2話 戻れなかったよ
「なるほど、今日は小鳥になってしまったと」
「ハハハッ!! ルー、可愛い小鳥じゃないか!! いつもよりもちょっと小さいから、余計可愛く見えるな!」
「小鳥……」
僕は今、黄色小鳥さんの姿のまま、パパの手のひらに乗せてもらってるよ。ママがフレデリカにパパを呼んできてって言って、パパはすぐに来てくれたんだ。一緒にお兄ちゃん達もついてきたの。
「あのねぇ、パパ。ぼく、きいろじゃなくて、あおいろがよかったの」
「そうか、青が良かったのか。では次は青色のことを考えて眠ると良い」
「うん!!」
「あなた、そういう事じゃないのよ。ルーパートを元の姿に戻さないと」
「む、そうか」
ありゃ? パパとママがお話ししてる間に、1番上のお兄ちゃんが、僕のことを自分の洋服のポケットに入れて、お部屋から出ようとしてるよ?
「レオンハルト! あなたもポケットに入るからと言って、変身中のルーパートを連れていかないで。またそのまま仕事をするつもりなの? ダメよ、可愛いからって、みんなに見せびらかそうとしちゃ。大体これから朝食でしょう!」
「ダメですか?」
「ダメよ、ルーパートが慣れるまでは。そしてきちんと変身と解除ができるようになるまではね」
「なんだぁ、俺も連れて行こうかと思ったのに」
「ダメです。あなた」
「ああ。ルーパート、元の姿に戻れるか? 小鳥でもご飯は食べられるし、遊べるが。なるべくだったら、今は人間の姿の方が良い。戻り方は分かるか?」
「えちょ、ルーくんを、かんがえる!!」
「そうだ。よし、鏡を見ながらでも良いし、ただ考えるだけでも良いからやってみなさい」
「あい!!」
ママがお兄ちゃんから僕を受け取って、僕は黄色小鳥さんのまま、鏡の前に立ちました。う~ん、自分のことを考える。人間の僕を考える。僕は目を瞑って、人間の僕の姿を考えたよ。そして……。
「ふんっ!」
気合を入れた後に目を開いて、鏡の中の自分を見てみます。ありゃぁ、元に戻ってない。
「ダメか。ルーパート、もう1度やってみなさい。私も手伝うから」
「あい!!」
パパが黄色小鳥さんの僕の頭に、パパの手を置いた後、僕はもう1度自分のことを考えたよ。それでもう1度気合を入れて、ふんっ!!
「パパ~、ことりしゃん、もどらない~」
「そうか、では仕方がない。少しの間様子を見てみよう。いつも通り時間がたてば、元に戻れるはずだ。ルーパートの洋服を忘れぬように」
「はい!!」
「ハッ!!」
「では、皆、食堂へ移動するとしよう」
「ルーパート、こちらへ」
「おにいちゃ、もどれなかっちゃ」
「大丈夫、すぐに戻れるはずだ」
「おい、兄さん。兄さんはさっきポッケに入れてたろう。次は俺だぞ」
「お前は信用できない。私が運ぶ」
「いや、俺が……」
「2人共、早くしなさい。ルーパートは私が連れて行く」
パパが僕を掬い上げてくれて、自分の洋服の中に入れて運んでくれたよ。
「お前のせいで」
「何だよ、兄さんが譲ってれば」
「良い加減にしなさい! あなた達、行くわよ!」