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生まれ変わったけど期限付き!?〜家族との再起をかけた奮戦記〜  作者: 石田あやね
第2章 友達をつくれ!
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33話 出会いを求めて

 俺は今、隣町にある大きなショッピングモールという場所へ来ている。もちろん恵美とふたりでだ。

 どうして、突然ショッピングモールに足を運んだかというと、数日前に未来と交わした会話がきっかけとなる。


「やっぱり“であい”は人がたくさんいるところじゃない?」


 未来の新しい父親との出会いが母親と買い物へ出掛けた時という理由から、出会い=人が大勢集まる場所が確実だと思ったようだ。3歳という年齢でも、こういう恋愛話は女の子の方が詳しい。


「人が多いとなると、やっぱり遊園地とか動物園とか規模の大きい施設が確実だろうな」


 俺は人が大勢集まるであろう施設を思い浮かべながら口にするが、未来の反応は今ひとつだった。


「そういうのは“かぞく”とか“こいびと”が行くところじゃない?」


 そう突っ込まれ、俺は確かにと頷いた。遊園地や動物園に出会いを求めて行く人など言われてみれば居ない。

 恵美がまだまだ若くて、子供がいないのであれば合コンという出会いの場も選択肢に入るであろうが、今の状況では難しいだろう。恵美はかなり真面目だから、子供を誰かに預けて合コンに行くタイプではない。そもそもお酒は飲まないみたいだから、飲み会などにもあまり興味がないように見えた。

 思い返してみても離婚して数ヶ月、恵美が俺を直子に預けて夜に出歩くという行為は今まで一度もない。


「未来とママはね、大きなアウトレットに行った時に今のパパと会ったんだよ」


「アウトレットってどんなところなんだ?」


「たくさんのお店がね、お外にいっぱい並んでるの! すごくたのしいよ!」


 この服もそこで買ってもらったのと、着てきたピンクのワンピースを自慢げに見せる。


「デパートみたいな場所か?」


「デパート?」


 今の子供にはデパートはあまり通じないらしい。けれど、デパートに似たような場所というのはイメージできた。


「そのアウトレットってところに一度行ってみようかな」


「うん! きっとたのしいよ!」


 俺が楽しむために行くわけではないのだが、未来にはそれなりの返事を返してその話は終わった。

 未来から得た情報で俺はすぐに恵美に頼み込み、今日に至る。


「去年できたばかりらしいから、すごい人だね。でも楽しそう!」


 未来の行ったアウトレットは家からかなり離れた場所にあったようで、恵美は近場にあるショッピングモールへと俺を連れてきてくれた。


(あまりデパートと変わらないな……しかし、こんな場所に来るなんて何十年ぶりだろうか)


 俺の頭の中に懐かしい思い出が浮かんでくる。

 恵美の誕生日やクリスマス、イベント事が近付くと家族でデパートへ出掛けたものだ。まだ幼い恵美はおもちゃ屋を見るだけで大興奮で、何を買ってもらおうかと何度も何度もお店の中を往復した。そして、お目当てのものを買ってもらった最後の締めくくりに、レストランでプリンアラモードを食べる。それが恒例行事だった。

 満面の笑みを浮かべながらプリンアラモードを頬張る恵美を今も鮮明に覚えている。しかし、小学校中学年あたりからは家族で出かける頻度が減り、高学年に上がる頃にはぱったりと無くなってしまった。父親と歩くのが嫌だったのか、家族よりも友達を優先するようになったのか理由は定かではない。だが、急に恵美と関われる時間がなくなってしまったことを俺は寂しく感じていた。きっと子供が成長するということはそういう事なのだろう。


「颯太? どうしたの?」


「なんでもないよ」


「最初は何見たい? 2階におもちゃ屋さんあるんだって……あと、午後から奇怪レンジャーショーやるみたいだよ! 最近お洋服小さくなってきたから、颯太の好きなお洋服も買おうね」


「全部見たい!!」


「よーし! ママも楽しむぞー!!」


 子供と一緒に楽しもうとする恵美の姿を微笑ましく感じながら、懐かしい景色の中へと飛び込んでいった。

 デパートはどちらかと言えば高級品を扱う店がほとんどで、直子も俺も余計な買い物はあまりしようとしなかった記憶がある。だが、ショッピングモールは手頃な値段の品物を置く店が多くあり、客層も若者たちが大半を占めていた。学生の友達同士、若いカップルたち、擦れ違う人は大体がそんな感じだ。


「ほら、颯太の好きな電車が走ってるよ!」


 広い店内では子供向けの乗り物で移動することができるようだ。親も同乗できるくらいのサイズの電車がゆっくりと通路の真ん中を進んでいく。駅長の服装をした店員が操縦しながら、子供たちを楽しげにガイドしていた。


「颯太も乗りたい?」


 ここは乗りたいと言った方が正解なのだろうが、あいにく電車は満員のようだ。それに気が付いた恵美が申し訳なさそうな顔を俺に向ける。


「今はたくさん乗っててダメみたいだね。もう少し後にしようか」


「うん」


 俺にとっては乗らない方が助かる。恵美には楽しんでいる颯太を演じてあげたいが、大人の俺が子供の乗り物に乗って大はしゃぎをするというのはなかなかハードルが高い。

 俺と恵美は乗り物に手を振って、おもちゃ屋のある2階へと向かった。


「本当におもちゃいらないの?」


 一時間ほどおもちゃ屋を見て回ったが、俺は結局なにも買わないことにした。俺が颯太のために選んでもよかったのだが、やはり颯太が一番欲しいものを後で買ってもらった方がいいだろう。


「お洋服たくさん買ったからいいの!」


 その代わり、成長過程ではサイズの合う洋服は必須だ。それだけは若干自分の好みを買わせてもらった。

 子供の成長は早い。颯太が戻ってくる頃にはまた洋服を新調しなくてはいけなくなるだろう。


(俺がいる間は好きなものを着させてくれ)


 明日からはでかでかと車の絵柄の入った服を着なくて済むことに俺は細やかな幸せを感じた。


「そしたら、次はママのお洋服見に行こうかな。颯太、いい?」


「いいよ!」


 俺は快く受け入れる。


(別の階に移動した方が出会いもあるかもしれないしな!)


 本来の目的を果たすべく、俺は恵美とともにエレベーターへと乗り込んだ。

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