね。変身するのに、思い浮かべないといけないから。今僕が言った魔獣、知らないでしょう?』
「うん、しらない」
『だよねぇ。となると……』
『他に何がいるかしら?』
「ぼくねぇ、ほんものあったことない。でもパパがへんしんしてくれたの。ふろーりっとばーどに、へんしんしたいの」
『ふろ? ああっ!! フローリットバードか!!』
「うん!!」
フローリットバートは、僕の手のひらくらい小さな鳥さん魔獣で。頭の上、左右にお花がさいてるんだよ。それで風が吹くと、花びらがヒラヒラってとっても綺麗なんだ。お花が散っても、1日すればまたお花が咲くの。
暗い場所に行って、少しも前が見えない時は、お花を光らせて周りを明るくして、前に進めるんだ。他にも自分のお花を咲かせたり、お花魔法で敵を攻撃することもできるんだ。
あっ、そうそう。レオンハルトお兄ちゃんが、モック達に教えてくれるって言っていた魔法ね。モック達、魔法できないと思っていたでしょう? でもモックも他のみんなも、簡単な魔法を無意識に使っていた事が分かったんだ。
この前、レオンハルトお兄ちゃんの前で魔法を使って、使えるじゃないかって言われたの。僕もみんなもあれ? って。
なんかね魔獣さん達は人間と違って、呪文を言わなくても魔法が使えるみたい。考えるだけでできるんだって。だから魔法を使っている、っていう感覚がなかったんじゃないか。ってお兄ちゃんが言っていました。
そういえば僕がモックに連れて行かれた時、周りを明るくしてくれたの、モックだったもんね。
みんな自分が魔法を使ってたって、とっても喜んでたよ。それにレオンハルトお兄ちゃんに、難しい魔法を習うのがもっと楽しみになったって。
『フローリットバード、ルーパートに似合ってると思うよ』
『良いっチュね!』
『じゃあそれに決まりね!』
『お母さんに言っておこうぜ!』
「うん!! ママ、つぎのへんしん……、ぽんっ!!」
『あらら』
『変身っチュ』
『確かに考えたけど』
『久しぶりに勝手に変身したな』
『ルーパート、フローリットバードに変身したよ』
「あらあら」
「勝手に変身か?」
「そうみたいね」
考えてたらフローリットバードに、勝手に変身しちゃったよ。僕はすぐに、今みんなでお話ししていた事を、ママにお話ししました。
「そう、でも勝手にとはいえフローリットバードに変身できたのなら、ちゃんと練習すればモコレットやモモリスみたいに、しっかりと変身できるかもしれないわね。それじゃあ明日から、フローリットバードも練習しましょう。同じばかりじゃ飽きてしまうでしょうし」
やったぁ! 明日からフローリットバードの練習もできるって。嬉しいなぁ。
「それにしても、ずいぶん小さいな」
「成獣でルーパートの手のひらサイズだもの。子供ならさらに小さくなるでしょう?」
「なるほど」
モック達に聞いたら、僕は普通のフローリットバードの、半分くらいの大きさだったみたい。子供のフローリットバード。僕の親指さいず。とっても小さい……。でも変身できて、とっても嬉しかったです。
それにね……。とっても小さくて良かったねぇ、っていう出来事が、この後起こったんだよ。




