表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/64

2話 戻れなかったよ

「なるほど、今日は小鳥になってしまったと」


「ハハハッ!! ルー、可愛い小鳥じゃないか!! いつもよりもちょっと小さいから、余計可愛く見えるな!」


「小鳥……」


 僕は今、黄色小鳥さんの姿のまま、パパの手のひらに乗せてもらってるよ。ママがフレデリカにパパを呼んできてって言って、パパはすぐに来てくれたんだ。一緒にお兄ちゃん達もついてきたの。

 

「あのねぇ、パパ。ぼく、きいろじゃなくて、あおいろがよかったの」


「そうか、青が良かったのか。では次は青色のことを考えて眠ると良い」


「うん!!」


「あなた、そういう事じゃないのよ。ルーパートを元の姿に戻さないと」


「む、そうか」


 ありゃ? パパとママがお話ししてる間に、1番上のお兄ちゃんが、僕のことを自分の洋服のポケットに入れて、お部屋から出ようとしてるよ?


「レオンハルト! あなたもポケットに入るからと言って、変身中のルーパートを連れていかないで。またそのまま仕事をするつもりなの? ダメよ、可愛いからって、みんなに見せびらかそうとしちゃ。大体これから朝食でしょう!」


「ダメですか?」


「ダメよ、ルーパートが慣れるまでは。そしてきちんと変身と解除ができるようになるまではね」


「なんだぁ、俺も連れて行こうかと思ったのに」


「ダメです。あなた」


「ああ。ルーパート、元の姿に戻れるか? 小鳥でもご飯は食べられるし、遊べるが。なるべくだったら、今は人間の姿の方が良い。戻り方は分かるか?」


「えちょ、ルーくんを、かんがえる!!」


「そうだ。よし、鏡を見ながらでも良いし、ただ考えるだけでも良いからやってみなさい」


「あい!!」


 ママがお兄ちゃんから僕を受け取って、僕は黄色小鳥さんのまま、鏡の前に立ちました。う~ん、自分のことを考える。人間の僕を考える。僕は目を瞑って、人間の僕の姿を考えたよ。そして……。


「ふんっ!」


 気合を入れた後に目を開いて、鏡の中の自分を見てみます。ありゃぁ、元に戻ってない。


「ダメか。ルーパート、もう1度やってみなさい。私も手伝うから」


「あい!!」


 パパが黄色小鳥さんの僕の頭に、パパの手を置いた後、僕はもう1度自分のことを考えたよ。それでもう1度気合を入れて、ふんっ!!


「パパ~、ことりしゃん、もどらない~」


「そうか、では仕方がない。少しの間様子を見てみよう。いつも通り時間がたてば、元に戻れるはずだ。ルーパートの洋服を忘れぬように」


「はい!!」


「ハッ!!」


「では、皆、食堂へ移動するとしよう」


「ルーパート、こちらへ」


「おにいちゃ、もどれなかっちゃ」


「大丈夫、すぐに戻れるはずだ」


「おい、兄さん。兄さんはさっきポッケに入れてたろう。次は俺だぞ」


「お前は信用できない。私が運ぶ」


「いや、俺が……」


「2人共、早くしなさい。ルーパートは私が連れて行く」


 パパが僕を掬い上げてくれて、自分の洋服の中に入れて運んでくれたよ。


「お前のせいで」


「何だよ、兄さんが譲ってれば」


「良い加減にしなさい! あなた達、行くわよ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ