転生は始まり?(翻訳版)
…落ちていた
俺はただひたすらに落ちていた
周りを見渡せば日本の上空にいた
上も下も右も左も前も後ろも分からなかった
自分の体がとにかくグルグルと回っていた
止められる感じがしない
嘔吐感がこみ上げてきても止められない
そして吐瀉物は宙を舞い虚空へと散っていく
俺は高いところにいるのは非常に嫌いであった
不安定な足場の上に立つのも非常に嫌いであった
中学生の頃、2階のベランダから頭の悪いガキに突き落とされてから非常に嫌いであった
…そんな高所恐怖症の俺がなんでこの空にいるんだ
呼吸が荒い、入る酸素より消耗する酸素の方が多い
1度、目をつぶって前後上下左右を考えない様にして
なんでこんな状況なのかは自分の今までの行動を思い返す
俺はこの世界に生を受けてから
普通に生きて、普通に小学校を過ごし、普通に中学生を過ごし、普通に高校生を過ごし、普通に大学生を過ごして、そして普通に会社に勤めて普通に過ごしていた
…まぁ中学生の時に突き落とされたことだけは異常だったし親に娯楽を縛られていたりしたが
会社に入ってからも普通に人間関係も良し悪しがあった
親友と言える人もいた、男で金使いは荒いが楽しむことに関しては俺も悪乗りしている
そして社会人になってから彼女も出来た、結婚の約束もしていた
…ここまでは良かった
結婚前最後の誕生日にある時にその親友だった人と彼女だった人に呼ばれた
――面白いの見せるからこれを付けて
そう言って、一切の音を遮断されるヘッドホンとアイマスクをつけられた
その時に俺は、大きなケーキでもあるのか?すごいプレゼントがあるのか?
とても楽しみに感じでいた
何処か分からないところを歩かされて、そして何かわからないところへ『乗った』
乗ったものは何だか分からなかった、車とも違うし船かな?と思った
そして目隠しされてから数十分ようやく視界は開かれる
…そこはとてつもない地獄であった
ヘリコプターの中であり、扉は全開で風が吹き荒れていた
思考が動かなかった
ここは俺の嫌いな『高い場所だった』
思考が真っ白になった
親友だった人は嫌な笑顔をしている
思考が分からなくなった
彼女だった人は気持ち悪い顔をしている
思考が逃げろと言っている
俺は二人に散々高いところは嫌いだと言った
思考が逃げろと言逃げろる
そんな二人が俺の誕生日に高いところに連れていきやがった
逃考が逃げろとげ逃げろろ
信じていた人から裏切られた
逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ
俺は…………この部屋から逃げ出した
飛び出してから気づく、ヘリから出たらそこは外
こうゆう時スカイダイビングを楽しむためには
パラシュートを持っていたり、インストラクターが付いていたり
でも、そのどちらもない
………つまり、おれはこれから確実に地面に落ちて死ぬ
あいつらには完全に裏切られた、もしかしたら悪ふざけかもしれなかったが
悪ふざけだとしてもすべてが悪意に満ちていた
だから俺は、過去形で言った
親友『だった』人と彼女『だった』人、あいつらは完全に悪魔だ
視界を開く、地面はさっきよりも迫っていた
恐怖に脳が支配される
怖い怖い怖い怖い
自分の心臓が早まる
人間はここまで早く心臓が早くなるのか?
そんなことをなぜか客観的に感じながらも…突然心臓が止まる
………地面に墜落する前に俺は意識を急速に失って行った
…意識を取り戻した、何か包まれていた
何が起きたんだ?
目がうまく開かない
全身に何やら湿り気を感じる…
息ができると同時に声を荒げて叫ぶ
「何が起こったんだ!?」
「ああ!おめでとうございます!元気な女の子ですよ!!」
今なんて言ったんだ?嬉しそうな感じの声なのは分かる
「はぁ…はぁ…よかった、私の赤ちゃん」
「元気で…ううっ…元気でよかった……クライム…よかったな…」
目が開かないが、声を聴いた感じ自分以外には三人いるよう聞こえる
最初に話した女性は元気がある感じがする
次に話した女性は、ものすごく息が上がっているが安心している感じがして
最後に話した男性はなんだか泣いていた
「抱いてもいいですか?」
「ええ構いません!けどまだ首が座ってないので気を付けてください」
何かを女性二人が話し合った後俺は持ち上げられ…持ち上げられ!?高いところに!?
「嫌だ!!下ろしてくれ!!」
「わわっ?!急にどうしたの?!」
身じろいで降りようとしたがしっかりと抱きしめられて降りられない!
なんなんだ?!というより包まれていたのが腕だとしたら自分よりも三倍ほど大きくないか?!
ここにいる人たちは巨人なのか?!
「おっと…ふふっやんちゃな子供に育ちそうだね」
巨人にしっかりと抱きしめられる…なんだか顔全体に柔らかいのが…それよりも降ろしてくれ
「元気いっぱいだったら、大きくなった時に一緒にサッカーをやりたいな」
「ふふっ…女の子だけど、でもサッカー少女になるのもいいね」
男性と女性が話し合っているが…とにかく降りたい
「……では身体検査があるのでよろしいですか?」
「あっ…では娘のことをよろしくお願いします」
また、俺を持ち上げて手渡された…さっきみたいにしたら落ちる可能性があるから暴れないように…うう早く降ろしてくれ…
数十秒間ぐらい経ってようやく安定している台の上に置かれた…ベットか?背中が柔らかい?
そして腕から離されて気づいたが服を一着も来ていないだと!?みっ見るな!!
そう思って少し動こうとするが、また止められる
「随分と活発ですね…」
うう…屈辱だ………でも思ったが、体に違和感が感じる?
「そもそも目が開くかな?私がおかーさんだよー」
目は…開けれるな、とりあえず状況を確認して………
は?
横にあった鏡を見て……俺は驚愕した…………赤子であった
体は小さく、手足も短い…さらには股間を見ると……女の子であった
そしてオッドアイで、片手が真っ黒でそして後頭部に角?
これは……にんげんではない?
……いやいや違う俺じゃない、こんなのは俺じゃないそんなわけない
「俺がおとーさんだよー」
鏡越しに男性が俺に近寄ってくるいや、それは俺じゃない……その人らしき何かに近寄ってくる、流石に持ち上げられたらその人らしき人が俺になってしまうが…頼む俺にならないでくれ!頼む!!
願いはかなわず、その鏡の人間ではない人は持ち上げられると同時に物凄く不快な浮遊感を感じた…………この角が生えて片腕が真っ黒な人みたいなものが俺だ…
嫌だ、嫌だ、こんなのは俺じゃない降ろせ嫌だこんなの
「嫌だあああああああああああああああ!!!!」
「うわわっ!?泣きだしちゃったゴメンな!」
あれから、何をされていたが分からないが泣きじゃくっている間に検査みたいなことをされていた
そのあと、そのベットみたいなところにまた寝かされた…
多分…受け入れられないが目の前にいるピンク色髪で後頭部に下向きの白い角のようなものが生えている女性が『俺の母親』みたいな感じで
もう1人の青…いや藍色か?その髪色の男性は腕にタトゥーのような黒い線が入っている…植物のような形をしているこの人が『俺の父親』らしい
そして俺はその二人から生まれた女の子らしい
…あくまで状況証拠で考えた結果だ、だって
「ここまで、活発なんてねオウガウの血が強いのかな?」
「だったらこの可愛さはクライムの血が強いからだと思うよ?」
一切として話している言葉が分からない…そして
「なあ、2人とも?」
「ふふっ何か話しているね」
「最初にパパと言ってほしいな」
俺からの言葉も全然通じていない、普通生まれたばかりの子供がしゃべっていたら驚くと思うが普通に笑いあいながら話し合ってる
奴らに騙されて落ちてきて、気が付いたら胎児として人じゃない者達の子供になっていた
……本当に意味が分からない状態だ
もしこれが夢だから早く冷めてほしい、正直今まで男として生きてきて急に女になるのは正直永遠に慣れそうにない
それとも、この状態で一生を過ごすというのか?
自分の両親じゃないこの人たちを両親として家族として愛せと?
自分が自分じゃない状態を受け入れて過ごせと?
それに、人間じゃないどんな生き方をするか分からない生き物として過ごすのか?
言葉が分からないままこのまま…いや、このまま過ごせば学ぶのか?
……考えない、いや考えたくない…頼む夢であってくれ
「そういえば名前は決まってる?」
「ああ決まっているさ…それは………… 」
突然無音になる…今度は何だ?
いや、止まってる?
どうしたんだ?
……………………。
いやなんか言ってくれよ!!
『黒の魔術…固有の空間を…この人に』
だ?誰だ?!急に意識が薄れて……
*********************
「…………っつはっぁ!?」
目が覚めた?やっぱり夢だったのか?と言いたかったけど今度は真っ白な場所にいた
勢いよく上体を起こして自分の体を確認するが…俺の体だ…スカイダイビングの時の
『黒の魔術…一時的な心の安らぎを…貴方に』
「………は」
心が落ち着いてきた…のか?
「…聞こえますか?」
声が聞こえてくる、少年の声?
そう思っていると、空から小さな男の子が降りてきた
姿は漆黒という言葉が似合う姿で短髪の黒い髪、黒のインナーに黒のアウターに黒のズボン
…とどめに半目に無表情な顔で雰囲気が暗い感じがする
「迷子か?悪いが俺もどうなっているのか分からないんだ」
「『黒の魔術…不可思議な状況の理解を…あなたに』
…迷子ではありません、世界の管理をしている神様です
俺の後輩が以前この空間に誰かを呼んだときに同様の扱いを受けたみたいですが、俺自身があなたをこの場に呼びました」
「呼んだ?どうゆう理由で?」
少年が降りてきたり、神様と言ったりと普通であったら追求したいことが多いが…なぜだかすべて理解できてしまう?さっき言っていた『不可思議な状況の理解』で理解できるというのか?
「……物事を伝えるために呼びました、ですがその内容は覚悟が必要な内容ですそれでも聞くか?」
「覚悟?どのような?」
「……自分に何後起きているか?そしてその事実を知っていても足掻くこともも何もできない…そのようなことを受け入れなきゃいけない事実なんだ」
「恐れて覚悟を決められなかった場合はどうするつもりだ?」
「覚悟が決まるまで待つだけです、それまで俺と簡単な話をしますか?」
「いや物事が進まないならさっさと済ましたい、覚悟は…出来ていないが教えてほしい」
「……分かった、では伝えますが…
貴方は地球という世界で死亡しアンレイという別の世界に記憶を引き継いだまま転生しました
これからあなた自身に処置を行わなければいけません」
途中からはあまり聞こえなかった、
最初で言っていた『俺が死亡した』
そのことで頭が真っ白になっていた
何かとショッキングな出来事が起きるたびに無意識に現実逃避をしていた
でも、今回のことは心の奥底で思っていた
スカイダイビング中に意識を失ってその時に死を感じたが
それでも、伝えられると
絶望や悲しみは無い
代わりにふつふつと湧き出る気持ちもあった
俺自身を高所に連れて行った悪意に対する殺意が
「…あいつらに…殺されたのか…俺は?」
「…結果的にはそうなるな、地球の人間の悪意という物は本当に醜い」
「復讐は…出来ないのか?」
「……そのことは後に回します…ですが今は急いでいるので…『黒の魔術…一時的な心の安らぎを…貴方に』」
それを言われたとたん、急激に奴らに対する怒りや殺意が引いて行った?
「は?いったい何が起こったんだ?」
「…魔術を使ってあなたの心を落ち着かせました」
「なんだそれは?」
「…俺たちの世界では地球とは違い魔術というものがありまして、それを扱って治療をしたり火をつけたり水を出したりとか…」
「いや、そうじゃなくて『魔術』という物ってなんだ?」
「え?」
おかしいことを俺は言ったか?目の前の少年はキョトンとしているような表情をしている
「えっと…呪文や魔法は知っているか?」
「まったくだ」
「あの…アニメや漫画やゲームなどは…」
「一切触れていない、親から完全に隔離されていた…今となっては趣味に触れさせてくれない最低な親だったと思うが」
「……初めてのパターンだなそのような趣味がない人とは」
「すまないな、普通であれば知っている人が多いのか?」
「…そうだな、その趣味から連想する感じで教えるつもりだったんだけど」
「すまない、つまらない人生で」
「…あなたは悪くないですよ、でしたら『普通の人はできないこと』を何でもいいので言ってみてください、今から目の前で見せます」
「じ…じゃあ、さっき言っていた火をつけたり水を出したりとかは…」
「『黒の魔術…あふれ出る水流を…この手から』
『黒の魔術…とどまる炎を…この手から』
はい、この通り」
そう言って、右手には水芸のように噴水が上がって左手には大きな炎が出た?!
少し手を近づいてみると、水は普通に濡れるし、炎は暖かい
こんなこと本当にあるのか…だったら!
「これが魔術です、ほかに要望があればやりますが」
「魔術というものが何なのか分かった…ならば!俺を生き返らせたりとかは?」
何でもできるのであれば、死者蘇生もっ!
「…ごめんなさい、蘇生自体は出来ますがあなた自身の運命が決まっていますので不可能です」
「意味が分からないがとにかく『俺が』生き返るのは不可能と言う事か…」
現実は厳しいな…いや、ここは現実ではないけど
「…魔術を理解し信じてもらえたのでしたら再び話を戻します、
あなた自身は死亡し、別の世界に記憶を引き継いだまま転生をしてしまいました」
転生…魔術があるならそうゆう物もあるのか?
神によって心は落ち着かされているから、理解も普通に出来てしまうのか?
それより気になるものがある
「ここで質問を入れてすまないが、記憶を引き継いだまま転生するのは良くないのか?」
「…では逆に聞きますが、転生した後はいくら過去を願ったとしても戻ることは出来ません、あなた自身は家族も友人も恋人を恨んでいますがそれでも、今会いたい大事な人はいると思います、そんな人に会うこともいくら思っても出来ません」
「大事な人は…いないが」
「でしたら…あなたが恨んでいる人たちへの復讐の気持ちを抱えたまま、あなたとは違う性別で人間とも違う種族になったまま生きていけますか?
俺自身も…いえ、これ以上は何でもありません」
「それは…」
生きれるわけがない、そんな人生なんか送りたくない
「…そんな人なんか見たくない、そのような目に誰も会わせたくない、だから神々の間では禁止にされている、理解してくれないか…?」
その神は、何だか懇願している感じがした?何かあったかもしれないが聞かない方がいいかもな…
「わっ分かった、でも何で記憶を引き継いでの転生が起きたんだ?」
「…単に、地球の神の怠惰です。
普通でしたら地球の神が対応するところですが…はぁー何で俺が代わりに」
仕事を押し付けられている部下みたいだな…
「話を逸らしまくってすまない、それで禁止だからどうなるんだ?」
「…はい、あなた自身に記憶を消して先ほどの人生をやり直さなきゃいけません」
「輪廻転生…という意味か?」
「…そうです、でも死ぬ前に何かしら心残りが無いように『出来ること』でしたらやります、あなたの言っていた復讐なども…本当に相手を殺すとかは出来ませんがそいつらに精神的には何かしらやることは可能かもしれません」
「…じゃあその、俺が死んだあとは俺の周辺人物はどうなったのかを見たい…少し気になっているんだ」
「………分かりました、あなたの亡骸にあなたの周辺人物が近寄る運命になっていますので…あなたの空っぽになった体の側に魂だけ一時的に送ります。戻りたいと思った時は心から『戻りたい』と思えば戻ります…『黒の魔術…魂を抜け殻の側に魂を…あなたに』」
そう言われると、視界が一度真っ白になり…………
視界の白さが戻ると俺自身は近くに河原がある草むらに立っていた
自分自身の体は先ほどの姿であったが…かなり半透明になっていた
この場所は、俺自身が放課後に通る道でもあったな…
そして地面に視線を落とすと………俺の死体があった
首、手、足、何もかもが乱暴に投げられた操り人形のようにあらぬ方向に曲がっていた
顔は見えていたが、最期まで恐怖を感じていたのか顔は真っ白で………うっ!?
自分の胸に何かしら湧き上がってくるものが…
「おえっ…………げおっ………」
半透明であったが嘔吐してしまったらしい
吐瀉物は見えなかったが確かに口から吐く感覚はあった
とにかく、もう自分の表情は見たくない
周囲を確認すると、近寄ってくる2人の人影が?
……あの姿は
「あっ……うそだろ………おい!」
「嫌…そんなのイヤァ!!」
間違いない、あいつらは親友だった人と彼女だった人だ
「起きろ!!頼む!!目を覚ましてくれ!!」
親友だった人は必死になって腹のあたりを押している、心臓マッサージのつもりらしいが…とにかくガムシャラに強く長時間押し続けている……詳しいやり方は知らないがそれでも大きく間違っているのは分かる
胸のあたりを押して、何度も押すのが正しいやり方だったことは覚えている
無駄なことには変わりないが
「もしもしもし…聞こえますか!!救急車よ!!え?警察?関係ない!今すぐに救急車を呼んで私の恋人を助けてよ!!」
恋人だった人はスマートフォンを取り出して、救急車を呼んでいるつもりだが……どうやら警察に連絡しているようだ、しかも俺の名前を言わずにあろうことか『場所』を言わずに電源を切りやがった
こんなやり方では、一生救急車は来ない
俺の一生は完全に終わっているから無駄だがな
2人とも俺を助ける気は全くないみたいだな
「ごめん…ごめんなさい、あなたがここまで高いところが嫌だったなんて………」
「本当にすまん、本当にすまない!!お前がパニックになって落ちるなんて!!」
「ごめんなさいごめんなさい!!」
「すまない!!すまない!!」
「ごめんなさい!」
「すまない!」
親友だった人と彼女だった人は
非常に下手くそな心肺蘇生をしながら来ない救急車を待ち
見たことない表情をし、涙を流す
そしてその口からは絶え間なく謝罪の言葉を吐き続ける
自分の胸に溜まる気持ちがあった…
俺は『戻りたい』と願うと直ちに視界が真っ白に染まり…
白さが戻ると同時に、俺はその真っ黒な神様に説いた…
「聞きたいことがある」
「…答えられることでしたら何でもいいですよ」
「他に間違って転生した人はいたのか?」
「…はい、すでに数人処理を行いました」
「……同じように『自分が死んだ後の様子を見たい』と言った人はいたのか?」
「…もちろんです、懇願する人もいれば状況を信じない人に状況を理解させる為に見せたこともあります」
「普通の人はどんな反応したんだ?」
「…死が改めて現実を実感して泣きわめいたり、パニックになったりします……あなたはどう思ったのですか?」
「猛烈にあいつらを殺したい、猛烈にあいつらに復讐をしたい…そんな気持ちで
………精神的に何かしらやることは可能だよな?」
「……では改めまして聞きます、何がしたいですか?規格外な能力や来世で何かしらを受け継ぐなんて大きなことは与えられませんが」
「……一時的でいい、具体的には十分ぐらいでいい生き返らせて欲しい」
「…生き返ってわずかな時間で何をするつもりですか?」
「奴らに言いたいことを言う、言いたい放題言う
それだけでいいんだ」
「……分かりました、それぐらいでしたら地球の運命は変わることは無いですね
ではそれが終わり次第あなたの記憶を処理してもいいですか?」
「構わない、終わり次第何も知らない女の子として転生してほしい……でも、最後に1つ」
「…何ですか?」
「どうせ、記憶を消されるなら…最後に神様、君の名前を聞きたい」
「…俺の名前?オーラだ」
「オーラ様か……神様として当然の処理や作業だとだとしても、本当に感謝する」
「……どういたしまして、感謝されたのは初めてです。では思い残すことは無いですか?」
「ああ…頼みます」
『黒の魔術…一時的な死者の蘇生…あなたに』
*********************
「…なさい!」
「…ない!」
オーラ様から蘇生魔術というのか分からないがそれを聞いた後視界は完全な闇に閉ざされた直後……随分と耳障りな声が響く……
自分自身の体の感覚もある…けれど、いくらか手足に感覚がないところがある?どうやら骨折などして感覚がないそんな感じみたいだ、幸いにも痛みは感じないが逆にそれが………違和感に……
「うっせえよ」
余りに謝罪する声がうるさくてつい声をあげてしまった
少しは思考する時間ぐらいよこしやがれ…
目を開けると驚いている二人がいた
「いっ生きていた…」
「おっお前……」
「喋んな腐れ外道」
「え…」
「な…」
「一文字もしゃべるな、俺に残された時間は十分だけだ無駄にするな
俺がこれから死ぬ前にてめぇらに伝えたいことがある」
ここまでで多分1分だな残り9分でお世話になった二人に感謝しなくてはな
「お前たちはとんでもない罪を犯した…それは俺を殺した罪だ、お前たちに会った時から俺は『俺は高所恐怖症』だとずっと何度も伝えた。
それからは普通に暮らし普通に仕事をして…
親友だったお前とは大枚はたいて悪い遊びもよくやったりしたし
彼女だったお前とも結婚の約束するぐらいラブラブだったじゃないか
俺の人生は本当に幸せだった……あんたらに悪意に満ちた上空に送られなければな
俺の人生の絶頂期に絶望のどん底にブチ落として…楽しかったか?楽しかったよな?あんなに笑っていたし」
泣くほど喜んでいるな、これで後悔の涙だったら確実に殺す
「まず親友だったお前、初めて会ったのは会社に入ってからになったが…仕事の先輩として様々なことを教えてもらった。その内お互い先輩後輩の関係を忘れてお互いにため口で話したことあったな…
お前は家のコネかなんかか分からないか金が大量にあって散財しまくったな、会社サボって遠くまで遊びに行ったりとかやったしな
そして、俺の結婚する予定だった人が結婚すると決まったときとても祝福したよな?三人でパーティに呼んだりしてな?本当にあの時は幸せだった
今日の誕生日の時、お前はさんざん言った『俺は高所恐怖症』と言う事を今までふざけて受け取っていたこと理解したよ、ちゃんと受け取っていたんだったらあんなヘリなんて用意しなかっただろ?
てめえとは完全に絶交だ二度と話しかけるな」
そう言うと親友だった人は男のくせに喚き散らした
俺から嫌われてそんなに嬉しいか
「それから彼女だったお前…あんたの直々の上司が全責任を押し付けて怒られていたところ俺が助けに入ったなそれが俺たちの出会いだったな
お前の家は結構厳しかったのかその反動でお前自身随分とフリーダムな性格になったな、親友だった人との悪ふざけにも乗っていたこともあったしな
そしてある時にお前から告白を受けてお互い恋人どうし、それも結婚を前提に付き合い始めたな
指輪など結婚の用意が全然まだだったから数年間置いといて…指輪も買って何もかも決まった。俺たちの人生はこれからだと思っていた……
あのおふざけだかドッキリだか分からないけど親友だった人を止めなかったお前も悪い
まだ結婚していないがお前とは離婚だ顔も見たくない視界にも入ってくるな」
そう言ったら彼女だった人は顔を押さえて座り込んだ
体調でも崩したのか?おれの方が今にも死にそうだがな
まぁ茶番は置いといてどうしても言いたかったことを言って俺は輪廻転生する…ってサイレンの音が聞こえる?あんな適当な通報で来るのか?まぁ、救急隊員に見つかったら面倒だからさっさと終わらす
「俺がなんでこんな大怪我を負って普通に生きていられるのが不思議と思っているだろ?
電波なりなんなり言っても構わないが神様に出会って一時的に生き返らせてもらったんだ!
その理由はお前達に伝えたいがあったからだ…耳をかっぽじてよく聞け…
俺を殺した罪を永遠に抱えながら老衰まで生きろ、もし自殺や事故死なんかで途中で死んだりしたら生まれ変わった後にお前らを確実に殺す」
追う言い終わると、2人は顔をクシャクシャにしながら絶望に染まった
俺としては本当に満足だ…そう思うと急速に意識が遠のいて行った……
俺としてはもっと長くいきたかったが……………あっという間に終わっていったな…………
普通の人生かと思ったが……………………色々と縛られて不幸な人生だったかもしれないな…………
来世では……………………ずっと幸せに生きたいな……………………
オギャーオギャー
「ああ!おめでとうございます!元気な女の子ですよ!!」
「はぁ…はぁ…よかった、私の赤ちゃん」
「元気で…ううっ…元気でよかった……クライム…よかったな…」
オギャーオギャー
「抱いてもいいですか?」
「ええ構いません!けどまだ首が座ってないので気を付けてください」
オギャーオギャー
「そういえば名前は決まってる?」
「ああ決まっているさ…それは…
ランガ!幸せに笑って生きられるようにな」
………キャッキャ
「あっ笑ってるよ!」
「気に入ったみたいだね!」
白い空間で1人残ったオーラはその場に小さく小窓を開いてアンレイの様子を確認しながら呟く
「…浄化をして、記憶を完全に処理をして…十年前に設定して、これで大丈夫だな?よし世界線も戻し未来視もして………ふぅようやく終わったな、全く世界線正しくしてを転生させるのは本当に大変なのに……地球の神は本当に怠惰だな、記憶を引き継いだまま転生させるのは禁止にされているのに何回やってんだよ!手違いでもやっていいことと悪いことがあるんだよ…」
一度小窓を閉じ地球の神様の様子を確認する
「…いまだによく寝てますね、処罰の方を考えなくては……いや必要ないだろ、先ほど転生させた男性の周辺人物に色々と影響があるか?まぁ本来は死体の近くで泣きわめいて…の運命が先ほどの『最後の言葉』を聞いて二人がどうするかも影響があるかもしれないな…
ここは温情と言う事で、それだけにしておくか
決して軽く済む訳ではありませんけど…その周囲の人物からそのまた周囲の人物とネズミ算式に増えていきますからね仕事量が膨大になることは間違いはないでしょう」
そう言ってオーラは手元の資料を整理していく…
「次に記憶を引き継いだまま転生してしまった人は……」
その時オーラの脳内に通信が入る
「ん?もしもし?レイン?どうした……え?今は別の世界の方で生命の方との対応?
アンレイとオンレイを俺1人で行うのは結構きついんだが……いや悪いさっきまでレインが対応していたんだな
ああ、こっちは終わったから今すぐに交代しよう」
神々による世界の管理は永遠に続く
「ほつれ」は小さな失敗であっても重罪である
物語にあるような転生して始まる物は無い
死は終わりである